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「儲かる農業」を目指さず、「農家も儲かる」政策を目指したほうがいいんじゃないか、という話。

ちょっと、ネタ切れ気味になってきたので、以前書いた以下の記事と同じような内容の記事です。

ネット上ではもう記事が消えてしまっていますが、今月、宮崎市内のマンゴーを生産する農業法人が倒産したそうです。

MRTのニュースによると、一番良いときの売上高が年間2700万の会社で、7600万円ほどの負債を抱えて倒産ということになったそうです。昨年の台風での被害などが原因ということでしたが、それ以前から品質不良による出荷の停滞などもあった、ということですからもともとかなり厳しい状況であったのでしょう。

マンゴーの生産会社については、2020年にも門川町の生産会社も倒産しています。

この企業の場合は、コロナ禍で外国向けの輸出が全滅したというようなことが原因だったようです。負債総額も5228万円と、相当な額であったようです。また、倒産した2社ともに従業員は数人程度の規模だったようです。

宮崎県産のマンゴーは、東国原氏が県知事時代に盛んにアピールしたことで、「国内的なイメージ」としては一大ブランドとなった、といって良いと思いますが、マンゴー自体は、原産地はインドからマレー半島にかけての熱帯地域であり、宮崎県の気候風土での生育がベストな環境ではないわけです。

今のような真冬の時期の明け方にマイナスの気温になるようなときには、ガンガンにヒーターを回さないとだめなわけで、宮崎は「育成できる最北端」といっても良いような場所でしかありません。

県知事選挙や国会などでも農産品をブランド化して高級品として売り出す「儲かる農業」というようなことが言われることがあるのですが、もし、ほんの一部そういう儲かる農業をやっている人がいたとして、規模を拡大して雇用を多く抱えられる業種でもありませんから、国や県の政策として掲げることの弊害のほうが大きいように思います。

例えば「県産のマンゴーを海外に向けて売る」と言うのは非常に夢のある話ではあるものの、安定して高い収益を得ることができるか、というとそうでもなく、このコロナ禍の宮崎県の2件の倒産状況を見ても、ビジネスとしてはハイリスク・ローリターンな産業と言わざるを得ないと思います。

日本国内の農業は、農業以外の収入のほうが多い第二種兼業農家のほうが圧倒的に多い状況なのですから、農業地域の近くに兼業がし易い産業を優遇して誘致することで、近隣地域に労働年齢人口を増やしつつ、徐々にそういった年代の人が農業に従事しやすくしていく、という方が遠回りでも農業を下支えしつつ、農業の復活のためにもなると思うのですが。

ただ、それが観光業であっては多分だめで、それでは労働生産性の低い農業の兼業を、労働生産性の低い観光業でカバーしようとして、結局儲からずに地域が衰退することになるのでしょう。

望むらくは、データーセンターや半導体工場などがベストでしょうが、それに近い産業の工場などをつくることで、その周辺地域の農業従事者も増やしていくという発想であってほしいものだと思います。

今の宮崎県政でそのようなことが進むとは到底思えないですが。


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