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『緩やかな退職』 半学、半労の1日

 今週は仕事から帰って夕食と家事を済ませた後、力尽きてお風呂にも入らず化粧をしたまま翌朝まで寝てしまう…ということを2度もしてしまった。先週から仕事や家の事で予定外のことが色々重なって、寝不足と疲れが溜まっていたみたい。そんな中、今週は半学、半労の日があった。

 6月に入ってから、週1で午前中は半休をとって大学で講座を受けて、午後から自宅でテレワークをしている。冬は夜にオンラインで別の講座を受けていたけれど、やっぱり午前中の授業はイイ。夜は若い頃と違って頭がまわらないし、気分的にもいまひとつノリが悪いから…(笑)

 人生の後半に入ってからの資格取得などを目的としない、単純に学びたいだけの学びは本当に面白くて気楽でイイ。それに、クローズドの環境での今どきの細分化された学びは守られている感があって居心地もイイ。上手く言葉に出来ないけれど『マニアの集まりだよね』という安心感。これが心理的安全性を担保してくれているようで、迷うことなく意見も言える。日常では共感を求められる場が多いけれど、ここでは「えっ?何で?」「そんな考えがあるの?」「そう解釈する?」ということが、お互いの学びだし面白い。

 授業を終えて、帰りにサンドイッチとおにぎりを売っているお店によった。大学の近くには、安くて美味しいお店がポツポツあるのが嬉しい。授業の後に、このお店で昼食を買って帰るのを楽しみにしている。多分、授業と同じくらい楽しみ(笑)。質実剛健の店構えで、店内に入るとおにぎりが並ぶショーケースとサンドイッチが並ぶショーケースが左右対称に置いてあり、三角巾を被り白衣姿の女性店員の方がテキパキと応対をしていて、昭和感漂う雰囲気も好き。先日は、ひき肉や野菜の入ったボリューム満点のオムレツサンドを買って帰った。

 仕事や家事一色の平日から、こんな風にそっと片足を抜くような日があるのは嬉しい。少し前から耳にするようになった『静かな退職』(最低限やるべき業務を淡々とやるだけ)という言葉があるけれど、私もそこまではいかないけれど仕事に比重を置きすぎないように『緩やかな退職』を心がけている。

私にとって『緩やかな退職』とは

昼食時に仕事のメールをチェックしながらお弁当を食べないこと。

平日にキッチンで立ちながら朝食をとらないこと。

毎朝トイレにゆっくり入ること。

職場でのそれらしい姿の自分を滑稽に思えること。

職場での偉い人の偉そうな態度を滑稽に思うこと。

時折、ドロンすること。

マニアな自分を喜ばせてあげること。

職場で噂話に花が咲いているところを笑顔でスルーしていくこと。

どれも些細なことだけど、私には大切なこと。
 仕事は積極的に取り組むけれど、仕事に係る諸々に心を侵食されて日常を粗末にしないように心掛けている。50歳を過ぎたら60歳定年、65歳までの再雇用まで惰性でおくってしまうのは勿体無い。推しが『借りた言葉だけれど、40代は若者の老人期で、50代は老人の思春期』と話していたのを思い出す。やっぱり、50代は物知り顔でスマートに納まるには早すぎるよな…と思う。

 10代の頃の思春期とは違って、50代の思春期には身近な人の老いや、病い、死別に加えて自分の老いや病いが常に纏わりついている。時や命の重さが入り込んでいる日常には10代の思春期にも負けないくらいの葛藤と夢や希望がある。私の『緩やかな退職』も50代の葛藤なんだろうな…。

  そう言えば先日、ドロン上手なひとつ歳下の同僚から『台湾にひとり旅を計画している』と聞いて、私のどこかに火がついた。

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