海外ロングトレイルの歩き方ー歩く編(自然、天気、動物、買い物と装備の買い方)
ロングトレイルの歩き方についてまとめ
ロングトレイルの歩き方ー準備編(パーミット、ビザ、保険、仕事を辞める前にすることなど)
ロングトレイルの歩き方ー装備編(ギア、ウエア、アクセサリーなど)
ロングトレイルの歩き方ー装備編(携帯回線と電子機器とカメラなど)
ロングトレイルの歩き方ー歩く編(自然、天気、動物、買い物と装備の買い方)
四部構成にしていましたが、文章が大きくなってしまったのでいつ終わるのかわからなくなりました。
前回の記事はこちら
今回はアメリカに入国してから最後まで歩くことについてまとめました。
アメリカの単位
日本ではメートル法ですが、アメリカではヤードポンド法です。
ヤードポンド法は人体の大きさなどに基づいて作られた単位なので慣れると楽なのですが、大きさが変わると単位まで変わる場合があるためかなり不便です。アメリカの人が大雑把で計算が苦手なのはこの文化から来てる気がします。
でもマイルは使いやすい。(というか慣れ)ハイカーは毎日マイルを気にして歩くと思います。毎日マイルを気にしながら歩いていたらマイルの方がなぜか距離感が掴みやすい錯覚になります。
歩き始めは15-18mi
慣れたら20-23mi
強い人は25-35mi
上記のペースで歩くと良いと思います。
しかしゼロデイなど含めて単純計算では毎日18mi(28.9km)は最低歩かないとカナダ国境は到達できません。
1mi=1.6kmと覚えておきましょう。
計算がめんどくさいなら1.5倍してちょっと足すぐらい大雑把で良いと思います。
僕の頭の中ではこうやってました。m=マイル
m+m/2+m/10=1.6m
自然を理解すること
まずは出発前にすることでもあるのですが、自然を勉強することです。
自然に慣れていることで、生活や冒険を楽しむことができ、注意点や危険を知ることができます。例えば、天気や気候、地形、動植物などを知ることで、旅行や冒険をする上での予測や準備ができるようになります。
さらに、自然を知ることで、自然を尊重して、自然を守ることができるようになります。自然を知ることは、ロングトレイルを歩く上で大切なことです。
長距離自然歩道は自然や文化を理解するための教育的意味も込められて設計されています。
例えばPCTは太平洋海岸山脈というアメリカ西海岸にある山脈を歩くことがテーマです。太平洋海岸山脈は、太平洋側に広がる山々の総称で、その中には、北アメリカ最高峰のマウントホイットニーや、ワシントン州の氷河地形などが含まれます。この山脈は、火山活動や地殻の動きにより、長い歴史の中で形成されてきました。
このような歴史をWikipediaなどで読んでおくと楽しめると思います。特にPCTはサンアンドレアス断層が形成した山脈から砂漠を歩いてシエラネバタ山脈へいくルートなど楽しいです。
石についても勉強をすると今踏んでいる大地がなんとなくわかります。
特にヴァスケス・ロックスは好きです。サンアンドレアス断層が地表に現れる場所で地層が剥き出しています。PCTの大地の歪みを感じ取れる貴重な場所です。
ここにはインディアンの痕跡があり、ハリウッドとも近いので数多くの映画のロケ地でもあります。スタートレックとかビッグバンセオリーとか猿の惑星とか…私は感動して3-4時間ぐらいここにいました。また行きたい。
地学は面白いので何か一冊買ってみていいと思います。
日本がいかに特殊な地質なのか理解できると思います。
わかりやすいことだと、氷河地形のU字谷や氷河湖を判断できると楽しいですよ。
天気・気候
日本の気候は範囲が狭く気候がはっきりしていますが、アメリカの気候は、幅広い範囲にわたりますので、全国的な気候を一括りにすることは難しいです。しかし日本と同じように北部には寒冷な気候が、南部には温暖な気候が広がっています。
特徴としてはアメリカの天気はジェット気流が大きく影響するそうです。
乾燥した土地が多く森林火災が全体的に発生しているようです。
また、アメリカには、様々な気象現象が起こることがあります。例えば、熱帯低気圧が接近すると、ハリケーンが発生します。また、中部や東部では、大雪や暴風雪が起こることがあります。西部には、森林火災が起こることがあります。さらに、中部や西部では、砂嵐が起こることがあります。
アメリカの気候や天気は、その地域や季節によって大きく異なりますので、その地域や旅行する季節を考慮して、天気や気候に応じた服装や備えをするようにしましょう。
PCTの天気としては、
ワシントンは10月から雨や雪が降り、
オレゴンやカリフォルニアは基本的に晴れることが多いです。
しかしシエラ付近は標高が高いため天候が崩れやすいです。私が歩いている時にも真夏に雪が積もりました。
シエラの雪は下記URLから確認できます。毎年更新されており、2017年の雪がいかに異常だったかわかりますね。
2022年の雪はアベレージの量といっても問題なさそうですね。
https://cdec.water.ca.gov/cgi-progs/products/PLOT_ESI.pdf
PCTではワシントンに雪が降るまで歩けると言われていますが、こちらの天気はジェット気流次第らしいです。
毎期の降雪予報や天気の傾向は予測されているので下記URLなどから調べると良いと思います。
しかしあくまでも予想です。
2022年のオレゴン以北はウェット予報だったのに全然雨が降らず火事ばかりでした。
動物
世界にはたくさんの動物がいます。危険な動物に関してはビジターセンターへ行くとよくわかりますが、現地のトレイルの特徴を理解して危険な動物と距離を取れるように知っておきましょう。
PCTは豊かなフィールドの変化があるため動植物も大幅に変化します。
例えば私が歩いたPCTの危険動物といえば…
哺乳類や爬虫類
・ブラックベアー
・グリズリー
・マウンテンライオン(クーガー、ピューマ)
・コヨーテ
・ネズミ
・ガラガラヘビ
虫類
・ヒアリ
・サソリ
・タランチュラ
・マダニ
・モスキート
・ハエ
ブラックベアー
ブラックベアーはあまり人を襲わないと言われていて、ベアースプレーを持っている人も少なかったです。
ただキャンプ場で餌を拾ったブラックベアーが味を覚えてキャンプ場を出入りしている場所もありました。
このような場所や鉢合わせをしたりしたら事故が起こることもあります。
アメリカの山間部の広い範囲にいるそうです。
グリズリー
日本ではどちらがどう違うとかあまり情報が上がってこないですが、現地ではグリズリーは大型で爪も長くて危ないと言われました。
しかし、どちらも人間以上の大きさで危ないので遭遇しないように注意しましょう。カナダ国境に近いほど生息数が増えます。
マウンテンライオン(クーガー、ピューマ)
数年前ハイカーがマウンテンライオンに噛み殺されたそうです。
二人で歩いていたハイカーの一人が襲われ、その間にもう一人が逃げて、ターゲットを変えたマウンテンライオンが逃げた一人を噛み殺したそうです。
最初に襲われたハイカーは頭蓋骨が割れてしまったそうです。
現地に行くとマウンテンライオンの看板があり、「逃げずに戦え」とあります。逃げると猫科の習性で襲っちゃうみたいですね。
遭遇したら戦いましょう。
コヨーテ
事故はほぼ起きないみたいです。でもアメリカで狂犬病にかかっていたキツネが人を襲った事件も今年起きていたので0%ではないと思います。
ネズミ、リス、マーモット
齧歯類は結構厄介なので注意。テントを食い破って食料を漁ってきます。テントを食いちぎられるともうめんどくさいです。
私はサコッシュをリスに食い破られました。
ガラガラヘビ
人間がちょっかいを出さない限り噛み付いてこないですが、人間か気づかずに近づいてしまうことはたくさんあります。
トレイル状で何匹も遭遇しましたが、2-3度踏みそうになりました。
ガラガラヘビは猛毒なので踏まないようにしましょう。
無理して撮影しないようにしましょう。
ヒアリ
刺されて、直径20mmぐらい皮膚が壊死しました。カーボーイキャンプをする時は注意。簡単に寝袋に入ってくるので厄介です。
サソリ
Mojave砂漠で何匹も踏みそうになるぐらい見かけました。動きもゴキブリみたいに早く、種類によっては毒も強いので踏まないように注意。砂漠をナイトハイクしていたら見かけるかも。
タランチュラ
弱毒なので大丈夫。一目でも自然にいるタランチュラを見てみたかったな〜
観察するためにはナイトハイクをしないと見つからないそうです。
(ハイカーのチリが言ってた)
マダニ
狩猟をしていると鹿や猪にくっついているマダニの量に引くと思います。日本全国、アメリカにもいるのでマダニピッカーは持ち歩きましょう。
なるべく肌を出さないこと。でも短パンで歩きたいよね〜
モスキート
雪解け後の季節は大量発生します。蚊帳と虫除けは必須。
サシバエ
たまに刺してくるハエがいます。日本もアメリカも油断をしているとハエに刺されるので注意を。刺されると痛痒くて、血が出ます。
見た目はハエだけどブヨと同じような虫なので注意を。特にアメリカはハエが多いので一度刺されるとハエが怖くなります。
買い物
日本ではコンビニとドラッグストアが万能に商品を揃えていますが、日本のコンビニの便利さは異常です。なんでもできて、どんな支払いもできて…
日本以外にそんなサービスをしているお店があるのでしょうか…
アメリカではガソリンスタンドがコンビニとして機能しています。さらにスーパーマーケットもチェーン店から個人営業まであります。
トレイル中ではこのすべての店を駆使して買い物をします。
「supermarket」や「grocery store」「store」でも伝わるかと思います。
どの食材も巨大なのでびっくりするかと思いますが、ハイキングをして毎日歩いているといくらでも食べられるようになりますし、食べ残しはトレイルへ持っていけば大丈夫。
お買い物は文化の違いを強く感じると思うので工夫して楽しんでください。
アイスクリームが1番カロリーを接種しやすいと思います。
一食で約1000kcalほどです。
ハイキング装備の買い替え
4000kmも歩いていると装備は壊れます。
基本的には装備を投げたり乱暴に使わないようにするべきですが。そうは言ってられない状況でもあるのでどうしても壊れてしまいます。
アメリカで装備を買う
4000kmも歩いていると装備は壊れます。
基本的には装備を投げたり乱暴に使わないようにするべきですが。そうは言ってられない状況でもあるのでどうしても壊れてしまいます。
なるべくリペアできるようにリペアキットを持ち歩くとそのような問題でも対処可能です。
しかし、リペアするための部材を買ったり、修理不可能だったり、不快だと分かった商品だったり歩いていて判明するものです。
トレイル中の街にアウトドアショップもたくさんありますし、PCTに使える装備も日本より手に入りやすいです。しかし、他にもハイカーが歩いており、どうしても装備は品切れしやすくなっており、目的の商品が簡単に手に入るとは限りません。
そのような時はAmazonやREIやモンベルアメリカで商品を購入します。
PCTの場合は基本的に田舎町でリサプライをします。そのような場所では理想の商品は見つかりません。アメリカの通販は到着まで時間がかかるため1-2週間後に到着する街へ事前に商品を送る必要があります。なので急ぎで必要な装備は気をつけてください。
私が現地で利用した通信販売はAmazonとREIのみです。
どちらも事前に登録しておくといいかと思います。クレジットカードの照会などアメリカは検査が厳しいため買主の住所は日本の住所を入力しましょう。引っ越しなど出発前に控えている際はお気をつけて。。
送り先はトレイルエンジェルの家かPCTを支援しているリサプライ先の住所を使いましょう。住所などの情報はFaroutに記載された情報を使うか、事前に電話して送ってもいいか相談するといいです。たまにUSPSへ送っても良い場所があるらしいです。USPSの従業員次第の判断みたいです。
ただどうしても必要な装備があるならヒッチハイクをして街へでて買うしかありません。
靴は基本的には600-1000kmほどで壊れるので事前に送ってもいいと思います。
PCT DAYSというハイカーイベントでは無料でリペアしてくれるブースがありました。
日本からアメリカへ荷物を送る
事前にシューズを送ったり、家族に必要な装備を送ってもらったりできます。1番わかりやすく送料が安いのがEMS(国際スピード郵便)です。
郵便局から送ることができ、窓口もあって相談も可能なので家族の方も安心して送ることができるはずです。
到着まで2-4週ほどでした。1ヶ月事前に送る必要がありそうです。
私は耳かきや食料やリペアパーツなどを送ってもらいました。
あとシューズはUS8などはアメリカでは端サイズとなります。なので売り切れることも多々あるため日本から送ってもいいかも知れません。
日本から送る場合は羊羹がおすすめです。
まじで羊羹は最強。
日本から送ったり、日本から持ち込んだほうがいい食べ物
・羊羹
・ドライ納豆
・カレー粉
・カレールー
・アマノフーズ関係のご飯
・アマノフーズのカレー
やっぱり日本のご飯は美味しい。
下記の食品を送ると便利です。アメリカではミニッツライスというインスタントご飯が簡単に手に入るのでご飯は送らなくても大丈夫でした。
アメリカでは荷物は投げられるので絶対に角にはテープを巻いて頑丈にしておきましょう。
アメリカから日本へ荷物を送る
アメリカにはクロネコヤマトやFedexやDHLなど様々なサービスがありますが、郵便局の国際郵便のUSPSが1番便利でした。値段もおそらく1番安いかと思います。
小物を送るぐらいなら一回でまとめて大量に送ったほうが安いかったです。
私はレイクタホ(PCTの真ん中に位置する大きな街)に不要になった荷物やお土産をまとめて日本へ発送しました。この時にベアーキャニスターも送りました。
受付で「日本へ荷物を送りたい」というと海外発送用紙をくれるので言われた通りに記入したら大丈夫です。トラッキングナンバーも発行されます。
梱包する箱も自由です。USPSでは無料有料の箱も用意されています。支払いもクレジットカードが使えます。
注意点としては、ギフト扱いにする場合は受取人の名前は家族や友人の名前にしましょう。
私は一度YosemiteのUSPSで自分には送れないなどと受付を拒否されて非常にめんどくさい思いをしました。従業員次第だと思いますが…
アメリカはアウトドア大国なのでアメリカでしか買えない商品もたくさんです。特にREIの商品は面白いのでぜひ。
ただ中には遅れない荷物もあるので注意してください。
まとめ
いつこのnoteが終わるかわからなくなってきました。
PCTの記事
Masaki Miyazaki
自転車で日本一周、アメリカ Pacific Crest Trail 4200km をスルーハイク、宮源酒店、MIYAGEN Trail Engineering、元アウトドアメーカーのエンジニア、デザイナー、PREDUCTSエンジニア
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MIYAGEN Trail Engineering
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