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夏の思い出

茄子とピーマンの肉味噌炒めを夕飯に作った。

子供たちは茄子があまり好きではなくて反応はイマイチ。特に娘はひと目観ただけでうわ、という表情になったがそれでもふたつみっつ肉と一緒に食べてくれた。

かく言う私も子供時代はこのメニューが実家で出されるたびにまたかと心の中でよく毒づいたものだ。

しょっぱいのに少し甘い味付けも茄子とピーマンの匂いも野菜の味がうつった肉も何もかもが好きじゃなかった。
それなのに。

自分で作ってみたら味も家中に漂う匂いも見た目もその全てが私の夏のそのものだった。

頭の奥に刷り込まれていた記憶が蘇った蒸し暑い夏の夕暮れ時。



「きゅうりと茄子持っていく?」

この時期になると田舎でよく聞く台詞。

「やった〜いいの?ありがとう」

田舎あるあるな会話をして義実家で5本ほど茄子を頂いたことから話は始まる。

大体毎年きゅうりと茄子とかの作りやすいものだけ庭の畑で育ててこの時期お裾分けしてくれるのだ。

採れたての新鮮な野菜は本当に美味しい。結婚してスーパーに並ぶカット野菜を食べた時その素晴らしさを実感した。

茄子は焼き茄子にして大人用のメニューにしてしまうのが定番だったけれど、ふと、炒め物にしたら子供も食べるかなと思いたつ。

肉も入れて、肉味噌炒めとか?

よく実家で出たなあ

あれ好きじゃなかったな…

回想をしつつさっき貰った野菜を取り出す。食パンの空き袋に入れられているきゅうりにふっと笑顔になりながら冷蔵庫を開ける。

浅漬けっていう手もあるけれど素を買ってこないとないし今回は炒めものにしてみるか。

中くらいのサイズの濃い紫色が綺麗な5本のこの子たちもしまいつつそう決めた。


材料を切って茄子は油で素揚げ(と言ってもたくさん油を使うのがもったいないのでほぼ素焼き)をして一旦取り出しておく。

外国産の安い豚細切れ肉は酒と片栗粉で揉んでおいて。

肉を炒めたら茄子を戻して味噌、酒、砂糖の合わせ調味料で味をつけたらピーマンは最後に入れる。

料理が得意ではない私でも簡単だった。


なんだか美味しそうだな。
紫色と緑色の取り合わせも綺麗で何より夏らしい。味噌が具材と絡んだ見た目やこの匂いもとにかく夏真っ只中がこのひと皿に詰まっている。


実家では周りが青い花模様の皿へ盛り付けてられて嫌というほど観てきたこのメニューを母も毎年夏になるとどこからともなく集まる茄子で作っていたんだろう。

料理が得意ではない母娘は夏の定番まで親子すぎて苦みのあるピーマンとうちの子供たちに言わせると食感らしいものがない茄子がなんだか母と私みたいだと思った。

私たち家族は文句を言いつつ言われつつ夏は毎年お互い様でこのメニューでテーブルを囲むんだ。


全くキラキラしていない私の夏の思い出。

でも作った茄子とピーマンの肉味噌炒めはお皿の上で真夏の太陽のように輝いているように私には見えたのだった。


           ♢


茄子は子供が好き!っていう野菜ではないかなと個人的に思います。

食感もあまりないし種の部分が苦手とはうちの娘の言い分で。

トロッとした焼き茄子はなんて美味しんだろうと私は思いますが大人の味ってことでしょうか。

家庭菜園で作っていると茄子は毎日のように収穫できるので夏のお裾分けの定番野菜。

漬物やピクルスみたいにもしていましたがだんだん飽きてきてしまうので今年初の茄子は味噌炒めにしてみたのです。

子供は予想通りの反応をしましたがなんだか懐かしい夏を思い出せて作ってみてよかったです。

最後まで読んで頂きありがとうございました✨


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