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最終ゴング、小競り合いもハッピーの証『コタツがない家』のあたたかさ

今年も残りわずかとなり、ドラマも先週あたりから続々と最終回を迎えていますね。
『コタツがない家』も12月20日で最終回を迎えました。

『コタツがない家』 最終回

最終回はたいていその回の早い時間帯から終盤にかけて山場があり、それが収束してエンディングになるけれども、今回は中盤過ぎても大きな変化やハブニングはそんなになくて、いつもの言い合いがいつも通りにあり、「これって本当に今日が最終回?」と思えるほど、平和な小競り合いと周囲の懸案事項が徐々に片付いていくのみ。
・・だったのですが、最後の方にバーンと一気にもってきましたね。山場とオチを。

着地点はうすうす予想していたけれども (吉岡秀隆さん演じる悠作が漫画を描き上げるんだろうなと)、いろんなことが予想以上にうまく収まってスッキリしました。

最終場面の山場では

万里江(小池栄子さん)の父・山神達男(小林薫さん)が、仕事仲間で親しい熊沢=くまさん(西堀亮さん)との距離が出始めたことで、万里江があてがってくれた達男の部屋にサウナを購入。

それによって万里江一家に今回の最終ゴングが鳴る

だんだんその状況が怒りを通り越してばかばかしくなってきた悠作が「家にサウナがあるって変だよねぇ~!しかも和室にサウナがあるって!コタツがないのにサウナあるんだよ?おかしくない?!おかしいだろー!アーッハッハッハ」と大笑い。

万里江もつられて大笑いして二人して笑いが止まらなくなる→その滑稽な出来事をネタにして、悠作は漫画を描き上げる

それは万里江が一番欲しかったプレゼントなのでした。

まさに「笑う門には福来る」でしたね。

序盤、クリスマスを前にしてプレゼントの話題になり、息子の順基(作間龍斗さん)は「ダウンコート」が欲しい、達男は「自分の部屋」、悠作は「家族からの尊敬」が欲しいと言っていました。

その間になんだかんだがあって、順基はおばあちゃんからダウンコートをプレゼントしてもらい、達男にも自分の部屋を万里江たちが用意してくれ、そして万里江は・・という流れからのラストでの「悠作の新しい漫画」をついに目にすることができました。そしてそんな悠作は万里江からの「尊敬」をもらえたのでした。

行き詰った漫画の結末が、「離婚」の代わりに「サウナ」で何とかなりそうだということで、サウナが悠作の漫画のネタにつながった、とすべてが回収され、達男の身勝手な行動がハッピーエンドなオチとなり。

また、ひかる(富田望生さん)たちの結婚披露パーティも無事に終わり、新婦ひかるに夫婦円満の秘訣をに聞かれた万里江は、自信をもってこう答えます。

「相手のことはもちろん、そのご家族や友人たちのことも同じぐらいに大事にできるとうまくいくと思います」

ほかに巧妙さを感じたのは、万里江宅でのクリスマスパーティの日、参加予定者たちのドタキャンで万里江と悠作と達男と師島さんだけになってしまい、達男が不機嫌になり万里江・達男・悠作が例のごとく喧嘩をしている間、いたたまれなくなった師島さんが、着ていたサンタの衣装をコソ~っと脱ぎ始め、万里江たちの喧嘩が一区切りしたと同時に脱ぎ終わったタイミングが何気にぴったり合っていて、すごいというか細かい演出だなーと感心せずにはいられませんでした。


師島さんをよそに3人は喧嘩に夢中。
サンタの服を脱ぎ始める師島さん
言い争いが終わったタイミングで脱ぎ終わった師島さん

後半の後半、ゴングの連続で徐々にテンポアップ。バックで流れるコミカルなテンポの良いピアノの音がまた軽快で、喧嘩を嫌な雰囲気にさせない効果を持たせています。

「我が家にはコタツは必要ない。コタツよりもぬくもりあふれる家族喧嘩がいつも家の中をポカポカにしてくれるのだから」とナレーション。

コタツがなくても一家団欒 (?)、というかヒートアップでいつも温かい、喧嘩するほど仲がいい、というホームドラマの定番テーマを、今どきの家族構成をベースに独特のテイストで面白おかしく描いたドラマはとてもよかった。

一見不思議なドラマタイトルもこれで無事回収。

キャラクターのバランス(配分)もいい感じでした。大物俳優や重要人物をたくさん揃えて焦点がぼやけてしまうドラマよりも、大事件はなくてもどこにでもある家庭の問題をコミカル&滑稽に描いたドラマの方が親近感があり共感が持てる。私的には満足した最終回だったなと。

それ以外の好きポイントもたくさんありました。
・猫のチョーさんが可愛すぎます。
・オープニングのコミカルな漫画をベースにした映像でサブカル感アップ
・同じくオープニングの主題歌を石川さゆりさんが歌う「ダメ男数え唄」もすごく好き。NHK紅白歌合戦もどうせならこの曲を生歌で歌ってほしい!(このところ紅白歌合戦は毎回同じ歌を歌うことが多いので新しい曲がいい)

前にも書いたけどナレーションもよかったです。いかにもホームドラマっぽい温かさと、家族のトラブルや不穏な感じを醸し出すサスペンス風の語り口が入り混じって味がある。ナレーションは万里江の母を演じていた高橋恵子さんだとあとで知りました。

また、これも前に書きましたが悠作役の吉岡秀隆さんのダメ男ぶりが今までの物静かな役のイメージから逸脱していて、役者さんのふり幅の広さを実感しました。

高校生の息子・順基の小生意気な屁理屈も、むしろラップを聴いて いるような心地よささえ感じるほど。会話のリズムにうまく溶け込んでいました。

その他のサブキャラも申し分なし。
編集者の土門さん(北村一輝さん)、ウエディングプランナーの志織ちゃん (ホラン千秋さん)、師島くん(河野真也さん)、 順基のガールフレンド・れいらちゃん (平澤宏々路さん)、万里江の母(高橋惠子さん)キッチンカーの店主 (野々村友紀子さん) あたりも深堀家の存在感を邪魔しない程度のほどよい調味料的な役割をしっかりこなしていました。新婦役の富田望生さんも『ブギウギ』と全く違うキャラを演じていて可愛らしかった♪

オープニングのアニメーションで、頼もしい万里江の背中に乗っているダメな男どもがまさにこのドラマを象徴していました。
そんな万里江を演じるのは小池栄子さん以外には考えられないほど、はまり役だったのではないでしょうか。(その他のキャストもですが)

最後のナレーションで、悠作が書き上げた漫画はびっくりするほど売れなかったとありましたが、「できるものならネット通販で取り寄せて読んでみたい」と思ったのでした。

クセのすごい家族たちのホームドラマで、気分もすっかりぽかぽかになったのでした。(ナレーション風)
スペシャル版とか作ってくれないかな。

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