原稿料の話をしよう!源泉徴収や税込み・税別、経費など現役フリーライターが語る「初心者Webライターが陥りやすい罠」
沖縄で開催している「Webライター育成講座(#オキグリ講座)」の中で少しだけ原稿料についての話をしました。やはり、やはり、、、
源泉徴収税・消費税、経理の概念は、とても大切ですね。そこで消費税10%で算出した2021年バージョンに更新しました。
私の実体験から考える、初心者ライターが陥りやすい罠!原稿料の話
新規案件で原稿料の確認をする際、気をつけてほしいこと。
1.経費は、原稿料とは別に請求できるのか
2.原稿料は「税別 or 税込み」か
まずは、この2点が重要です。
実際には「罠」というほどでもなく、ライター本人や編集者自身が知らないからこそ、起こり得る罠だと感じています。
1、経費とは!?
主に交通費や入場料、料理代(グルメ記事)やお菓子代(お土産記事)、その他にも記事で使う小道具(企画系の記事)の購入費用も含み、案件の規模によっては宿泊代やレンタカー代なども該当します。
一般的に「交通費」といえば、電車賃やバス代を指しますが、モノレール以外に電車のない沖縄では、車での移動交通費として「高速代、ガソリン代、駐車場代」を交通費と捉えています。
この交通費に対する考え方は、地方ならではのもの。都心部だと、電車移動してもさほど金額の違いに大差ないため、交通費を上乗せした原稿料を設定して「交通費は原稿料込み」として扱うメディアも少なくないと思います。
2、経費の概念について
ぶっちゃけいいますと「経費の概念は、計上しようと思えばキリがない!」とも言えて、常識的な範囲内で計上すること。また、必ず事前に経費の予算感を確認することが大切です。
私の場合、取材ありき!で執筆することが多く、新規案件を受注する際には必ず交渉して「経費は別請求」にしてもらっています。
だって怖いじゃないですか。
高級料理店の取材後に「料理代いただきます!」なんて言われたら。一歩間違うと原稿料が大幅に吹っ飛ぶ危険性があるのです。
フリーのライターであれば、経費の概念はとても大切です。取材ありきの新規案件を受注する際は、「経費は別請求」で交渉してみてください。
1回限りの高額案件は、原稿料に経費込みで受ける場合もあり、この辺りは全体のバランスを考えて臨機応変に対応しています。
3、追加経費の相談について
一般的なメディアの場合、記事の構成を考えた上で、ネタ出しの時に追加経費の概算金額を提示して相談します。特別な企画系コンテンツならば、企画案の提出時に経費をリスト化した見積りを提示します。
例えば、一般的なグルメ記事ならこんな感じです。
「パンやケーキをカットした写真、リアルに食べ進める写真を撮りたいので商品を購入したい」
「今回は料理4品を掲載したいので、もしお店から料理を提供いただけたとしても、最低でも2品の料理代はお支払いしたい」
めっちゃ取材先思いのいいライターだわ、自分。
沖縄だと料理をご提供いただけるお店が多いんです。しかし、何事にも限度というものがあるため、お互いウィンウィンになれる関係性が理想的ですよね。
取材先に負担をかけるのは何かが違う!とも思っているので「編集者さん、お願い!」と相談して、編集者やメディアに負担をかけてます。ああああ……
将来的に、私が頑張ってメディアの認知度上げたるから!!!なんて心意気だけが存在してますけど、いつもお世話になってる編集者の皆さん、ありがとうございます。
(本当、編集者さまさまですね……)
もしも、原稿料が経費込みの場合。
グルメ記事なら、アポ入れの段階で「料理をご提供いただけるのか」「撮影後に試食しても大丈夫か」など事前に確認してみてください。これが取材先とのトラブルを防ぐコツです。
取材先とトラブルを起こすと、ライター生命だけでなく、メディアのイメージダウンにも繋がるため、誰得にもなりません。何事も先手必勝!で確認していきましょう。
4、原稿料は「税込み or 税別」か
昨日、こんなツイートをしました。
(追記:消費税10%バージョンに変更しました)
原稿料が「税別 or 税込み」か。この画像を見ただけで違いがわかります。
さらに、経費2,000円を計上してみます。
A:原稿料1万円が税込み、さらに経費が自腹
「入金額 9,072円 ー 経費 2,000円 = 収入 7,072円」
B:原稿料1万円が税込み、経費を別請求する
「収入 9,072円 + 経費 2,000円 = 入金額 11,072円」
C:原稿料1万円が税別、でも経費は自腹
「入金額 9,979円 ー 経費 2,000円 = 収入 7,979円」
D:原稿料1万円が税別、経費を別請求する
「収入 9,979円 + 経費 2,000円 = 入金額 11,979円」
あえて、入金額と収入で言葉を区別しています。
Aの場合、収入7,072円。
Bの場合、収入 9,072円。
Cの場合、収入 7,979円。
Dの場合、収入 9,979円。
BとDは、自腹で払った経費をメディアから受け取るだけですから、実質の収入はプラマイゼロ。つまり入金額=収入になるわけではありません。(これも落とし穴かもしれませんね)
新規案件を受ける時は、「原稿料は税別で!」これを徹底して確認してください。たまに「原稿料は税込み」と言われることがあります。会社の経理上、システム的にそうせざるを得ない企業もいます。その場合は、原稿料の金額自体を上げていただけるか、交渉してみます。
もし相場の原稿料よりも、手取りの金額が下がるときには、お仕事をお断りする場合もありますね。
そこには理由があるからです。
経理上は「税別」のほうが処理しやすいはずなので、税込みパターンは、もう単純に予算がないことが多いからです。つまり、将来的に金銭面でのトラブルが発生する可能性が高いことが予測されます。
すでに仕事をスタートしてしまい、税別とも税込みとも何も言われてないわ!なライターさんがいたら、こっそり「税別」で請求してみましょう。
その後、「実はうち税込みなんです……」
と言われたら「聞いてませーん」で通しても構いません。が、しかし、その後の関係性を悪化させるくらいなら、その場は了承してゆっくりと静かにその案件からフェイドアウトします。
5、原稿料アップの交渉
ライターを大勢抱えるメディアだと、原稿料の単価を覆すのは至難の業です。でもイチかバチかで交渉してみる、を私は繰り返しています。
「ライターを安く使うんじゃねぇ……」
と正直思っていた時期もあります。今はそんな理由からではなく毎回交渉しています。なぜなら、ライターの現場や原稿料の相場を把握してない編集者が多いからです。
実際の作業内容や工数を説明して、原稿料アップの交渉をしてみると、聞く耳を持ってくれる編集者さんは意外と多く、その後、上司に掛け合ってくれることがあります。
そして、交渉成立!(やった!ありがとー)
万が一、微々たる金額アップだとしても「上司に交渉してくれた」行為そのものが信頼度アップに繋がるんですね。私の考えや発言に寄り添って、行動してくれたら嬉しいじゃないですか。
心をぶち抜かれる感じですね。そんな編集者さんとは定期的にお仕事が続いてます。
しかし、「原稿料だけが全てではない」ので、案件の品質を大切に、案件に関わる仲間と一緒に価値を生み出せる仕事を増やしていき、個人のスキルアップを図っていくのが、原稿料の単価を上げていく早道だと思われます。
記事タイトルが「原稿料の話」なので、料金の相場をチェックしたいと期待して読み進めた方がいるかもしれないので、最後に、原稿料の料金表も張っておきます。
自分の【文章の癖】をチェックする記事なども公開してます。
2022年現在、原稿料の料金表です。
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