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東京オリムピックの「いま むかし」から建築ポピュリズムを考える。

これは評論家宇野常寛氏が主催するオンラインサロン「PLANETSCLUB」内で企画、9月21日に実施した「東京オリムピック 「いま むかし」 噺し」に関する内容を補足し、よりこの企画の内容や企画内で伝えたい事を書いたものです。

9月21日、オンラインサロン「PLANETSCLUB」に起きまして現在工事中の「オリンピックスタジアム」と先のオリンピックの際に作られた「代々木体育館」を巡り、またその道中の町歩きを通じて身近な建築について知ってもらう企画でした。

当日はメモは用意したものの、話せる内容に限界があり、また自分も話しながら、少しでも整理が必要であること、そして、イベントに参加しなかった人にも聞いてもらいたいという思いがあり、ここでまとめさせていただきます。

今回の企画の趣旨は大きく分けて二つ、一つは町歩きで建築を知ることです。

まず町歩きで建築を知る事
これが一番の目的でもありました。テレビ番組「ブラタモリ」のように歩いてまちを回る。
そして敢えて、いわゆる著名な建築家が設計した「名建築」では無く、周りに溢れてる、普段の生活で利用されている建築について、そのデザインについて解説していきました。

一応集合場所と散歩の終着点としてオリンピックスタジアムと代々木体育館を巡りましたが、あくまでも「集合場所」と「解散場所」であり

簡単に建物の内容の説明はしましたが、それ自体は今回の主な目的とはしていませんでした。

オリンピックスタジアム前に集合し、その後、渋谷、代々木周辺を歩きながら、代々木体育館まで向かうのですが、

基本的にその二つの間を移動する際に通る住宅地、そこにある様々な建物を無作為に紹介し、その形やデザインについて解説していきました。

あえて普通を深掘りし、話していく。

ここで紹介、説明してきたのは、「普通」の人が住む「普通」の建物、
「普通」に働くオフィスビル、はたまた国立競技場でも競技場ではなく、当然工事中だったために「工事現場」に対してです。

例えば「工事現場」を例に挙げると、工事用のクレーンが見えた際ににはクレーンがどうやって、施行されるのか?
実際は床に穴を開けてクレーンの塔を作り、終わったら埋める。もちろん工事に影響がないようにアパートだったらベランダみたいに内装工事がいらないところに穴を設けるといった具合に
「現場の人は当たり前、けど一般の人は全く知らない」を軸としました。

建物自体に関してもそうです、
多くの建物は一般の人は気にも留める事は無く日常的に存在しています。
人によっては「無個性」という風に批判的に見られることも多いです。
しかし「無個性」というのは建築の設計の本質を全く理解してない人の言葉です。

実際意識してみると他とは違う形、いわゆるデザインをしています。
そこに注意して対して入念に説明しました。 

周辺の景観維持のために外観や色が決まる、
カッコよく見せる為にに使われるアイディア、そして誤魔化しのテクニック

とりあえず自分が見て気づいたところをアドリブでどんどん説明していきました。

もし他の人がいたら怪しまれるし、住んでる人には文句を言われるような内容もあったと思います。

しかし、私は、「普段の生活の中にある建築に関心を持ってもらう」事を目的としてこの企画を考え、また「設計をする時に建築士が考える事、必要な知識、テクニック」を伝える事を重きにおきました。

正直参加した人には実感がわかないと思いますが、その時話した内容は実際の設計実務に使われるレベルの話であり、
その知識を熟知していれば最低でも建築を学ぶ学生、下手すれば、実際のデザイナーや建築家と呼ばれる人物よりも設計の知識は高くなっているはずです。

実際いただいた感想として

普段見る街の景色がいろんな考えで作られている事に気づいた。
街の景色の見方が変わった。

というものをいただきました。

散歩の後にはランチも兼ねてお話の補足やこの企画のもう一つの目的として
オリンピックスタジアムと代々木体育館の2つの建築に対する社会的背景を話しました。

ちなみに、建物の話をするときに建物の壁に貼る「タイル」の話を多くしたので、実際のメーカーのタイルのサンプルやカタログも紹介しました。

実物を近くで見るとまた新鮮な感覚だったと思います。

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特にオリンピックスタジアムの設計案を巡った騒動はニュースなどでも取り上げれれ、普段建築に関心がない人も記憶にはあるかと思います。

これは、現代のネットを中心としたポピュリズムを象徴するような出来事でした。

コンペディションの運営や設定、案の決定から本設計のプロセスにそもそも問題があり。
そしてその問題から発生したデザイン案のバッシング、そして最後には「日本らしくない」「日本人設計ではない」という非常に排他的な言葉が飛び交い、コンペ案の破棄、再コンペという自体となりました。

あまり言葉にしたくありませんが、この出来事で日本の建築業界は世界に大きな恥を与えてしまいました。

私の準備、話す内容のこの話は当日参加した皆様にも断片的にしかお話できなかった部分でもありました。

今回の記事はここまでとしますが、次の節にてこの点を詳しくお話したいと思います。

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