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鎖骨は意外と大事。鎖骨と骨盤・体幹の連動性

前回のnoteでは、鎖骨への介入で肩関節の可動性をアップさせるアプローチを紹介しました。

今回は、鎖骨への介入による他の部位の可動域改善についても紹介したいと思います。

鎖骨が身体全体の運動連鎖に関わる?

上肢帯というのは、肩周辺で直接体幹に付着している部分を指します。具体的には「鎖骨」と「肩甲骨」のことで、体幹に上肢を結合する役目があります。ちなみに、上肢というのは上腕・前腕・手の総称です。

上肢帯と胸部というのは、密接に連携して動いています。例えば、胸部の深層筋膜は鎖骨~小胸筋~腋窩と連結しています。そのため、小胸筋が短縮すると、鎖骨は下方向へ牽引される形となるわけです。この状態だと、鎖骨が下制されることで上腕骨が上がりにくくなります(屈曲しにくくなる)

胸部は鎖骨に近いので、こうした運動連鎖がイメージしやすいでしょう。実は、これと同じことが下肢でも起こるのです。例えば、骨盤(正確には仙骨)が前傾すると、胸部や上肢帯は次のように連動していきます。

・胸骨:前方移動(前突)
・鎖骨(胸骨端):後方移動(後突)
・鎖骨(肩峰側):前方移動(前突)
・肩甲骨(外側):後方移動(後突)
・肩甲骨(内側):前方移動(前突)

この鎖骨―骨盤(仙骨)の連動は、逆からアプローチしても同じ運動連鎖が生じます。下の画像2枚は、鎖骨を徒手で誘導しつつSLR(ストレート・レッグレイズ)を行った様子です。

1枚目は、鎖骨の肩峰側を前方に押し込んで行った際のSLRです。運動連鎖的には、骨盤は「前傾」に誘導されています。

画像6

2枚目は、鎖骨の肩峰側を後方に押し込んでいます。上の運動連鎖に照らし合わせると、骨盤を後傾させている状態です。

画像1

膝の屈曲など、ややエラーは生じているものの、2枚には可動域に大きな違いがありますよね。で、これを実際に講座等で実践すると、「骨盤が後傾する方がハムストリングスが緩み、SLRの可動域はむしろ伸びるんじゃないか?」という質問を結構もらうんです。

これ、すごく面白い観点なんですよね。骨盤が後傾する=ハムストリングスが緩むイメージできますが、正確にはハムストリングスの起始部(坐骨結節)と停止部(脛骨内側顆)が「近づいている=短縮している」というのが正しい表現になります。

起始部と停止部が近づくということは、ハムストリングスの「動かせる範囲」が減っているという状態なので、結果SLRの記録も出にくくなるんです。

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