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「チャレンジ」とは? 〜対話について対話をしてみた

今回は、私のnoteをご覧いただいた方から頂いたメッセージと、その後のやり取りが、当方の提唱する対話や「ストラクチャード・ダイアローグ」というコンセプトをご理解頂くのに役立つと思い、個人を特定できないように加筆修正した上で、できるだけ臨場感を残したままご紹介をさせて頂きたいと思います。

登場人物は、某メーカーの人事部門で活躍されているA氏です。丁寧にご挨拶を頂いた後に、この様な内容をお話頂きました。

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A氏:
『1つお知恵を貸してください。私は今、社内でのプレゼンテーションの準備をしています。組織を変革するために対話の有効性について着目しており、検索すると、宮木様のノートの記事が見つかりました。そこで、ストラクチャード・ダイアログというコンセプトを知り、大変興味を持ちました。すぐに何かお仕事を依頼する様な事は少し難しいかも知れませんが、良かったら、これに関してもう少し詳しく教えていただくことは可能でしょうか?
 私としては、マネージャー層を対象に対話型の場を作り意識変革を促す社内運動を起こしていきたいと考えています。そこでまずは、対話の有効性を示す理論やエビデンスがあると大変ありがたい状況です。』

私・宮木:
『ご連絡ありがとうございます。当方のnoteにご興味をお持ちいただいき大変うれしく思います。早速ですが、まずは、何のために対話や変革が必要なのかという目的が大切なのですが、手始めに、そこについてはどの様にお考えですか?』

A氏:
『お返事ありがとうございます。今回の対象はマネージャー層ですので、目的は会社の業務目標を達成するためです。』

私・宮木:
『なるほど。のっけからいきなりで申し訳ありませんが、目的が業務目標の達成であり、その目標が、主体業務に対して与えられた数値的な指標だけだとすると、それをクリアするためには対話は要らないかもしれません!
対話をしている時間があったら、その分一つでも多くの製品を作り、一人でも多くの顧客に会い、一つでも多くのサポートをした方が、目標達成には近道だからです。。』

A氏:
『う〜ん。確かにそうですね。。あと、もう一つの目的はチャレンジですね。外部環境は大きく変わっている今、今までのままでは立ち行かなくなります。今まだ体力がある段階で新しいことにチャレンジする、そんな施策を生み出すことが目的の1つとなります。』

私・宮木:
『ありがとうございます!全社的にチャレンジが推奨されているのですね!こちらも確認をさせて頂きたいのですが、チャレンジが何を指しているのか、経営層がイメージするチャレンジがどの程度の新しい事で、どの様な規模感や頻度で求められているものでしょうか?」

A氏:
『なるほど!確かに経営陣が求めてるチャレンジというのは明確になっていないことに気づきました。製造業なので、新製品や新規事業開発などが評価されると私は思い込んでいましたが、チャレンジの定義はそれだけではないと感じました。』

私・宮木:
『ありがとうございます。この「チャレンジ」の様に、言葉が曖昧なままになっている状況というのは会社には沢山あって、「業務連絡」では解消されないんですよね。トップダウンでさえ解釈が必要なので、ボトムアップで小さな声を拾い上げていこうという場合はそれ以上に、聞こう・わかり合おうという、意識的・能動的な取り組みが必要となります。
そして、その様な曖昧な部分の相互確認や、新たな取組を具体化しようとする営みとして、対話は有効です。対話というと、ワークショップや1on1など、これまでイメージされる施策は沢山あるのですが、それらを統合化し、かつ日常化する取り組みが「ストラクチャード・ダイアローグ」という概念なんです』

A氏:
『なるほど。ありがとうございます。今、会社で求められているのはチャレンジできる人材です。とは言え、そのチャレンジの定義が明確になっていません。言われているのは上から言われたことをやるだけの社員ではなくチャレンジで欲しいと言う文脈です。と考えると、対話をすることで自分たちがチャレンジしたいことを決め、それに向かって進んでいくための対話と言う場が必要かもと感じました。ありがとうございます。』

私・宮木
『どんどん新しい事をやってくれ!とスローガンの様に発信されていても、その本音は、(・・・ただし、コストがかからない範囲で、現場で不満が出ない範囲で、労働時間内で、通常業務に支障が出ない範囲で・・・)みたいなものだったりすることが結構あるんですよねー。。
例えば、まずは、チャレンジを定義し(例えば新規事業提案)、そのための仕組みを構築し(起案者募集とアクセラレーションの仕組み、失敗を個人に帰責しない人事制度の構築など)、それを現場に浸透させる風土醸成と、ボトムアップでの起案を期待しての対話的施策(チャレンジャーが抹殺されない安心感と挑戦意欲の醸成)が必要である、みたいな感じだと思います。』

A氏:
『なるほど、なるほど!企業内でチャレンジを定義している事例などありますか?うちの会社もチャレンジが一人歩きしてます・・』

私・宮木:
『言葉としてはともかく、具体的には、新規事業提案を斡旋する施策や、業務改善アイデアを募集する施策、あるいは副業・兼業を推奨するなど、さまざまな施策がありますよね。これは推奨したいチャレンジが定義され、それが具体化した例だと見ることができます。
その他、自己啓発の推奨や、社内ワークショップ等のネットワーキングを積極支援したり、社内横断組織の活動を支援するなども、ある意味で「チャレンジ」を具現化したものとなると思います。
まずもって大切なのは、経営者が何を持って「チャレンジ」と判断し、ある意味で「評価」するのか、逆に何を「やらないで欲しい」と思っているのか、確認できると良いと思います。』

A氏:
『今やるべきことがクリアになりました。本当にありがとうございました!まずは社内で動いてみます。よろしかったら、是非またご相談をさせてください!』

私・宮木:
『了解です。社会に挑戦者を増やすことは私のミッションでもあるので、進捗をご報告頂きつつ、ご一緒できそうな事を見つけられたら素敵ですね!引き続きよろしくお願い致します。』
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いかがでしたでしょうか?
様々な観点でお話ができると思いますので、是非、ご感想やご質問等頂けたら幸いです。

一つ、経営目線でいうと、発信した言葉をどの様に共有されているのかという部分が曖昧なままでいると、現場は気持ちで動くしか無い状況になり、がちだとう事が改めて感じた所です。
今回のA氏の様に情熱を持っている人物でない限り「チャレンジ」を連呼したとしても「やめておこう」となるのが関の山でしょう。

課題の一つに、経営者が「フィードバック」を受ける機会が無いこともありそうです。
共有に必要なのは「発信+フィードバック」です。これが即座にできることも対話の大きな価値だと思います。

引き続き、対話やストラクチャードダイアローグというコンセプトについて、発信をしていけたらと思っております。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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