分離症を知って「トレーナーとしてできること」を考える
腰椎分離症は医療より、健常者が来るパーソナルジムで見る機会は少ないと思います。
ただし、結果的に分離症と診断される人を見る機会は少ないものの、「腰痛」でジムに来る人は非常に多いです。腰痛を訴えるクライアントの、ひとつの状態として分離症・分離すべり症が存在します。だからこそ、トレーナーも分離症とはどんな状態か、また分離症と診断された人に対して、トレーナーはどう接していくといいかについてお話ししていきたいと思います。
分離症は腰痛の一種
前述の通り、分離症は腰痛の一種として数えられます。主に脊椎の伸展時に起こる腰痛―棘突起のインピンジメント症候群、椎間関節上の痛みがあると言われています。基本的に、画像所見で「分離症です」と診断されている人に、トレーナーが手を出すことはできません。
しかし、例えばアスリートが競技復帰を目指そうという場合、どこかのタイミングからトレーナーが介入することになります。その際、今腰がどんな状態で、どういう強度のトレーニングから始めるべきかを知らないと、競技復帰に時間がかかってしまったり、あるいは腰の状態を悪化させてしまいかねません。これはアスリートに限らず、フィジークなどに出場しているトレーニーに対しても同様です。
クライアントが非常に重度な分離症である。椎弓が折れてしまっているといった、現在進行形の分離症のクライアントに対して、ハードなトレーニングは実施できません。そこから徐々に、競技や日常生活に復帰するために、どういったトレーニング(この場合はリハビリテーションに近いでしょう)が必要かは、トレーナーも知っておくべきだと思います。
分離症の特徴
分離症は、椎弓の疲労骨折が原因であるケースが多いとされています。単純な統計だけだと、小学校高学年から中学生に多く見られるのが特徴です。先ほど「脊柱の伸展時に痛みを感じやすい」と話しましたが、このことから、脊柱の過伸展、骨盤の過前傾、腰椎の過前弯のアライメントで起こりやすいと考えられています。
そのため、腰方形筋や大腰筋、大腿直筋といった骨盤前傾を誘導する筋群の緊張が、分離症の原因だと教材などでは解説されています。ただし、小学校高学年から中学生に多く見られるというのは、何かしらの外傷が原因というよりは、慢性的な蓄積が問題になると言えます。
この年齢で、先ほど紹介した筋群が過緊張している、柔軟性が不足しているとは考えにくいです。これは裏を返すと、分離症に関しては「この程度しか分かっていない」ということなのです。上記の姿勢を持つ人が、必ず分離症になるとは限りません。トレーナーでこうした若年層を見る機会は少ないですが、通説として「分離症はこういう人に起きやすい」ということを、把握しておくといいでしょう。
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