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たっぷりの糖が大腸の「壁」を壊してしまう?そのメカニズムを解説

今日のテーマは、「糖の過剰摂取が大腸の健康に与える影響」です。特に、このnoteでは「大腸上皮」という機関の特性と、糖の過剰摂取との可能性について紹介したいと思います。

バリア機能としての大腸上皮

多くの人が知っている部分ではありますが、まずは大腸のことからおさらいしていきましょう。大腸は消化器系の一部で、主に食物の残渣を処理し、水分を吸収し、排泄物(便)を形成する役割を果たします。大腸は直腸、S字結腸、降行結腸、横行結腸、昇行結腸、盲腸(虫垂も含む)から構成されています。

そして、大腸の内部は上皮組織で覆われています。上皮組織は体の表面や内部の管状構造を覆う細胞の層で、大腸上皮はその一部です。大腸上皮は主に吸収と保護の役割を果たします。大腸上皮はいくつかの種類の細胞から成り立っているのですが、その中でも主要なものが「吸収細胞」と「分泌細胞」です。

吸収細胞
吸収細胞は主に、水分と電解質(体内の化学反応に重要なミネラル)を吸収します。これにより、食物の消化過程で失われた水分と電解質を体が再利用できます。

分泌細胞
分泌細胞の役割は、そのままずばり「粘液の分泌」です。分泌細胞で分泌される粘液は、大腸の内壁を潤滑な状態に保ち、排泄物の通過を助けます。

また、大腸上皮は外部の病原体から身体を保護するバリアとしての役割を果たしています。このバリアを維持するためには、大腸上皮の細胞は常に新しく生まれ変わる必要があり、これを「細胞の更新」「細胞の再生」と呼ぶのです。

そして、細胞の更新は主に「腸管幹細胞(ISCs)」と「遷移増幅細胞(TA細胞)」によって行われます。これらの細胞は、いずれも大腸のクリプト(大腸の内壁に存在する小さなくぼみ)に存在します。

腸管幹細胞(ISCs)
長官幹細胞は自己複製能力を持ち、新たな細胞を生み出す役割を果たします。つまり、ISCsは新しい大腸上皮細胞の「源」です。

遷移増幅細胞(TA細胞)
遷移増幅細胞から生まれた細胞は、迅速に分裂して大量の新しい細胞を生み出します。これにより、大腸上皮の細胞が効率的に更新されるのです。

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