最近の記事

     金鶏鳥 (一)

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    • 書籍「金鶏鳥」の表紙が完成しました

      長篇小説「金鶏鳥」、現在書籍化に向けて手直しおよび校正に入っています。この夏にあちらこちら手を加えましたので、最終版が完成し次第旧版は取り下げようと思っております。 表紙が完成しましたので、タイトル画として紹介させていただきます。 とりいそぎ近況報告まで

      • 夕日ヶ浦温泉

        京都丹後の夕日ケ浦温泉は日本海に面している。そこの旅館の一つ、花ゆうみを訪れた。広い駐車場を横切り数段上がると和風造りの門をくぐる。右手は広々とした芝生がある。遠くに木立の間から白い球体が見えた。何だろうと思っていると、後ろの人がグランピングサイトだと言っているのが聞こえた。左手には屋根付きの回廊がある。 回廊の下を小川が横切り、左手に曲がると小さな池が見える。そこを過ぎると正面玄関だ。玄関入ってすぐ右側に下駄箱があり、番号札を横の受付に見せると入浴券が渡された。受付の前を

        • 昭和の小風景 #2

          酒といえば、父を思い出す。私が学生だった頃、晩御飯時はいつもガラスのコップに清酒を入れて 「水や、水」 と弁解するかのように、チビチビ飲んでいた。本当の水ならゴクゴク飲むだろうにと思いながら、ひと口ひと口味わって楽しんでいる父を見ていた。 私が京都の伏見に居を移してからは、たまに実家へ帰るときにお酒を買っていった。父は食卓の横に一升瓶を置いていて 「伏見の月桂冠や」 と言って、幸せそうに飲んでいた。そして 「酒は百薬の長や!薬は飲み過ぎたらあかん」 と言いながら、堂々と飲ん

        金鶏鳥 (一)

          昭和の小風景 #1

           子どもも大きくなり、あまり変化のない毎日を送っていた頃だった。近くにカラオケボックスなるものができたと娘に誘われた。歌うのは好きだが音痴なので人前で歌うのは気が進まない。けれど娘とならまあいいかとも思ったし、最近あちらこちらにできてきている『カラオケボックス』というものにも興味があった。  カラオケ店の階段を上がって、受付をすると個室に通された。 「飲み物は何にする?」 と娘がメニューを手渡した。そのカラオケ店はドリンクを頼まないといけないシステムらしい。コーヒー、紅茶など

          昭和の小風景 #1

          きょうの小風景 (5) 桜まつり

          桜まつりの季節がやってきた。 去年も一昨年もコロナ禍で中止されていた公園の桜まつりが、今年は開催されるのだ。2年間の役員だったが、イベントはすべて出来なかった。この桜まつりが、唯一のイベントということになる。 朝10時の開催だが、役員は8時半集合だった。10分前に行くともうテントが張られてあり、男性陣は長テーブルや長椅子を運んでいた。彼等は7時半に来たらしい。パイプイスを運んでいる女性は、顔見知りに会うと 「久しぶりやなぁー、元気やったか?」 「コロナ禍で誰にも会えんかった

          きょうの小風景 (5) 桜まつり

          きょうの小風景 (4) 蝋梅

          自転車に乗ろうとガレージに行く。フッと傍に目をやると、鉢植えの蝋梅の木に新芽がついていた。枯れ枝でもうダメだからとガレージの端に放りっぱなしにしていた。捨てようかと思っていた矢先だからとても嬉しかった。 思い起こせば16年前、11月に入り食事が進まない主人に 「病院でみてもらったら?」 と勧めた。 すると普段なかなか医者に行かない主人だったが、今回は素直に従った。余程体調が悪かったのだろう。 大した事は無いと思っていた私に電話で 「一週間の検査入院になった」 と主人が告げ

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          きょうの小風景 (4) 蝋梅

          きょうの小風景 (3) 宇治川散策

          今日は月曜日だが春分で祝日。ふらっと宇治の方まで足を伸ばした。 宇治川のそばの駐車場には、県外の車がたくさん停まっていた。平等院の辺りは、人で混んでいた。平等院の参道を抜けて、右手の平等院へは行かず左手の塔の島へ歩いて行く。数段の階段を登ると、土手に出る。上流にある天瀬ダムが放流された後なのだろう。宇治川の南の土手から見る川は、迫力のある流れだった。 久しぶりに土手から続く橋を渡って塔の島へ足を運ぶ。のどかな天気に誘われて、多くの子連れがこの自然を楽しんでいた。レジャーシ

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          きょうの小風景 (3) 宇治川散策

          きょうの小風景 (2) 明治、大正時代にふれたくて

          引き出しの奥から父の残したノートを見つけた。何が書かれているのだろうとワクワクしながら開いた。 父の生まれた明治時代の後期の生活が書かれてあった。 電気のない時代で、ロウソクやオイルランプを使っていたらしいが、私には想像がつかない。 大正時代に入って、ガス燈が点いたとその時の感動が書かれていた。 ガス燈ってどんなんだろう。チャップリンの『街の灯』を思い出した。形はなんとなく思い出したが、実感がない。私の身の回りにはないからだ。 すると娘の沙織が 「浜大津にガス燈がある」と

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          きょうの小風景 (2) 明治、大正時代にふれたくて

          きょうの小風景 (1) 「憩」

           数日前テレビを何気なく見ていると、丁度京都千本中立売が映っていた。 どこに向かうのだろうか。カメラの行き着いた先は、wattsの二階にある喫茶店だった。100均のwattsにはよく行っていたが、左手に階段があることにその時初めて気が付いた。周りに店の置き看板がないので、二階に喫茶店があるとは知らなかったのだ。  番組ではチョコシフォンケーキを紹介していた。厚切りトースト大にスライスしたケーキの上に生クリームを流し、その上にスライスしたバナナとイチゴを並べる。その上に又生ク

          きょうの小風景 (1) 「憩」