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三宅島の水産

こんにちは、水産担当です。

突然ですが、みなさんは東京の水産物と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。
今回は、都心から南に約180 km離れた三宅島の海の幸についてご紹介します。

三宅島のおさかな事情

三宅島近海は、魚の集まる良い漁場とされています。
それは、三宅島周辺の海底は凹凸のある地形をしており、そこに黒潮がぶつかることで、海水の中の栄養分がかき混ぜられ、魚のえさとなるプランクトンや小魚が集まりやすい環境となるためです。

三宅島近海には、あまり大きく移動しないキンメダイのような魚のほかに、黒潮に乗って生涯移動を続けるカツオやマグロ類といった大型の回遊魚もやってきます。

三宅島の水揚げ重量における魚種別の割合は以下のとおりです(平成30年の水揚げ量をもとに作成しています。)。
特に、キンメダイやマグロ類が占める割合が大きいことが分かります。

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さて、これらの魚はどのようにとられているのでしょうか。
三宅島近海で操業されている漁法から2つご紹介します。

①定置網漁業

03定置網

海中に大きな網を設置して、海流に乗って泳いできた魚を捕まえる漁法です。魚は障害物にぶつかると沖へ進む性質があり、この性質を利用して定置網の奥の方の網(箱網と呼ばれる部分)に魚を集めて捕まえます。

04タカベ

三宅島の定置網では、シマアジ、ムロアジ、カンパチなど様々な魚がとれます。
特に、上の写真の黄色い縞が鮮やかなタカベという魚は、これから夏に向けて脂がのり、伊豆諸島を中心に人気の魚です。

これまで設置されていた定置網は、平成30年の台風被害により、操業中止を余儀なくされていました。しかし、昨年度に新たな定置網を整備し、今年4月から操業を再開しました。島内外に向けて「三宅島の魚」を供給しています。

②底魚一本釣り漁業

05底魚一本釣り漁業

魚が集まっている漁場めがけて漁具を下ろしていき、魚を釣り上げます。狙ったポイントに仕掛けを下すには潮流を考慮しなければならないなど、熟練の技術が欠かせません。

三宅島の底魚一本釣り漁業では、キンメダイ、メダイなどがとれます。
また、将来にわたり魚をとり続けられるよう、体長制限や休漁日を設けるといった資源管理に取り組んでいます。

三宅島の漁業のこれから

豊かな海に囲まれた三宅島ですが、平成12年の雄山の噴火、全島避難により水産業も大きな打撃を受けました。

特に、海藻や貝類といった磯の資源への影響は大きく、噴火前には全国有数のテングサ(羊羹やところてんなどの原材料となる海藻の種類)の産地として知られていましたが、現在でもその水揚げ量は回復していません。

一方で、鮮魚の水揚げについては、噴火前の水準に回復しつつあります。

06水揚変遷改

また、漁業を支える漁業者についても帰島する人が少なく、加えて、高齢化も進んでいました。
そこで、三宅島ではこの島の漁業を未来につなげていくため、漁業後継者を確保育成する事業に地域ぐるみで取り組んでいます。

以下の記事では、漁業者になりたい人が漁業者になるまでを支える取組みについて紹介しています。

三宅島における漁業後継者確保育成の取組紹介① ―三宅島で漁業者になろう!―
https://note.com/miyakesangyo/n/n564bd4fa58b7

三宅島における漁業後継者確保育成の取組紹介② ―三宅島で漁業者になろう!―
https://note.com/miyakesangyo/n/n9188c1fec736

最後に

07三本岳

今回は、三宅島の豊かな海と、その海を守りながら行われている漁業についてご紹介しました。
今夜は大海原に思いを馳せながら、三宅島の海の幸を味わってみてはいかがでしょうか。

参考
三宅島さかな図鑑 第2版
https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/14miyake/miyakehp/sakana.pdf


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