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あなたが触れたもの全部

あなたが触れたもの全部が愛おしい

あなたが触れたもの全部が宝物

あなたが触れたもの全部が大切なもの

あなたが触れたあたしは…

唯一あたしの大切なものではないようで。

あなたがあたしを抱き締めようと

「…これ、とっていい?」ととった髪飾りはこんなに大事で愛おしいのに

あなたの触れた身体は心だけ置き去りにされたまま

触れて欲しい人に触れられず

感触だけを弄ぶ

これだけぐちゃぐちゃになってしまえば

愛のような形には辿り着けるし

それをたまに求めては恋のような仕草を繰り返し

心をさらけだし

脚をひろげる

「好きだ」と言われながら

欲しいことでぐちゃぐちゃな脳内で

欲しい腰つきを繰り返す

それでも

「何か違うな」「ピースが噛み合わない」

そんな不協和音も心地よくて気持ちよくて

唇に触れたもの感じながら全てなめ回すんだ

そんなにむなしい訳じゃない

「これは気持ちがいいこと」

何回も思い出すから  温度もあがるし

ただあたしから同じ濃度は引き出せないよってだけで。

一番敏感なところをかき混ぜられながら

欲にまみれた吐息を撒き散らすの

あなたの触れたもの全部が大切な宝物。

だけどそのなかにあたしはいない。

あなたがくれた時間も全て大切な夢物語

あなたと行ったはずのお店も

あなたが座ったはずのサイドシートも

フワフワと空想と現実の間のような感覚でそこに居座っている。

あなたの触れたもの全部が愛おしい

あなたの触れたもの全部が宝物

ただそれだけなんだ。





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