2枚の鏡の狭間で〜「今」というprologueを開く栞はどこに〜 第二話
こちら不定期連載シリーズです。
1日の隙間にでもどうぞお楽しみください。
優しさだけでなく 厳しさからも 感じ、受け取る 愛と呼ぶものとはいったいなんなのだろう
第一話では、ふんわりとぼくたちが今生きる現代までの日常の展開がスマホを起点として、簡単に説明されていきました。
そして、一話の最後で、ややも意味ありげに言い残された
「半ば無条件に設定された、スマホやその中身が最新で充実していけば、自分の人生も新しく広がりのあり豊かなものなるという朧げな未来を目指しながら…」
というセリフですが、その目指す未来を今日の目的として進んできた、ぼくたちの日々とはどのようなものだったのでしょうか?
一話で重要そうなキャストとして登場した、OSのおやっさんですが彼は今日いったいどこでお仕事をしているのでしょうか?
さぁここで、OSのおやっさんがどこにいるのか、みんなで呼んでみましょう。
みなさん準備はいいですか??
いきますよー
「せ〜の〜」
「OSのおやっさ〜〜〜ん」
「・・・」
「おう…」
あっ
今手に持っているスマホから声が聞こえてきました。
そうでしたそうでした。
スマホにはもちろんのことOSのおやっさんが住み込みで居てくれていて、今日、今この瞬間だって、スマホを動かしてくれていて、昨晩寝落ちした友達からのメッセージの返信通知や、今朝のアラームだって、OSのおやっさんの手抜きのないお仕事の賜物だったのでした。
まさに24時間体制のお仕事です。
もし明日の朝、OSのおやっさんが寝坊したり手抜き仕事をしようものなら、ビジネスマン、主婦、学生、近所の野良猫のタマザエモンでさえも、全世界がパニックになることでしょう。
それほどぼくたちの一日はOSのおやっさんの支えにより成り立っているようなものなのです。
OSのおやっさん、いつもありがとうm(__)m
毎日ご苦労さまです。
OSのおやっさんはいつ寝てるのかな?
そうか、、寝かせてないのはぼくたちか…
たまにの充電切れの時くらいはゆっくり休んでね。OSのおやっさん。。。
そんなこんなで、スマホから聞こえたOSのおやっさんの声にいろいろ思い巡らせていた矢先…
「おうっ」
やや高めの声が別のところから聞こえてきました。
その声のする先へ目を向けると。
なんと、それは電子レンジでした。
ちょうど電子レンジが、さっき入れた昨日の残り物のゴーヤーチャンプルーの温め終了を告げていたのです。
あれ?
電子レンジの音って「チンッ」じゃなかったっけ?
ということはもしかして…
そうです。
実は電子レンジの運転だって、OSのおやっさんがこれまた手抜きなくお仕事してくれていたのです。
なんと、OSのおやっさんはぼくたちの食卓まで支えてくれていたのです。
ところがこれまた次の瞬間。
家中のいたるところから
「おう!」
「へい」
「あいよっ」
「いちいち呼ぶんじゃねい!」
「おうよ」
無数に声が鳴り響いたのです。
あるところでは洗濯機。
またあるところでは冷蔵庫。
テレビ。
エアコン。
家中の家電、電子機器のいたるところからOSのおやっさんからの声が聞こえてきたのです。
そう。
家電、電子機器の作動には、すべからくOSのおやっさんがいたのです。
実はぼくたちが過ごす一日の中に、存在すら感じないほどに、OSのおやっさんは溶け込んでいたのです。
今や電子制御されているモノはOSのおやっさんが必要不可欠だったのです。
時に厳しく、時に優しく、全てを包み込んでくれるOSのおやっさん。
これからは故障かな?と思っても叩かないようにするよ。。。
さて、今日一日のたった10分間に目を向けるだけでも、ぼくたちはスマホのみならず、OSのおやっさんが運転するたくさんのモノ達と共に過ごしていることが分かってきました。
別の捉え方をすると、近代の文明の歩みとは、生活の中でOSのおやっさんが乗り込むモノを一つずつ増やしてきた歴史とも言え、そのモノ達が今日の一日を豊かにしてくれてきた歩みでもあったのです。
一日を共同創造するパートナーはスマホだけではなかったのです。
そこには無数のOSのおやっさんのお仕事があったのです。
そしてごくごく最近のOSのおやっさん事情でいうと。
「IoT」
です。
顔文字ではありません。
IoT (Internet of Things)
「モノのインターネット」です。
簡単にいうとモノをインターネットに繋げて、色々便利にしてやろうという考えです。
今や「IoT」という言葉が、ネットニュースや日本中の新たな時代を模索する会議室をお騒がせしています。
※ここで語るIoTですが、IoT当局の方々からするととても幼稚な説明かもしれませんが、ここではお許しください
そもそも、モノがインターネットに繋がるとどういうことが起こるのでしょうか?
まず、インターネットを使うことによって、一つの端末と別の端末でデータのやり取りをすることができます。
今までは、一つ端末でOSのおやっさんの名人芸的お仕事で完成した一つのデータファイルを、何かフロッピーディスクやUSB、SDカードに保存して、別の端末に移動させ、別端末のOSのおやっさんがデータファイルを起動させていたのでした。
それがインターネットを経由することにより、「別の端末への移動」のフェーズで革命が起きたのです。
インターネットは、「移動時間」を大幅に短縮させ、「移動距離」を平気で地球の裏側まで繋げてしまったのです。
ほんの数十年前までは、OSのおやっさんの仕事により仕上げられたデータは、誰かのバッグに大切にしまわれて、
車に乗ったり、船に乗ったり、飛行機に乗ったりしたものでした。
当時は、我が子のように育てた大切なデータが本当に届くかもわからず、別れがたくも涙を見せないよう、ただ「行ってこい」とだけ言うOSのおやっさんの背中があったものでした。
それが今ではボタン一つです。
OSのおやっさんにとっての当時の革命も、これもまた今の当たり前の中に溶け込んでいるのでした。
そして、インターネットは移動の時間と距離に革命をもたらしただけでなく、ネット空間という空間にも革命をもたらしました。
ぼくたちが普段過ごす空間以外に、目には見えない領土さえももたらしたのです。
そこには世界の、または誰かのありとあらゆる情報が詰まっています。
その情報とは、数字、文字、画像、動画です。
そしてその情報はすべからく電気信号によるデジタル情報です。
そのネット空間にある情報が、またぼく達の一日を豊かにしたり、新たな発見をもたらしたり、一喜一憂させたりしています。
インターネットの登場はOSのおやっさんの進化だけでなく、人類の文明にとても大きな変化をもたらしました。
しかし、当時の革命を経験したOSのおやっさん達はPCや携帯だけでした。
そして携帯はスマホに進化しました。
それが今日ではIoTです。
モノのインターネットです。スマホやPCだけではありません。
モノ全てですか?!
いいえ。ここで大切なポイントがあります。
実はスマホやPCがインターネットに繋がるという行為さえもOSのおやっさんのお仕事の一つなのです。
なのでインターネットと繋がるモノとは、OSが運転するモノなのです。
そのモノ達がインターネットに繋がり合うのです。
これには家中のOSのおやっさんもびっくりです。
今まではスマホやPCというモノだけで繋がり合っていたのですが、それがさまざまなモノ達がインターネット空間に投げ込まれることになります。
そして、モノがインターネットに繋がることによって、モノの遠隔操作やモノが持っている情報をどこからでも知れるようになったり、モノ同士が連動したりします。
「俺ぁ、テレビとは仲良くできねぇ」
そんな声が洗濯機から聞こえてきそうです。
「あいつが俺の仕事なんてわかるもんかっ」
こんな声も家のどこからか聞こえてきそうです。
今まではこっちはこっち、あっちはあっちでやってきたのに、いきなりそれが別の場所と繋がり出すのです。
何やら、昨今の「今の時代流」に馴染めるかの、ぼくたちの現実にも似ていますね…
じつは、町工場のおやっさんや、額の汗を拭いながら交差点を走るYシャツのおやっさんも直面している現実と、OSのおやっさんに押し寄せる現実はとても似ていたのです。
「時と場所を超えて繋がれる」
インターネットの世界は全世界すべてのおやっさん達に大きな波で押し寄せるのでした…
つづく
今回も読んでくださりありがとうございました!
しかしほんと今となってはOSのおやっさん無しには生きてはいけないくらいに日々支えてもらっていますね…涙
そして第三話ではまたどんな展開が待っているのでしょうか??
これからも暇な時や時間つぶしにでも日々の隙間に読んでいただけると嬉しいです:-)
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