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きょうの小風景 (5) 桜まつり

桜まつりの季節がやってきた。
去年も一昨年もコロナ禍で中止されていた公園の桜まつりが、今年は開催されるのだ。2年間の役員だったが、イベントはすべて出来なかった。この桜まつりが、唯一のイベントということになる。


朝10時の開催だが、役員は8時半集合だった。10分前に行くともうテントが張られてあり、男性陣は長テーブルや長椅子を運んでいた。彼等は7時半に来たらしい。パイプイスを運んでいる女性は、顔見知りに会うと
「久しぶりやなぁー、元気やったか?」
「コロナ禍で誰にも会えんかったし、さみしかったわ」
「家で何しとったん?」
「テレビでニュースばっかりや」
「最近は暗いニュースが多いなぁ」
「普通に平和に暮らせるようになってほしいなぁ。」
「ほんまやなぁー」
と話した。


9時半頃長テーブルの上に苺大福やよもぎ餅、桜餅、三色花見だんごを並べた。するとポツリポツリと雨が降ってきた。
雨天の時は、講堂ですると言われていたので移動するのは大変だなぁと思った。会長がこちらに来たので
「校堂に移動させますか?」
と聞くと、空を見上げて
「大丈夫、大丈夫。この雲が通り過ぎたら、じきに晴れる」
と言う。少しすると雨が止んだ。このままイベントが終わるまでは降らないでほしいと願った。


10時過ぎに人が来始めた。
気まぐれに雨がポツポツ降るが、傘をさすほどでもない。
さくら餅が一番早くに売れて、後から来た人はガッカリしていた。次に苺大福も無くなった。
よもぎ餅は一個入りと二個入りの小分けにした。すると飛ぶように売れた。
たい焼きやコロッケ、唐揚げが並ぶ中、私の担当しているよもぎ餅や苺大福や桜餅は完売したが、アン入りかりんとうや三色だんごはまだ残っていた。
苺大福を買いに来た友達が
「久しぶりやなぁーコロナ前は毎週会っとったのに」
「もう合唱教室がなくなったから、残念やわー」
「コロナ禍では、しょうがないなぁー」
「苺大福、もう売れたん。そしたら三色だんこを貰うわ」
「はい、2つで300円です」
と三色だんごを渡し
「また何かあったら誘ってね」
と言ったが、京都のコロナ患者が1000人前後ではまだまだ会うのは難しいと思った。


桜の満開の下で大勢の人達が楽しんでいる。気まぐれの小雨の中、傘をさしながら談笑している人達もいた。話が尽きないのだろう。集まった人達も久しぶりの友達との話にはながさいていた。
昼過ぎに抹茶と和菓子の差し入れがあった。
これは、女性会の人達が立てて下さったお抹茶だった。
すきっ腹と疲れがおさまって少しホッとした。


「もう買いに来る人もいないみたいやし、そろそろ片付けようか」
と言う本部の声に従った。
大降りになることもなく、13時前には片付け始めた。
片付けながら
「大降りにならんとよかったなぁ」
「天気予報では、朝から一日中雨が降ると言っていたけど」
「普段のおこないが、いいからや」
「おたがいに」
と二人は笑顔になった。
今年の桜まつりは、大雨になることもなく大成功だった。コロナ禍で会えない人達にも会うことができて、本当に楽しい一日だった。

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