デザインの手札を増やす01

デザイン視点で、どうぶつの森が愛される理由を考えてみた

このnoteの目的

色々なユーザー体験について考えてみる練習メモです。
・「どうぶつの森」とはどんなユーザー体験から成り立っている?
・年齢/性別/ゲーマー度に関わらず広く愛されている理由は?

あつまれどうぶつの森が楽しみすぎて、眠れなかった時に考えてみた事をまとめてみました。

結論

1.「自己表現」「収集欲」「発見」「競争心」が満たせる
2. 選択/行動に対してのフィードバックが早い
3. ゲーム側の事情で与えられたタスクよりも、自発的タスクを優先できる

1.「自己表現」「収集欲」「発見」「競争心」を満たす

ユーザーは、何が満たされれば「ゲームが楽しい」と思えるのか?楽しいを実感するためには、大きく4つのニーズがあるかと思いました。


●どうぶつの森のユーザー体験
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1.こだわりを表現したい
理想の状態へ近づける事に楽しさを感じるタイプ。キャラメイキングやパーティ編成など、自分のこだわりを表現するのが好き。

2.収集していきたい
レアアイテムなどを集め、集めた結果が見えたり称賛される事で達成感を感じるタイプ。

3.発見したい
もっとも強いパーティ編成や、効率的なレベルの上げ方などを発見した時に楽しさを感じタイプ。

4.競争して勝ちたい
対戦して勝利したり、ランクが上がる事にやりがいを感じるタイプ。相手ありきで楽しむ。

どうぶつの森では、この4つのニーズを満たす機能がたくさんあります。具体的にどのように満たしているか、それぞれ考えてみました。

- 1:自己表現

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試行錯誤を繰り返し、村開拓や模様替えをすることで、ユーザーは現状と理想とのギャップを埋めていく事ができます。

さらに、成果を公開することで、他プレイヤーから反応がもらえたりと、自身が満足すれば良いタイプと承認欲求を満たしたいタイプ、どちらのニーズにも答える機能が設けられています。

自分の思い描いたものを実現しつつ、成果物を自慢することで、ユーザーは所有感や承認欲求を満たすことができ「楽しい」と実感する説。


- 2:収集欲

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どうぶつの森では、限定物やレアな生き物などが1年を通して多数用意してあります。さらに、集めることで博物館が発展したり、一度手に入れるとカタログから注文できたりとご褒美もあります。

自分の頑張りを、いつでも成果として確認し達成感に浸ることができる要素が用意されていると思いました。

随所で、集めたものに対して達成感が味わえる要素を用意することで、ユーザーは収集しがいがあると感じ「楽しい」と実感する説。

- 3:発見

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お金稼ぎや村の開拓と言っても手段はたくさんあります。ユーザーはプレイするうちに、効率的だったり自分が楽しいと思えるやり方を発見していきます。

また、金の道具シリーズや岩の効率的な突き方、たぬきち商店を真夜中に訪問すると?など裏技要素が様々な場面で散りばめられているので、飽きる事なく挑戦する意欲を維持することができるかとも思いました。

あえて「できる」ことや「効率的やり方」をゲーム内で公開しないことで、ユーザーは自ら挑戦と発見を繰り返すことができ「楽しい」と感じる説。


- 4:競争心

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マイデザや村作りは人の数だけ表現があり、正解や勝敗は存在しません。

しかし、公開機能によって自分の目指す村に近い村を見つければ、負けじと自分も頑張ろうと意気込んだりと、個で楽しむことも相手ありきで楽しむこともできるように思いました。

他プレイヤーとの接点を多く持たせつつ、勝敗や正解を用意しないことで、ポジティブなモチベーションを維持しつつも競争心が満たせる説。


2.フィードバックが早い

どうぶつの森では自分の選択によって、プレイ中様々なフィードバックを受けることができます。

KWD[フィードバック]
ビジネスでは「行動した結果を伝える事」を意味します。

フィードバックの仕方として、具体的にどんな設計になっているか考えてみました。

- 1:対象物を選択→結果が瞬時に反映される

現実では「期待する結果」を得る為にあらゆるステップを踏む必要がある事も、どうぶつの森では瞬時に結果を返してくれます。

瞬時に結果を返す方法として、OOUIのような考え方が適用されている様に思いました。

例えば、模様替えをするために「タンスを移動したい」と思った場合

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どうぶつの森では、「対象物」を選んだ後に「行動」を選択します。更に、画面遷移せず行動しながら「タンスがどうなったのか」確認することができます。(GCでは1画面で確認/DSでは上画面で確認)

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これが仮に「行動」を選択した後に「対象物」を選ぶタスクベースで、画面遷移しなければ「タンスがどうなったか」確認できないデザインだったとします。

すると、ユーザーは「タンスがどうなったか」確認する作業と、選択/行動しなおす作業を、何度も行き来することになります。

現実世界でも大抵は「対象物」→「行動」という流れが多いかと思います(商品を選ぶ→お金を払う など)。どうぶつの森では、現実と同じ様な手順でゲームが進められる上に、現実よりも簡単に結果が返ってくる様に思いました。

- 2:情緒的な反応が多い

プレイ中「ありがとう」など多くの感情と触れ合えるのも、どうぶつの森の特徴かと思います。

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徒歩10秒で着く住人に荷物を渡すだけで、花が飛ぶほど感謝されお礼がもらえます。商品を購入する、お手紙をだす、寄贈する度に感謝されます。自分の選択によって住人は泣いたり笑ったりと、フィードバックをたくさんくれます。

プレイ中沢山「ありがとう」を言われる事で、ユーザーはもっと住人と接したくなったり、村を発展させたくなったりとモチベーション向上に繋がるのではと思いました。

3.自発的タスクを優先できる

ゲーム側がユーザーに求める「ゲームを進める上で必要なタスク」を、どうぶつの森では簡単にクリアできる上に、後回しにすることもできます。(最初のバイトはチュートリアルとして除く)

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RPGなどストーリー性のあるゲームでは、次の村へ行くためにあらゆるタスクが発生します。

さらに、大抵はこれらをクリアしない限りメインストーリーは一時停止状態となってしまいます。その為、ユーザーはゲーム側が与えてきたタスクに集中する時間を作る必要があります。

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どうぶつの森がユーザーに与えるタスクと言えば「借金返済」が一番重いかと思います。

しかし、どうぶつの森ではこのタスクを後回しにしても、問題なく遊べます(村開拓やアイテム収集など)。更に「今日は釣りをしよう」「村を開拓をしよう」など自発的に考えたタスクをこなしていれば、自然とお金も溜まり借金返済に繋がります。

ゲーム側から与えられたタスクよりも、自発的に考えたタスクに集中できるところも特徴のひとつかと思いました。

今回の学び

1.楽しいと感じさせるには
・現状と理想のギャップが埋まっていく感が味わえる要素
・自分以外のユーザーの反応が確認できる要素
・努力に伴ったご褒美の用意や達成度の見える化
2.飽きさせないためには
・情緒的なフィードバックを多く用意
・行動した結果を瞬時に反映し、見える形で用意
・現実よりも簡単なフロー
・自発的に生み出したタスクに集中できるよう配慮

あつまれどうぶつの森とっても楽しみです。
つぶきち、まめきちが早く見たい…

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今後もユーザー体験について考えられる様、様々な商材で練習していけたらと思います。

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