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脊椎を理解する②胸椎の特徴と起こりやすいアライメント不良。身体に与える影響と原因、アプローチ

脊椎(頚椎・胸椎・腰椎・仙骨・尾骨)のアライメントを包括的にまとめていくこのシリーズ。第2階は胸椎です。胸椎のアライメント不良と言えば、考えられるのは胸椎の進展・回旋可動域が低下していたりとか、胸椎が過度に後弯して伸展筋群の出力が低下していたりなどが考えられます。背中が丸くなることで、伸展筋群である脊柱起立筋、胸最長筋、多裂筋などがうまく働かないというケースですね。

脊椎の生理的湾曲

胸椎の興味深い点は、胸椎のアライメント不良とか動きの不良があったとしても、胸椎の構造的負担、筋群の硬縮がそのまま胸椎周辺の痛みとして発生しないことがほとんどだという点です。実際、クライアントでもトレーナー自身の経験においても、胸椎の可動域不全=胸椎が痛いというケースを見る機会は、まれではないでしょうか。

胸椎は元々後弯しているので、椎間板の負担が少ない分痛みが出にくいと考えられています。では、そのアライメント不良がどこに悪影響を及ぼすとかというと、頚椎とか腰痛です。生理的湾曲で前弯していて、かつ体重(頸椎の場合は頭部の重量)を支えている頚椎・腰椎に負担が集中します。この2つにはさまざまな理由で痛みが出やすいのですが、多くのケースにおいて、「胸椎の動きが悪いと腰椎・頸椎で代償する」というエラーが、自然に起こりやすいことを覚えていてください。その場合、首や腰回りにどれだけアプローチしても、効果は一時的なもので終わってしまうことが多いです。

3つのアプローチ

実際に、胸椎周りのアプローチはどんな選択肢があるかというと、マクロの視点で3つの方法が考えられると思います。

①胸椎のモビライゼーション
胸椎可動性を取り戻していくアプローチです。

②胸郭の拡張と感覚入力
呼吸にともない胸郭が拡張できる状態を作ります。つまり、肺が膨らむスペースを確保するために肋骨がしっかりと動く状態を作るということです。肋骨の可動性がないと、腕の挙上にも悪影響が及ぶので、胸郭の拡張はパフォーマンスアップにもつながります。

③胸椎の運動学習
胸椎周りのアライメント評価で、「この人は現段階で、すでに十分胸椎の可動域が確保されている。なのに、姿勢や運動時にそれが発揮できていない」というシーンに出くわすことがあります。そこで考えていきたいのは、「この人はどんなイメージで胸椎の運動を行っているか」ということです。

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