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#45|文章スキルは絵本で磨ける!寝かしつけが、学びの時間に!!

必ず毎日読む「絵本」を学びの題材に

よく、『文章力・表現力・語彙力を高めるには、良質な書籍や文章を真似して学べ』といわれる。

ところが子育て中、さらに家事も仕事もあるとどうだろう。そもそも「本を読む」時間を確保することが、既に難易度が高い。読めたとしても情報のインプットがせいぜい。文章力・表現力を学ぶことに回す余力はない。

子育て中のスキルアップを狙う人に共通の悩みだ。


ところで私が今伸ばしたいのは「情景を豊かに描く表現力」だ。ありきたりの表現ではつまらない、でも奇をてらい過ぎても伝わらない。美しく、絶妙に個性が光る、そんな情景表現を身につけたいと思っていた矢先。

格好の題材を見つけた。
毎晩恒例の寝かしつけの時間に。

そう、「絵本」だ。
しかも「海外の絵本を和訳したもの」がいい。

「海外の絵本を和訳したもの」が文章を学ぶ題材として優秀なのは、

日本語・日本文化にはない情景がある
 ⇒ ありふれた表現ではない書き方が学べる

子どもがわかるように書かれている
 ⇒ 誰もが分かりやすい表現が学べる

以上を兼ね備えているからだ。

私がもともと「外国語を翻訳した、こなれきっていない日本語」が好きだったせいもあって、我が家には海外絵本の和訳版が沢山ある。


今日は4冊から、特に学びになった4冊を紹介する。


(1)『よるとひる』

夜が好きな黒い猫が、昼間が好きな白い猫を夜の冒険に誘う話。

まずは夜の描写から。

アマガエルが うたをうたい、もぐらが 土をほり、木のはが 風にそよいでいます。
ときおり、草むらを ふきぬける風が、サワサワと 足音をたてて、よるの しめったにおいを、はこんできます。

風が草むらを吹き抜ける様子を「風の足音」とは!


続いて人間が活動している昼間を描いたシーンから、

火にかけた フライパンのうえの、さかなとベーコン。ポットのなかで あわだつ、コーヒー。こんがりと ほどよくやけた、じゃがいも。

コンロの上にあるものを並べただけなのに。読んだだけで、よだれが出てきそう。テンポがいい。コーヒーが「あわだつ」のもいい。

こんな文章を書けるようになったら、とっても素敵だろうとワクワクする。


(2)『いっぽ、にほ…』

歩き始めた女の子が、お母さんと近所の散歩に出るだけの話。見るものすべて「みて!」と指さす女の子、じっくり付き合うお母さんに「待つ」大切さを学ぶ…のはさておき、

ちいさな おんなの子は、なにかを みつけました。
ちいさな おんなの子は、かがみこむと、
まるくて しろい小石を、ひろいました。
しろい小石は、お日さまの ひかりのなかに、
ちいさな あおい月のように きらめいています。

お日さまの光に輝く石を「ちいさな あおい月のように」
月は比喩によく用いられるが、あの美しさを端的に表現するのは案外難しい。

また、女の子との散歩で見たものを振り返るお母さんのセリフから1行、

お日さまのえがおに まもられて かぜとあそぶ せんたくもの

パタパタ揺れる洗濯物の躍動感、
暖かな日差し、
包み込む優しいまなざし…
シンプルだが、なかなかかける一文ではない。


(3)おとなしいめんどり

小さな一軒家で、さぼりんぼうのネズミ・猫・犬と、働き者のめんどりが暮らしている。家事は全部めんどりの仕事。ネズミ・猫・犬に何か頼んでも「いやだね」と言って、誰も動かない。

ある日、めんどりは小麦の種を見つけ、大事に育て、小麦粉にしてお菓子を作った。そして3匹を呼び…

けれど おとなしいあかいめんどりは いった。

”わたしは ひとりで
こむぎをうえて
ていれして
かりとって
こなやへもってって
こなにひいて もらったわ

わたしは ひとりで
こえだをあつめ
ひをおこし
こなをまぜたわ。
だから
わたしは ひとりで
おかしを たべます。”

WEBライティングにどっぷりつかっていると、「改行の位置」だとか「同じ語尾を続けない」とか、表記のルールにガッチガチに縛られるけれど。

この文章からはめんどりの苛だちや主張が、これでもかと伝わってくる。

どちらが良いという問題ではない。伝わったという事実が全てだ。


(4)しずかで にぎやかな ほん

物語ではなく、「音」の大きさや多様さを様々に表現し、子どもに想像を掻き立てる本。

好きなのは以下の部分、「しずかな音」って、こんな音だよね…

ぶどうの ゼリーを たべてるような。
こねこが ミルクを なめてるような。
ことりの はねが そらを きる ような。
ゆきが ふってくるような。

からっぽの いすの ような。
くうきの ような。
あかちゃんに ひみつを ささやく ような。

静けさを表現する時に、「ぶどうのゼリー」を持ち出す。この発想が、日本の絵本にはない。海外の絵本ならではだ。

また実際に聞こえる音ばかりで静けさを表現したくなるが、「からっぽのいす」とは!ある感覚を表現するのに、別の感覚器の話を持ってきても伝わるのか、という発見である。


※参考:「おとなしいめんどり」と「しずかでにぎやかなほん」はともに訳者・谷川俊太郎。

本 本棚

毎日の絵本タイムを親子でもっと楽しめるようになる

一例として「海外の絵本を和訳したもの」を学びの題材として取り上げたが、もちろん日本の絵本からも学べるところは沢山ある。

絵本の良いところは「子どもが理解でき、魅力を感じる」ところである。「読み手に”伝わる”」のである。これは文章を書くにあたって非常に重要な点ではないか。

わかりやすく、情景がありありと描ける表現。読み手(子ども)の心を動かし、夢中にさせ、もっと世界を楽しみたい、と思わせる文章の数々…。


私たち親が絵本から学べることは、案外と沢山ある。

ルーティンになっている寝かしつけの絵本タイムが、一気に「学びの時間」に変化する。子も親も、それぞれの見方で絵本を楽しむ時間になる、なかなか素敵な予感がする。

一緒に楽しみながら高め合える方と沢山繋がりたいと思っています!もしよろしければ感想をコメントしていただけると、とっても嬉しいです。それだけで十分です!コメントには必ずお返事します。