【保存版】類似した観光系の記事から脱け出そう!ライターとして個性を生かす「Web記事のつくり方」
観光系の記事を研究してみようと、10個の観光系Webメディアから計100記事を読み漁って気づきました。類似した記事が、なんて多いことだろうと……
特に、二次情報だけで記事化するSEO狙いの「観光系のまとめ記事」とか。取材記事にしてもグルメやホテルの紹介記事は、定番の型がありそうです。どのメディアの記事も情報が似たり寄ったり……
「観光、旅行、旅をする…」
レッドオーシャンなジャンルだからこそ、ドメインパワーやSEO対策に頼るよりも、差別化を図る企画やアイデア、ネタだし、レイアウトまで「手間をかける」必要があるんじゃないかな?と思った次第です。
コンテンツ制作には予算と労力が必要。抜本的な対策を講じる頃合いに突入してる気がします。観光系のWebメディアが生き残りをかけた戦国時代…!?!?
ネタや切り口、主観の割合、表現力や言葉選び、記事の構成まで、個性や独自性が重要な鍵を握っている、のは間違いないでしょう。そして、コロナで打撃を受けた観光業界の方々の手助けを少しでもできたら嬉しいなと思っています。
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コロナ禍におけるマイクロツーリズムなど、旅行に関する捉え方が多様化した今、観光地への期待感や楽しみ方も意識が変わってきたように感じます。アウトドアのキャンプやワーケーションのように「旅+○○」と、旅に付加価値をつけて旅行や観光を楽しむ。
「人は何のために、旅をするのか」
旅の目的も多様化するなら、「観光系の記事づくり」も新たなカタチに進化していく時期なのだろうと感じました。
記事のテーマや目的、SEO対策、文体や構成、写真へのこだわりなど、メディアによって異なりますよね。
人件費や労力をかけたオリジナルの記事を制作するメディアもあれば、ネット上から二次情報を拾って記事化するキュレーションメディアも存在し、読者が求める情報を掲載していれば、需要に適っているとも言えます。
が、しかし、何だか悩ましい…
ホテルの宿泊予約をするなら、どんな動線になるのか
読者はどんな情報を求めて、何を目的にネット検索するのか。国内のホテルを探すとき、4パターンにわけて最短の動線を考えてみました。
①ホテルは確定「ホテルの情報を知りたい」
ホテル名で検索。著名なホテルなら公式サイトを確認すれば、きれいな写真とともに情報を得られます。
②ホテルは確定「もっとリアルなホテルの情報を知りたい」
ホテル名で検索。公式サイトでは確認できないリアルな情報は、Webメディアや個人ブログの「宿泊体験レポート」を参考にすると情報を拾えます。一部、PR記事では誇張表現が見られますが、提供写真以外ならリアルな写真だと捉えてます。
③宿泊地域は確定「各ホテルの口コミを読んで検討したい」
口コミを掲載する宿泊予約サイトといえば、トリップアドバイザー | 楽天トラベル | booking.com が有名でしょうか。しかし、個人の主観で語られた口コミは、フェイクや偏った情報も含まれてしまいます。
④宿泊地域は確定「格安のホテルを探したい」
「地域名+格安ホテル」で検索すると、Googleマップや「ホテルを表示」から探せます。ホテル名をクリックすれば、 booking.com | agoda | Hotels.com などの格安料金が表示されます。
逆に高級志向なら、高級ホテルを取り扱う「 一休.com 」や「Relux(リラックス)」、宿泊予約サイトを比較できる「ドラベルコ」、格安航空券を比較できる「エアトリ」など、各社とも創意工夫しながら仕掛けてきますね。
TTA(Traditional Travel Agent = 店舗を持つ旅行会社)であれば、、JTB | 近畿日本ツーリスト | HIS | 日本旅行 などが運営する宿泊予約サイト。航空会社の予約サイトとして日本航空の「ジャルパック」、全日空の「ANAトラベラーズ」など。
OTA(Online Travel Agent = ネット上の旅行会社)であれば、リクルートが運営する「じゃらんnet」、楽天グループが運営する「楽天トラベル」など。
使い勝手がいい。ポイント付与がある。セールのときに購入する。目的によって検索方法は無数に枝分かれ。ネットを使いこなせるユーザーであれば、自分ルールに則って検索すると思います。
でも知識がないと、宿泊プランの比較・検討以前にホテルや地域を選択するだけで迷ってしまう。各サイトとも検索機能が便利になったものの、複雑すぎて器用に使いこなす人がどれだけいるのか、気になるところです。
Google検索で上位表示される、グルメ系口コミサイト
ランチやディナーの飲食店選びなら、Google検索で上位表示された記事から読むと思います。いわゆる「SEO対策された記事」や「ドメインパワーを持つメディアの記事」ですね。もちろん、SNSで検索するのも有効でしょう。
「地域名+ランチ」で検索すると、主に上位表示されるメディアは、口コミ系のグルメサイトが多く、食べログ | ぐるなび | ホットペッパーグルメ | Retty(レッティ) あたりでしょうか。
しかし、個人の口コミはあくまでも参考程度に。主観で語られる情報には偏った情報も含まれるからです。そして口コミの投稿日をチェック。意外と古い情報が忍び込んでいます。
著名な大手メディアのまとめ記事も上位に表示され、基本情報を得るだけならGoogleマップも便利になりましたね。
認知度が低いローカル店だと口コミサイトの情報は少なく、そんなときは地域に特化した観光メディアの出番です。取材記事を参考にするといいですよ。
観光系のWeb記事にはどんなタイプがあるのか
先月取材した記事です。色が欲しくて貼りました…(美味しかったです)
大まかに、観光系のWeb記事を5つに分類しました。
どれも読後の印象が異なり、記憶に留まる余韻が変わります。
①まとめ記事(取材あり or 取材なし)
この記事は、13名が各自で沖縄そば屋に出向き、写真撮影+好きな理由を解説・紹介したものを1記事にまとめました。筆者によって「です・ます調(敬体)」と「断定調(常体)」に分かれるところが意外と面白いです。
まとめ記事といえば、主にキュレーションメディアにおける手法。一部の著名な観光メディアでも制作し、取材せずネットから二次情報を拾って執筆する記事が目立ちます。取材記事が集まったタイミングで、1本の記事にまとめるメディアも存在します。
こういった記事が増えた理由は、記事の量産が容易いから。ライターに依頼する原稿料を抑えられ、メディア側の人件費削減が主な理由でしょう。
簡潔に多くの情報を網羅できる反面、各メディアとも類似したタイトルや情報ばかり。取材をしてないため、フェイクや古い情報を含んでいる可能性があります。
もちろん、まとめ記事の中でも取材して書いた記事も存在しますよ。
■CINRAが運営するHereNowの記事
早朝からオープンする、いま沖縄で注目のベーカリー5選
取材有無の見分け方は、ライター自身が撮影したリアルな写真かどうか。ライターの顔出し写真、人が写り込んでいれば一目瞭然です。記事の最後に「文・撮影:ライター名」と記載があるとか。
フリー素材の使用、外部サイトからの転載、SNSの投稿を引用していたら、取材せずに書かれた記事です。画像上で右クリック → 「Googleで画像を検索」を選択 → 同サイト以外の該当記事が表示されたらフリー素材を使っています。
というように、いくつか見分け方が存在します。
②取材記事(インタビュー)
こちらは沖縄の農家さん。一次産業を取材するのは、ほんと楽しいですね。
客観的な視点で綴る「取材記事」が、一般的な観光系のWeb記事です。取材する=インタビューをする。取材相手に話を聞くメリットは、最新情報や正確な情報、ビハインドストーリーを入手できること。疑問を直接投げかけ、話を深く掘り下げられると、必然的に情報が濃い記事をつくれます。
この記事はネタといい、構成含めて面白かったです。
会話形式に開く「インタビュー記事」なら話し手の会話自体がオリジナル。構成や写真を工夫すれば、さらに面白い記事に仕上がります。
フォトライターであれば、ライターとカメラマンの一人二役。取材中の作業量が増えるため、慣れるまでが勝負です。
1日の取材件数が多い。予算があり高いクオリティを求められる。大規模な特集記事や企画込みの手間をかけたコンテンツ制作…… あたりはライターとカメラマンが別々にアサインされます。
個人的には取材をこなして記事化するのが、ライターとして本来あるべき姿だと思っています。話を直接聞かないと、正しい情報かを判断できないですからね。
③体験レポート(主観 or 客観)
グルメ体験、工場見学、アクティビティやホテル宿泊の体験レポート。記事の構成は手順を追って説明したり、特徴ごとに見出しを設けたり。取材相手の視点で語るか、ライターの視点で語るか。記事の語り手が誰なのかによって、ガラリと異なる印象に仕上がります。
体験レポート[主に、主観で書く]
バズっていたこの記事は、さえりさんが書いた記事。面白かったです。
最近は見かけなくなった「こんにちは。ライターの○○です。」なんて書き出しがありましたね。ライターの顔出しや個性を出す記事、個人ブログが該当すると感じています。
リアルな感想を書くと、ライターのキャラや現地の楽しさが伝わりやすい反面、必然的に話し言葉(後ほど解説)が増えて、幼稚な文章に見えたりします。また、1枚1枚の写真にインパクトがないと、あまり記憶に残りません。
地域を巡回しながら取材するとき、臨機応変に現地で取材場所を決めて、アポ入れ+原稿確認を省くパターンもあります。主観に頼った文章は、フェイクや偏った情報が含まれる可能性もあり、編集者は、普段よりも一段高い”校閲的な視点”で原稿をチェックする必要が出てきます。
体験レポート[主に、客観で書く]
2021年の夏、島全体がホテルの敷地という瀬良垣島にある高級リゾートホテルを取材しました。記事のテーマは「テレワーク、ワーケーション」です。
アポを取ってインタビューする場合、多くの客観的な情報(事象)を入手できるため、「②取材記事」のように情報が濃い記事に仕上がります。
そこに主観となる感想(心象)をプラスすると個性が出る。ライターがどこまで前に出るかは、記事のテーマやバランス次第。あくまでもライターは黒子に徹して客観的な視点で書く、などメディアの趣旨によって異なります。
④イベントのレポート(特徴を捉えるセンス)
▷ 沖縄で初のコーヒーフェスティバル『Okinawa Coffee Festival in Garaman Hall』(HereNow|CINRA運営)
この記事を書いたあと、主催者の豆ポレポレ・仲村良行さんは、世界大会のコーヒーロースティングチャンピオンシップにて、世界2位に輝きました。
イベント系のレポートは、「何を紹介するか。誰に話を聞くか。何を撮るか」が鍵になります。[運営者 or 出店者 or 来場者]の誰に話を聞くかで記事の方向性が変わり、写真と合わせてオリジナリティを出せる部分です。
イベントレポートの場合、記事の公開は早いほど有利。つまり、早々に原稿を完成させて納品する。他社メディアより先陣を切って記事を公開するくらいスピード感と熱量が高いと理想的ですね〜(かなり大変だけど…)
イベント当日の現場は想像以上にバタバタです。多忙な関係者に話を聞くのが難しく、運営者には事前に話を聞いておきます。臨機応変に取材を進めて、フットワーク軽く軌道修正。瞬時に対応できる攻めの姿勢で臨みます。意外と裏側は大変なんです。
⑤エッセイ風の体験談(記事の構成+ストーリー)
世界一周や地方移住の体験談、旅や暮らしに絡めて地域を紹介するエッセイを書くには、”技や経験”が必要です。ストーリーで読者を巻き込み、共感を呼び込む。リード文をどう書くか、最後はどう締めるか。記事の構成からストーリ性が生まれ、使う言葉から人柄が伝わります。
この記事をきっかけに、豊島区長からお声がかかったそうです。
珍しい体験やネタの威力が大切。言葉選びや表現力を伴うエッセイは、他の観光記事よりも難易度が上がるんです。写真の使いどころにもセンスが現れます。
10個の観光系Webメディア × 各10記事=100記事を読んで検証した結果
やっと観光系Webメディアの出番です。そう、あなたの番です劇場版(早く観たい)
全国を網羅する著名な観光系Webメディア10個を選び、10記事ずつ合計100記事を読み漁った結果、似たような傾向が見られました。
まずは「リード文・締めの文」をチェックすると、よく使われる言葉が出現。使用頻度が高い言葉をリストアップしました。(メディア名は割愛)
リード文は、記事の要約、位置情報の説明、特徴やポイントをまとめたものが多かったです。
・体験レポートは、体験の手順を追って書かれた記事が多い
・スポット紹介①【特徴で分類】1つずつ特徴を捉えて写真と共に紹介
・スポット紹介②【時間軸】ストーリー仕立てにして店や料理を紹介
・宿泊体験レポートは、あらゆる館内情報を網羅している(つまり、テーマからそれた情報も含まれていた)
そして、100記事を読んで気づいたこと。特に「人気・オススメ・楽し〜」の3セットが顕著でした。
主観を含めて書いた体験レポートでは、「楽し〜」「おいし〜」が顕著に見られ、客観的な視点で語られる取材記事には、さほど使われておらず。
その理由を考えたところ、実際に体験するとリアルな感想が出てくる。客観で書く取材記事はインタビューすることで取材相手から多角的な情報を入手でき、「楽し〜」「おいし〜」を使わずに言語化できるから。という憶測に至りました。
■キュレーションメディアを検証(20記事分)
ネット上から二次情報を拾う=体験してないため、「楽しい」「おいし」とは(あまり)書かれておらず。同一店舗の記事を比較したとき、類似した情報が多く、どのように他社メディアと差別化するのか気になるところです。
ヨッピーさんが執筆した大阪のたこ焼きの記事は、「美味」が26個…!でも読んでいて全く違和感がないんです。まさにプロライターの技ですね。
大阪に訪れたとき、この記事を参考にたこ焼き屋を巡りました。
結論をまとめたり、「ぜひ行ってね」と一押しする傾向が見られ、あえて締めの文を入れない記事も存在します。
締めの文で目立ったのは、これくらいでしょうか。ライターさんがそれぞれ工夫して書いてるようですね。
そこで気づいた「話し言葉」と「書き言葉」
話し言葉とは、日常会話で使う言葉、「です・ます調」や「口語調」のこと。書き言葉とは、客観的な情報を言語化する文章に見られ、語尾でいうと「断定調」が該当します。
新聞記者や商業ライターが記事を書くときは、客観的な事象に基づくため、自然と書き言葉が増えます。主観で書くブログや個性を出す記事は、必然的に話し言葉が増えていきます。
話し言葉が多いと幼稚な文章に見えたり、冗長になりがち。書き言葉に変換すると手堅さが出ます。しかし、「です・ます調(敬体)」で綴る時点で話し言葉を使うため、話し言葉と書き言葉は混在するのが一般的です。
この続きは有料記事になります。
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ここで質問です。記事のメインテーマを観客1,000名に向けて説明するとしたら、どのように紹介するでしょうか。重要なキーワード、タイトル、説明順をどう工夫するかです。もしも、自分がストーリーテラーだとしたら。
そんな視点を持ちながら、読み進めてみてください。
そうそう。昨年開催した #ライター交流会 のグラレコを貼っておきますね。
類似した観光系の記事から脱け出そう!観光をテーマにした「Web記事のつくり方」と題して、読者の視点も踏まえながら解説していきます。
【結論】観光系Webメディア 100記事を読んだ検証結果(10個のポイント)
【1部】観光をテーマにした「Web記事のつくり方」
1. Web記事の構成を理解しよう(各要素の開設とリード文のヒント)
2. とても重要な「キーワード選定」(SEOの基礎と読むべき書籍)
3. クリック率がアップする「タイトル」の考え方(7つのポイント)
4. 一瞬で目を引く「アイキャッチ画像」の選び方(画像事例の紹介)
5. 書籍でいう目次の役割「見出し」の考え方
6. 類似した観光系の記事から脱け出そう
【2部】写真の構図や撮り方のポイント
7. 記事に必要な写真と構図を考える!準備編(写真事例で紹介)
8. 1枚の写真で表現できること
9. 左右上下の余白も大切!背景の選び方
<動画の概要> 資料150ページ以上
1. 観光系の取材ノウハウ(ホテル取材、グルメ取材、一次産業)
2. 最も難しい「グルメ写真」を撮影するコツ(ビフォー・アフター)
3. 写真と文章のバランス!構成の考え方(複数のレイアウトパターン)
4. 【結論】地域を豊かにする記事づくりとは?
5. 3つの事例紹介
[お知らせ]
2022年1月20日から、3カ月間の「Webライター育成講座/初心者向け」をオンラインで開催します。参加者受付中です。
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