見出し画像

「BIMで残業時間を減らせたら。打合せの効率化編」~一級建築士を持っているだけの凡人がいきなり設計部になった話♯9

前の記事で「BIM」についてご紹介しました。
(前記事▷「時代はBIMらしい」~一級建築士を持っているだけの凡人がいきなり設計部になった話)

軽くおさらいしておくとBIMとは、1つの建設プロジェクトの情報をまるっと3Dモデルに統合し、設計から工事、管理、運用までを一気通貫でやるよ〜!というものでした。


前回から始めたシリーズ、
近年の日本の建設業界が目指す
「残業時間短縮」 「生産性向上」
にBIMがどのように貢献できるのか

をテーマにお送りしていきます。


第2弾は、「打合せの効率化」をピックアップ。
早速本編へ。



建築物を作る人はプロですが、依頼する人、売る人、購入する人はほとんどが素人です。

その方々にぱっと図面を見せて
「ふんふんなるほど」
で会話がすんなり進むほど、図面ってわかりやすいものでは無いんですよね。

数字と線の集まりを見ても実際にどこに何があるのかなんて想像するのも難しい。
広い、狭い、高い、低いなど空間感覚なんてわからない…。

色のサンプルはあるけど実際にそれが天井の色だったり壁の柄だったらどんな感じ…?
建築知ってても難しいですわ。

ただ、打合せをしっかりとやっておかないと、完成したときに
「思ってたんと違う!」
と揉める自体になりかねません。
説明する側も大変ですし、理解する側も大変。


はい、そんな時。

「あ~こういうことね!」
「うんうん、ここはこうね!」
「いいわね、OK!」

スムーズに会話が進み、思った通りのデザインに。
打合せも時間通り、なんなら早く終わっちゃって皆ハッピー!!

…になる方法、知りたくないですか?



はい、ここで登場するのが「BIM」なんですね〜。
そんな上手くいく…?なんて疑っている方も多いでしょう。

正直、全然違います
小説を読むのと映画を見るのくらい違います。
時間もそうですし、理解度も。


さらに共通認識度合いが完璧。
「美味しい牛丼を食べた」と言ったら人によっては吉野家、またはすき家、なか卯…とバラバラな想像に七色のヨダレが出ることになるでしょう。
しかし目の前にポンっとホカホカの牛丼を出されたら「美味しそうな松屋の牛丼ですねこれは」といった共通ヨダレになります。


CAD図とBIMモデルってそのくらいの違いがあるんです。
BIMが3次元モデルということは前に説明しました。
3次元であり、情報を持っており、さらには
「マテリアル」
「外部環境が作用した場合の見え方」

を表現できます。

「マテリアル」とは、材質のこと。
建物には美観を大きく左右する、「木彫」「タイル」「アルミ」「塗装」などなど、様々な仕上げが施されます。

さらに、「外部環境が作用した場合の見え方」ってなんかくどい書き方をしていますが、要するに「陽の光が当たる時間帯」や「曇りの時」はどのような見え方になるの?ということ。
「照明がここに付くけどどんな感じ?」とかも。



BIMではこれらをまるで写真で見るかのように、めちゃくちゃリアルに表現することが出来るのです。
例を上げると

・外壁が塗装の場合、タイルの場合
・RGB指定の細かいカラー参照
・午前7時時点、午後17時時点の外観(太陽の当たり方が違う)
・エントランスホールの照明の配置とライトの向き、数、照度
・上空からの視点、人の視点

などなど、ガラッとイメージが変わるものから細かい設定まで。


このような仕上がりイメージを打合せ段階双方確認することが出来ると、早期の合意形成が図れます。
実際に作った後にイメージが違うから作り直しなんて絶望、起こらなそうですよね。



また、BIMでは「工事のシミュレーション」ができます。

なぜ工事のシミュレーションが必要かというと。
現場は「どのような重機を用いるか」「どの手順で工事を進めるか」によってコストや工期に大きく影響するからです。

それらの打合せは、もちろん2次元図面上で行われています。

「5tの鉄骨をこの位置から吊れるのか?」
「1日どこまでコンクリートを打てるのか?」
「掘削はどこからやるべきなのか?」

などなど、A1の平面図を広げ、業者と電卓を叩きながら打合せをするのです。

施工に特化した「施工BIM」では、それらをBIM上で行うことで業者間での打合せを有効にします。

ベテラン所長や業者さんは経験則から2次元である程度理解できる部分も多いですが、実際に工事を監督する若い社員は、経験不足からなる理解不足による意思疎通の不具合想像できない中で打合せをすることで失敗が起きます。
また、現場では様々な工事が同時進行しているため危険が伴う場合も多々あります。

BIMでの施工シミュレーションを行うことができれば、全員が「今日はこの工事があるからココが危険」や「施工手順はこうだから何日後にはこの準備が必要」などといった共通認識と、次工程への準備ができます。

ちなみに、BIMでは施工数量を出すことも出来るので、工期、コストにも貢献できます。


まとめ。

BIMでいかに「打合せの効率化」が図れるかご理解頂けたでしょうか。

目的のプロジェクトをBIMで「可視化」することにより、関係者全員の「共通認識」ができ、「早期の合意形成」が図れる。

同じ牛丼を皆で同時に味わえればそりゃ打合せ時間は短くなり、みんな幸せになれますよね。
なんと素晴らしい事でしょう!



昔からある「会議が長い」問題。
私はこれの撲滅が、残業時間短縮に一役買うと思っています。

BIMで残業を撲滅できる光が見えてきました。
あとは…頭が固くて喋りたいだけの上長を黙らせられれば、私たちの時間は守られるということです。


黙らせましょう。
BIMを筆頭に、我々も知識を備えて。

それでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?