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2013年4月20日

雪景色のベースキャンプそしてスケジュール変更

スライド1

テントを出るとそこは真っ白な雪の世界だった。本来は、今日は高度順化のためプモリのハイキャンプへ向けて出発予定であるが、この雪だと無理だろう。倉岡さんはプモリC1近くでは斜面が急になりガレバがある。雪があると滑って危険なので、この大雪がひと段落してから行こうとのことになった。前回のポカルデにしろ今回のプモリにしろ、どうも悪い周期に入っているようだ。しかし、ここで無理してもしょうがない、明後日までには天気が回復するというので気長に待つことにしよう。

午前中はとくにやることがないので、ミステリー小説を読んだ。しかし、空気が薄いせいか、ミステリーを解くほどの思考回路はなく、ただ流れに沿って物語を読むだけであった。

昼食の時、倉岡さんから、初期の高度順化が天候により遅れていることから、長期の修正が必要となってきた、との話があった。本来なら、プモリやポカルデにて6000m近くの高度順化を行った後、エベレストC1、C2にいって高度順化を行う。その後ディンボチェにて休息をとり、その後アタックという流れであった。しかし、それには時間が限られてきた。そのため、二つのプランを倉岡さんは提案した。

1つはプモリの順化の後、C1、C2の順化を行い、当初の予定で一旦、標高を下げて、ディンボチェにて休息する予定であったが、その休息をエベレストBCにて酸素を使って行う。もう一つのプランは、プモリの高度順化の後、C1、C2の高度順化をやめて、体力を温存しアタックにかけるか。という2つのプラン変更を話し合った。二つ目のプランだと、父はC1、C2の順化を行わないが、サポートする僕たちは、予定通りC3タッチまで行う。父は2つ目のプランに賛成した。

僕も基本的には父のアイスフォール通過を少なくして体力の温存を計るのは賛成であるが、僕たちが高度順化を行ってアタック体制に入るまで、10日間ほど父はベースキャンプにいることになる。僕が心配なのは、その間に父の体力が衰えてしまわないかという事だ。そのためには僕たちが高度順化をしている間、兄や貫田さん、五十嵐さんと一緒にアイスフォールの入り口にて毎日、ある程度歩いたり、クライミングを行ってもらう必要がある。ベースキャンプの生活は単調になりがちであるので、その中でしっかりと体力をキープしなければいけない。また、体力は温存できるが、高度順化は不十分なので、酸素をいかにうまく使うかがこの計画のカギを握る。そのため、午後は新しいプランに沿った酸素計画を練った。やはり高所で頭を使うのはよくない。頭に酸素が使われすぎて、体が寒くなった。4時になり父との恒例のアイスフォール散歩を行った。今日降った雪を踏みしめると、先ほどまで凝り固まった頭が少しはほぐれてきた。

夕食はカツカレー。これについて、隊で一番の食通の三浦雄大と早坂氏が、どこの店のカツがおいしいだの、一度はどこそこの店を食べてみるべきだというような話になる。

2人とも、これから1か月は確実に食べられないようなものに対して、よくこれだけ盛り上がれるものだ。幸せな人たちである。


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