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脳の前頭前野を鍛えて俊敏性を高める。自宅でできるエクササイズも紹介

運動の世界に置いて、速さという概念はさまざまな能力を意味します。例えば、スピードはスプリントが速いなど、純粋なスピード能力のことです。クイックネス(俊敏性)は物事に反応して動き出す速さを意味します。静止状態から走り出したり、相手選手の動きに対して急停止・方向転換するといった反応・判断の速さだと考えてください。

もう1つの速さはアジリティ(機敏性)です。アジリティは、方向転換や加速・減速を素早く行う際の、バランス能力と表現することができます。

それぞれの速さは、特にスポーツの現場で欠かすことのできない能力です。今回はこの3つのうち、クイックネスを鍛えるための考え方やエクササイズを紹介したいと思います。テーマは、「思考力を高めてクイックネスを鍛える」です。

前頭前野の働き:運動内容を計画・決定する

ヒトの脳において、もっとも発達している部位と言えるのが前頭前野です。前頭葉の前方に位置する連合野のことで、前頭連合野、前頭前皮質ともいわれます。ちなみに、連合野というのは運動野・感覚野を除いた脳の部分のことです。前頭連合野、側頭連合野、頭頂連合野に分かれていて、側頭連合野は空間認識、側頭連合野は認知・記憶に大きく関わっています。

ヒトの大脳の約30%を占めるとも言われる前頭前野の役割は、思考、行動・感情のコントロール、コミュニケーション、記憶、集中、物事の判断など多岐に渡ります。スポーツ(サッカー)に限定して考えると、前頭前野は大きく4つの行動に関与していると言えます。

  1. 運動計画: 行いたい動作や行動の計画を立てる役割を持っています。例えば、サッカーでのドリブルやシュートの前に、どの方向へボールを動かすか、どの強さでボールを蹴るかといった計画を立てる時に関与します。

  2. 運動の調整: さまざまな部位の動きを統合的に調整する役割を果たしています。サッカーのドリブル時には、脚の動き、体のバランス、視覚的な情報などを同時に調整しながら、効果的にボールをコントロールするための動作を制御します。

  3. 動作の修正: 運動中や運動後にフィードバックを受け取り、それを基に動作の修正や調整を行います。例えばシュートをミスした後、次回のシュートで同じミスをしないように動作の改善を試みる時などに関与します。

  4. 意思決定: サッカーのプレイ中、プレイヤーは数多くの瞬時の意思決定を迫られます。どのプレイヤーにパスを出すか、ドリブルを続けるかシュートを放つかなどの決定は、前頭前野の計画や意思決定の機能によって支えられています。

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