現代宮城風土記#6:仙台城下の曹洞宗四大寺院


仙台城下の曹洞宗四大寺

仙台城下で権勢を誇った4つの曹洞宗寺院。「昌伝庵」「泰心院」「輪王寺」「松音寺」の4つで、いずれも伊達家の旧所領である伊達郡や米沢等で創建され、仙台開府と共に遷座した歴史を持つ。それぞれ数多くの末寺を有し、仙台開府以来の歴史的な遺構や著名人の墓がある。

昌傳庵

仙台市若林区荒町にある寺院。藩政時代は城下の曹洞宗四大寺の1つだった。伊達家13世・伊達尚宗の三男の菩提を弔うために米沢で創建され、仙台に遷座した。仙台四大画家の1人・東東洋や江戸時代の力士・梅林力之助の墓がある。1875年に曹洞宗専門支校(現・東北福祉大学)を設置した。

昌傳庵

泰心院

仙台市若林区南鍛冶町にある。伊達氏14世・伊達稙宗の夫人・泰心院の菩提寺として米沢で創建され、後に仙台に遷座した。現在の山門は仙台藩の藩校・養賢堂の正門だったもの。

泰心院

泰心院山門

「泰心院」の山門。仙台藩の藩校「養賢堂」の正門として1817年に完成した。一間一戸の四脚門で、屋根は切妻造の桟瓦葺。明治以降に現在地に移築された。養賢堂は明治以降に県庁舎として利用されたが戦災で焼失したため、この門が唯一の遺構となった。仙台市指定の有形文化財。

泰心院山門

輪王寺

仙台市青葉区北山にある。伊達家に所縁のある寺院で、1441年に伊達郡梁川に創建され、1602年に仙台に移った。境内の日本庭園は大正期以降、現在の参道は北山トンネル建設後に整備された。山門は1691年に4代藩主・伊達綱村によって建立されたもの。

輪王寺

輪王寺山門

「輪王寺」の山門。輪王寺は1441年に伊達郡梁川に創建され、1602年に仙台に移った。山門は1691年に4代藩主・伊達綱村によって建立された三間一戸の八脚門で、切妻造、本瓦葺、素木造である。1876年の大火でこの山門だけが残った。仙台市指定の有形文化財となっている。

輪王寺山門

松音寺

仙台市若林区新寺にある。伊達氏13代当主・伊達尚宗によって伊達郡に開山された。その後、伊具郡丸森を経て仙台城下の新寺小路に移った。1888年に長泉寺と併合して移転して現在に至る。他に龍興院や遍照寺も併合。山門は伊達家によって寄進された若林城の正門とされる。

松音寺

松音寺山門

「松音寺」の山門。寺伝では1639年に「若林城」の山門を2代藩主・忠宗から拝領したものであるとされている。切妻造、桟瓦葺、三間一戸の薬医門。松音寺は1888年に長泉寺と併合して現在地(旧・長泉寺境内)に移転しているが,山門もその時に移築された。仙台市の登録有形文化財。

松音寺山門

長泉寺

かつて仙台城下町にあった寺院。仙台開府以前は青葉山に鎮座していたとされ、仙台城築城後に新寺小路に移された。明治維新後に荒廃して松音寺に併合され、長泉寺の場所に松音寺が移った。廃寺後も松音寺前を通り、新寺小路と連坊小路を結ぶ道は長泉寺横丁と呼ばれる。

おわりに

いずれも仙台藩の有名人の墓があるような名刹。全部一度に回るにはちょっと遠いかも。

更新履歴

2023年11月3日:文章作成。

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