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慢性的な膝痛を改善するための前提系エクササイズ〜球形嚢への情報入力のポイント〜

年齢を重ねていくと、徐々に膝や腰といった関節群に痛みが生じやすくなります。長期的な痛み=慢性疼痛につながることも珍しくはありません。人体の関節はどの部位も必要不可欠ですが、膝関節に慢性疼痛を持つと、日常動作すら満足にこなせない危険性がありま。今回は、そんな痛みを前提系を用いて改善するための考え方やエクササイズを紹介します。

上下動をゼリー状の知覚する組織「球形嚢

耳の中には前庭系と言われる三半規管とか耳石器が、音刺激の入力を担当する蝸牛と一緒に存在します。耳全体がちょっとした容れ物になっていて、そこに音や方向、回転を担当するセンサーがたくさん入っているというイメージです。

今回注目するのは「球形嚢」です(球形嚢の仕組み)。球形嚢は上下の加速を担当しているセンサーで、組織はゼリーのような形になっています。そして、私たちが素早くジャンプする=上方向へ加速すると、ゼリー状の組織は下へたらみます。逆に下へすばやく動く(しゃがむなど)と、球形嚢は上へたわみます。この「たわみ加減」を「頭部が上へ動いた・下へ動いた」という信号として脳へ送るのでです。

エレベーターを想像してみてください。エレベーターが動いている中、目をつぶっても私たちはエレベーターが上下どちらに移動しているかが分かります。これは、球形嚢が正常に機能してはじめて知覚できるのです。

膝の痛みと球形嚢の関係性

ここからが本題で、膝の痛みがなぜこの球形嚢と関係しているのかを解説します。その前に実験として、皆さん椅子から立ち上がりましょう。その状態で、顔は正面を向けたまま膝関節を軽度屈曲してみてください(股関節も軽度屈曲します)。おそらく頭部はやや下の位置に移動すると思います。膝関節(+股関節)を伸展させれば、元の姿勢に戻ります。この上下動の動作を、スピーディに行ってみましょう。特に回数の指定はないですが、10〜20回ほど繰り返してまた椅子に座りリラックスしてください。

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