脳が受け取る刺激=感覚情報から考える運動習慣や運動指導
私たちは普段、主に視覚・体性感覚・前庭覚などから得られる刺激=情報を脳で統合させています。この3つの感覚をミクロに観察すると、その中身はかなり幅広いです。視覚であれば、色、形状、光、対象との距離、中心視・周辺視などが該当します。
体性感覚は触覚刺激といえるので、熱い、冷たい、圧、痛いなどの情報です。前庭覚の場合、頭部の位置や傾き、姿勢などの情報が当てはまります。こうした膨大な情報をうまく統合できていないと、それがストレスとして脳に蓄積されます。
そのストレスが自分のキャパをオーバーするまで溜まってしまうと、疲れや痛み、老化などのネガティブな反応へとつながります。この点を踏まえて、日々の運動習慣や運動指導で覚えておきたい豆知識をまとめました。
ランニングマシンよりも外で散歩がいい理由
普段から、身体づくりの一環でランニングマシンを使用している人は多いでしょう。トレーニングと並行して運動できるし、天気に関わらず運動できるなど、メリットは多いです。
しかし、ランニングマシンは感覚刺激が限定的であるという点がよく指摘されます。ランニングマシンで走っているとき、基本的に得られる刺激は着地時の足からの刺激=体性感覚のみです。同じ場所を延々と走っている(歩いている)だけのため、視覚・前庭覚からの情報はほぼありません(歩行・走行時の頭部の揺れということで、前庭覚には若干の情報が入っているといえます)。
つまり、歩行・走行動作や着地時の衝撃で前方へ進んでいるという情報が入力されているはずが、他の情報からは異なる情報が入っているという状態になります。この場合、感覚情報の統合がうまくいかず、ストレスになりやすいです。
もちろん、一切運動しないよりもランニングマシンで身体を動かすほうが、身体に有益な点は非常に多いと思います。しかし、本来の「前方へ動く(走る・歩く)」という行為から得られる恩恵を最大限に高めたいのであれば、屋外を歩いたり走ったりしたほうがいいです。そのほうが、より多くの情報刺激が得られますからね。
特に、緑豊かな自然がある公園などを散歩したりジョギングしたりすると、メンタルヘルスにも高い効果を発揮します。若い人であれば、日々のリフレッシュとして、高齢者であれば認知機能改善として、なるべく外で身体を動かす頻度を高めるほうがいいでしょう。
フォーム指導で重要なのは結果よりも過程
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Brain Special Magazine
運動指導者の方へ向けて「脳」について理解し、パフォーマンスを高め機能改善などを行えるように学べるコンテンツです。
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