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テヘランで見つけたルビー色の秋

.سلام

「サンマは目黒に限る」

目黒で獲れたサンマが一番だという、世間知らずな将軍を少々皮肉った落語『目黒のサンマ』。

秋の噺として知られるこの演目。聴いた日には、帰りに立ち寄ったスーパーで脂の乗った旬のサンマを手に取らずにはいられないね。

日本から約7500km離れたここテヘランでは、サンマではなくザクロが秋の始まりを知らせてくれた。

日本では栽培が難しくなかなか手に入らない果実だが、原産地であるイランでは1個あたり約10円ととても安く、スーパーや道端で山盛りにして販売されている。

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3000年前、古代ユダヤの王様ソロモン王は、ザクロの果樹園を開き、「神々がこの果実を好んだ」と書かれた神話があるほど、イランやトルコといった中近東でその栽培の歴史は非常に古い。

特にイランはザクロの栽培環境として非常に適しているため、イラン産のザクロは全く農薬を使う必要のない純潔種として有名で、本当に美味しい。

そして栄養価が高くビタミンCや抗酸化作用のあるポリフェノール、むくみに効くカリウムが豊富に含まれる。なんともいい話ばかり。

1年を通して収穫されるが、秋に獲れるザクロはたまらなく、ルビー色に輝いた実の甘酸っぱさにニヤニヤしてまう。

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実を割りそのまま食べるのもいいが、ジュースにするのもまたいい。フルーツジュースはアブミーヴェ(آب ميوه)といい、街の至る所で看板が上がり、搾りたての新鮮なジュースを楽しむことができる。

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ハウス栽培が進んだ現代、果物は特に季節関係なく食べることができるようになったが、七十二候、季節の移ろいを意識して食材を手にするのは良いことだよね。

環境が変われば旬のものは変わる。ここイランのザクロは本当に美味しい。だが、私は日本人なのだ。そりゃあ、秋になればサンマが恋しい。スーパーでザクロを見ていると頭ではサンマが焼きあがるようになった。ああサンマ....目黒で獲れたサンマよ。

ザクロの花言葉は、「愚かさ」だという。

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