エンデバー育成事業に想うこと ~必要なのは、スキル教育だけなのか~
みなさま
新年あけましておめでとうございます。
半人前コーチ@六本木一丁目事務所です。
昨年度は大変おせわになりました。
本年もどうぞよろしくおねがいします。
さて、年末年始は高校生の合宿に明け暮れる日々でしたが、
みなさんはいかがお過ごしでしたでしょうか?
当部は、1月4日~の遠征で、かなり得るものがありました。
やっぱり強豪校とやらせていただくと、勉強になります。
本日書かせていただくのは、どちらかといえば、ミニバス視点の話。
先程JBAにこんな記事が上がっておりました。
http://www.japanbasketball.jp/coach/48212?fbclid=IwAR0E1pyWgAMFRPdFT5oEQXflWHVex1_0stt0mAc5COrgIuxlVvQ7JciKNA8
その中の第4部に、
「2016年からの男子日本代表の取り組みから、今後の選手育成を考える」
という内容があり、そこでは基本的には世界基準の選手育成について、
鈴木良和氏からコメントがあったようですが、
ゴールドスタンダード・ラボのfacebookの投稿によると、
鈴木良和氏は、一方でこんなお話もしていたようです。
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20人の選手がいて、5名の良い選手を輩出したとしても、
15名の選手がバスケットを嫌いになってしまって辞めてしまっている。
それは、育成世代のコーチとしての正しい指導なのだろうか。
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そのような問題提起もされていました。
私がエンデバー育成事業いつも疑問に思っていることがありました。
それは、鈴木良和氏の問題提起に似ている部分でもあるのですが、
・育成年代でのスポーツ教育は、スキルや能力開発のと共に、
・人間教育、心の教育としての役割も極めて重要
であるという認識にも関わらず、
後者の重要性や指針については、何も示されていない。
これを私は、大きな問題であると認識していました。
私がミニバスでの教育で、最も重視している点は、
1.自分のことは、自分で考え、判断できる人間になってほしい
2.ゴールに向かって、全力で走れる人間になってほしい
3.人に信頼され、周りの幸せのことも考えられる人間になってほしい
というものです。
↓ 重視している点について、過去に書いた記事です。
https://note.mu/miyagi_junior/n/nc57e33806134
これは、技術よりも重要なことだと認識しています。
スキル面、能力面については指導の方向性の指針が明確に
示されつつあると思いますが、
人間教育の面、つまり心の教育が重要であることや、
その双方が出来て、一人のアスリートになることなど、
そのあたりの重要性や指針については、エンデバー育成事業として
示されることはありません。
もちろん、これを示すのはJBAの役割ではないかもしれませんが、
だとしたら誰が、どの組織がその未来を示すのでしょう。
そして、その”教育”について、誰が質を高める動きを
先導するのでしょうか?
完全な主観と、完全な私見になりますが、
能力開発について指針を全構成員におろしていくのであれば、
人間教育についても、JBAが何かしらの方針を示し、
それに基づくモデルを提示し、ゴールとする方向性について、
指し示す必要があると思います。
現在の指導者ライセンスの基準は、ほぼスキルに関する研修や
チェックによってその権利や資格を与えていると思います。
そこに、人間教育に関する教育理論や役立つスキル/研修、
持つべきコーチングの能力規定などは存在しません。
私が学校教育と、スポーツ教育とが、
今後別々の組織として運営されていくことを考えたとき、
スポーツ教育こそが人間教育の場であるべきだと思います。
・自分のことを、自分で判断することを学び、
・目標を設定して、そこに努力する難しさ、楽しさを学び、
・一人ではなく、チームで一丸となる喜びを学び、
・人間の生き方、戦い方を学んでいく。
これが、スポーツ教育を担う機関には課せられているのではないでしょうか。
ですが、現在はスキル/能力開発の項目しか、
エンデバー事業では各エリア、各チームにおりてきません。
練習方法についての伝達のみしか、行われないのです。
日本代表選手を作ることだけが、ゴールなのでしょうか?
競技が強化されることだけが、育成年代のゴールなのでしょうか?
そこに私は、疑念を禁じえません。
もちろん、そのようなことが組織から降りてこなくとも、
我々指導者は当然、双方を重視すべきですし、
学んで行くべきですし、意識していくべきですが、
鈴木氏の発言の通り、極論、
・1人の抜群に優秀な選手を輩出することのほうが、
・20人の素晴らしい人間を育てるよりも重要
という風に見えなくもないことに、私は危機感を覚えるのです。
ある漫画でこんな1場面がありました。
「“法”とは願い!国家がその国民に望む人間の在り方の理想を形にしたものだ!」
JBAが求める教育ゴール、理想像はどんな人間なのか。
それを明示した上で、スキル/能力開発部分と共に、
人間教育の在り方も提示されるべきかなと、
ちょっと心に引っかかっていたことを、本日は書かせていただきました。
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