2013年4月15日
今回の高度順化はスムーズ
まずは昨日の書いた日記の訂正とお詫びから。昨日の日記にてサーダーのギャルツェンに異父兄弟が居るという話をした。そのときに、彼の家族はチベットや一昔前のシェルパの風習に乗っ取り多夫一妻制の異父兄弟と書いたが、よくよく聞いてみるとそれぞれの父親には血縁関係は無いそうだ。勝手にチベットやシェルパの風習にあてはめてしまい申し訳ない(しかし、現在でも一部のチベットやシェルパ民族は昨日の日記とおりに嫁ぎ先兄弟全体婚姻関係を結ぶことはある…)。
ということで今日はゴラクシェプに移動した。前も日記に書いたが、今回ほど高度順化がスムーズにいっていることは過去になかった。これは1日の行動が適度であり疲れを残さない。そして登高標高も毎日、300m以内に抑えてあるのでストレスを殆ど感じずにここまできている。多少体調を崩したとしてもリカバリーをする時間がある。
そう、これほど楽に標高5千㍍を越える、ゴラクシェプに入ったことはいまだかつてない。景色も十分に楽しめる。今日も途中休んでいると倉岡さんが適当な岩を見つけてボルダリングを始めた。僕も面白そうだから一緒に始めると、今度はカメラの平井出君がアルピニスト魂に火がついたらしく見事に岩の上まで成功させた。こんな遊びは元気がないとできない。勿論こうした行程が出来るのは十分に時間があるというのが条件であるが、目的がエベレストの頂上であれば体力を温存しながら高度順化をするのが理想だ。これは、エベレスト登山へ向けての新たなアプローチ提案ができたのではないか。
ということで隊員全員とくに大きな健康問題もなくゴラクシェプについた。天気予報では今日から天気が崩れるとあった。しかし午後になっても雪がちらほら降る程度。元気も余っていたので外に雷鳥の写真でも撮り行くことにした。本日の宿はSnowland highest InnインターネットもWi-Fi経由で繋げることの出来る素晴らしいところだ。到着した際、宿の前に雷鳥がいたので、もう一度見に行くとすでに姿を消していた。
宿の裏まで探しにいくとシェルパがテントを張っていてその奥にはヤックが放牧されていた。ヤックは標高が高くなれば成る程強くなる。そのためこの高度にくると大きくて毛並みの良いヤックを沢山みかける。僕はカメラを構えて、「立派なヤックだな」と言いながら何度もシャッターを押した。するといつもヤック達のお世話をしているヤックドライバーの女性達がクスクスと笑っている…。なぜだ?そこに僕の友達であるダヌルシェルパがきた。そして僕に、「シェルパ語でリッパというのは男性のアソコを指すんだよ」と言われた。…どうやらぼくは「ヤックのチ○ポ」といいながら写真をとっていたらしい、とんだ異文化交流をしてしまった。
その後、宿をぐるりと回ってみたが、先程までいた雷鳥の気配がない。しょうがなく戻ると父が散歩の準備をしていた。夕方恒例の散歩だ。一緒にそのまま付き添っていくことにした。兄と早坂さんも一緒だ。父はカラパタールに向かって登り始めた。カラパタールはプモリの一部で5550mのところに頂上とされる場所がある。そこから眺めるエベレストは絶景で、このポイントが多くのトレッカー達の最終目的地でもある。エベレストはカラパタールの頂上までいかなくても10分程、登れば見ることができる。しかし、残念ながら今日は雲が多くて肝心な頂上は覆われていた。
そこでは先程まで探していた雷鳥を見ることができた。ポケットのなかにクッキーのカスがあったのでばらまくと足元まできた。日本の雷鳥とは若干違い灰色の保護色の羽にお腹に黒と白のストライプがある、そして目の周りには赤のアクセントがあった。これまで何回か雷鳥をみたことがあるがいつもツガイでいる。全く無警戒で足元にくるので、よくもこんなに丸々としたトリが今までの生き残れたなと思った。しかし、シェルパたちの間では雷鳥は「聖なる鳥」で捕まえようもんならバチが当たると考えられ、一言でも「食べたい」といったら軽蔑の眼差しで見られる。彼らはシェルパの文化によって守られているのだ。
明日はいよいよ エベレストベースキャンプ入りだ!
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