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10歳の家出とアリバイ。

息子が警察のお世話になって1週間が過ぎ、やっと私の心が平穏に戻りつつある。数日前からSNSに投稿する気力も回復した。それまではSNSをチェックしてもイマイチうわの空で投稿できなかった。

息子が行方不明になって大騒ぎした日。実は「家出の計画を立てていてそれを遂行したらしい」という情報を教えてくれた子が居た。その子の家に辿り着き、その情報に行きついた頃には真っ暗になっていてすでに大騒ぎになっていたのだけど、町内の子どもの居そうな家をとにかく探し回ってくれた実家の母(息子の祖母)が、その家に行くと「入って下さい」と言われ、玄関先へ行くと、小学生の男の子が母親の隣りにいてモジモジしている。「ちゃんと話しなさい」と促すその子の母。

ポツリポツリと話してくれたのは、息子が家出をすると学校で公言していたこと。お父さんにもお母さんにも内緒で出て行って、夜は〇〇グラウンドで眠る。朝になったらもっと遠くへ向かう、という話。実は前日に遂行するはずだったが雨だったので1日延期になったこと。クラスの仲のよい何人かで行く予定になっていること…。(この話をしてくれた子、仮にAくんとする。実はAくんも仲間に入っていたがやっぱり止めた。止めて帰宅してお母さんにこの話をしたので、私の母が伺った時に何も聞かずに「入って下さい」となったのだった)

私は母からこの話を聞いて2つのことを思った。

息子が「家出」という言葉を知っていることへの驚き。そして、まだ分からないけれどどこかに連れ去られたとか事故ではなく、自らの意志で帰宅していないという可能性が高いことへのほんのちょっとの安堵感。

Aくんに聞いた情報は警察とシェアし、〇〇グラウンド周辺を重点的に操作してもらった。(結果として全然違う方向に居たので見つかったのはずっと後)

…ということがあったので日曜日にAくん宅へ挨拶に伺った。私は全く面識のない家だったので挨拶しておきたかったし、Aくんと話がしたかった。インターフォン越しにお母さんに声を掛けるとすぐにドアを開けて下さって「無事でしたか?」と声を掛けて下さった。そうだよね。行方不明なのは知っているけど見つかった連絡はしていないものね…無事に見つかったこと、そしてご心配おかけしたことを謝罪し、Aくんに君がK(息子)のおばあちゃんに正直に教えてくれたことでどれくらい助かったかを伝えて感謝を述べた。私はその話をしながらまたポロポロと泣いた。Aくんのお母さんも涙目になっていらっしゃった。そうだよね、同じ年の子を持つ親だもんね、感情移入しちゃうよね。

わたしがAくんの家に挨拶に行ったメインの理由は、Aくんが友達の秘密をばらしてしまったと罪悪感をもっているかもしれないと想像したので、Aくんに罪悪感を持つ必要は一切ない、心配しなくてもいいことを伝えたかったから。事実、息子はおばあちゃんがAくんの家に行きついたことも、Aくんが話した内容もなにも知らない。Aくんにこの事実を伝え「これまで通りに仲良くしてね」と伝えた。「こんなことが二度とあってはいけないですが、今後のために連絡先の交換をさせて下さい」とAくんお母さんとラインでつながった。息子の交友関係の親御さんまでなかなか知らないことが多いので、Aくんお母さんと繋がれたというのは今回の騒動の産物の1つだと思ってる。

月曜日、普通に登校、帰宅後。Aくんは我が家に遊びに来てた。私は仕事中だったので会っていないけれど、子どもたちと在宅していた母が教えてくれた。Aくんと変わらずに仲良くできていると分かってほっとした。そして当たり前と言えば当たり前なのだけど、Aくんは時間になると暗くなる前にちゃんと家に帰る。

火曜日、下校後。子どもたちがおばあちゃんと在宅していたら、バルコニー側から息子のことを呼ぶ声。遊びに行くつもりがなかった息子が「今日は行かない~」とバルコニーから叫んだら「おまえ、家出したから遊びに行けないの?」というお友達の声・・・笑。息子の家出作戦はどうも周知の事実みたい、笑。

水曜日、息子と話していたら「アリバイ」という言葉を何度も使う。どうもいろんなお友達にアリバイを頼んでいたらしい。ただアリバイという意味を全く分かっておらずアリバイ=家出をする事実をシェアすることだと思っていて、お友達の多くが息子の家出計画を知っているが、誰一人として「アリバイ」を提供できる子はいなかったというお粗末さ。ちなみに一緒に家出をする予定をたてたお友達の数人は実際、集合場所に集まったけど、帰宅時間にみんな家に帰ったらしい・・・みんないい子だね。

息子にはアリバイの意味を伝えておいた。そして「マミィもアリバイの提供をするから、次の時は声かけてね」とお願いしておいた。

10歳の家出計画は穴だらけ…。

あの時の心配はまだ思い出すだけで鼓動が早くなるが、無事に見つかってそして日常が戻った今では笑い話でもある。

今週、息子は月曜日から金曜日まで通しで5日間登校した。週1くらいで休む(私の仕事が休みの日は一緒に休むことが多い、年間の欠席日数が40日を超える)彼からすると凄いことなので、今週末はすごいどや顔で毎日学校へ行ったことをリピートして教えてくれる。それが普通の子たちが山のようにいるんだけどね・・・彼からしたら週5で登校するなんて多分、小1の時以来。

彼は自由人。フリースピリットという言葉がふさわしい。危なっかしいところもいっぱいあるけれど、私は彼の自由なところが好き。自由に行動できるって、自分の決断に自信をもっているということ。まわりがどうこうではなく自分の意志を持っているということ。

彼の良さをどうさらに活かし伸ばすのか、親としての試行錯誤はまだまだ続きそう。




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