見出し画像

股関節を徹底解剖。周辺組織の特徴と運動連鎖を知る

このnoteではこれまで、たびたび股関節に関する記事をあげてきました。今日は股関節のバイオメカニクスや周辺組織の特徴、運動連鎖について解説しようと思います。

股関節を支える3つの靭帯の特徴

股関節には腸骨大腿靱帯、恥骨大腿靱帯、坐骨大腿靱帯という、3つの靭帯が存在します。これらの靭帯は名前が示す通り、腸骨・恥骨・坐骨に起始を持ち、すべてが転子間線(大転子から小転子に向けて斜めに走る粗い線)に停止するのが特徴です。これらの靭帯の走行によって、大腿骨頭は大腿骨頚部後部を除いて、そのほとんどが関節包で覆われています。

3つの靭帯は、股関節が中立位(普通に直立している状態)だとややねじれた状態になっています。股関節を軽度屈曲位にすると、ねじれが解消されて人体が弛緩します。つまり、股関節は伸展位にするとねじれが強調されて安定性が増し、屈曲位(かつ内転位)だと緊張がゆるんで不安定な状態になるのです。

腸骨大腿靱帯の特徴

腸骨大腿靱帯は、AIIS(下前腸骨棘)と寛骨臼上縁から転子間線に向かって二又に分かれて伸びる靭帯で、股関節前上部でY字状に広がっていて「Y靭帯」とも呼ばれています。

腸骨大腿靭帯は、人間の身体の中で最も強い靭帯です。股関節の過伸展と伸展位の外旋作用の抑制に強く働きます。また、腸骨大腿靭帯は大腿骨頭の前方への脱臼を防いでくれています。この靭帯が硬縮すると、股関節が屈曲位+内旋位に誘導されやすくなります。

恥骨大腿靱帯の特徴

恥骨大腿靱帯は、恥骨から外下方へと伸びて、股関節の関節包前下部と癒合しています。また、腸骨大腿靱帯の一部とも癒合しています。

恥骨大腿靭帯は、股関節の伸展・外転・外旋の抑制をしています。股関節の関節包と隣接しているので、関節包の補強にも働いています。恥骨大腿靭帯は、腸骨大腿靭帯と同様に、大腿骨頭の前方脱臼を防いでいます。

坐骨大腿靱帯の特徴

坐骨大腿靱帯は、寛骨臼縁(寛骨臼の外周を縁取る骨の隆起)から大腿骨頚の大転子内側後部に伸びています。股関節の内旋を抑制している他、股関節屈曲位では内転の抑制もしています。

ここから先は

1,850字 / 6画像
単発の有料記事を月に3本以上読まれるのであればこちらのマガジンに登録されたほうがお得です。 月額1980円です。 初月は無料となりますのでまずはお試し(^^)/

Anatomy Special Magazine

¥1,980 / 月 初月無料

解剖学に関する記事を月に最低3記事更新していきます。 トレーナー及び運動指導者、健康に関する従事者が楽しめる内容となっております。 レベル…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?