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【明日からの野菜選びの参考に!】研究で「がんを抑制する」と報告されたポリフェノールたち。

食事因子ががんに及ぼす影響は、数十年前から広く研究されています。米国がん協会は、2023年には米国で約1,958,310人が新たにがんと診断され、609,820人が死亡すると推定しています。日本でも、国立研究開発法人国立がん研究センターが報告している日本人のがん罹患数は、男性で584,000人、女性で434,900人です。死亡者数も、男性219,300人、女性161,200人にのぼります。

がん要因の中でも、食事は大腸がん、乳がん、前立腺がん、肺がんなど、いくつかの種類のがんにとって、修正可能な重要な危険因子であることが確認されています。そうなると、気になるのが「どんな食べ物ならがんのリスクが下がるの?」というものです。

2023年、International Journal of Molecular Sciences誌の本特集号「The Effect of Dietary Factors on Cancer 2.0」で発表されたに論文は、8本の原著論文と9本の総説をもとに、試験管内・生体を用いたがんにまつわる研究から、食べ物ががんにもたらす影響をまとめました。

今回の論文では、特にポリフェノールに関する報告が多かったので、今回は「がんリスクと関係があるかもしれないポリフェノール」というテーマで、研究の内容も踏まえてどんなポリフェノールが紹介されたのかを解説します。

クロセチンはがんの自死を促す

クロセチンは、ニンジンに含まれるβ-カロテンやトマトのリコピンといったカロテノイド(赤色の色素)で、クツナシの果実に多く含まれています。論文で紹介された研究では、クロセチンの試験管・生体の実験により、クロセチンがアポトーシス(細胞の死)を活性化するなど、抗増殖作用と分化促進作用を有すること。

クルクミンと甲状腺乳頭がん

クルクミンは、ウコンの根などに多く含まれるクルクミノイドと言われる色素成分です。論文で紹介された研究では、甲状腺乳頭癌におけるルクミンの役割が実証されました。クルクミンもクロセチンと同様に、がん細胞のアポトーシスを活性化します。

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