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最後の晩餐は「最後のひとくち」を食べたい。

1杯目のお茶碗の中を見てほしい。

そのごはんはどんな姿をしているだろうか。

モリモリのごはん。
ツヤツヤしている炊き立てのごはん。
おこげがあるごはん。
もしかしたら色がついていたり、具が入っているかもしれない。

半分ほど食べると、平たくなったり、右に寄っていたり、おかずが乗っていたり、少し冷めていることもあるだろう。

そして当然、「最後のひとくち」になる。
これをあなたはどう感じるだろうか。

わたしはこの「最後のひとくち」を作るためにごはんを食べているといっても過言ではない。
そこで毎日の私の楽しみをシェアしたいと思う。

「最後のひとくち」の作り方

まず、わたしは両手に収まるほどのごく普通サイズのお茶碗にモリモリに白いごはんをつぐのだ。それはレンチンしたものの時もあるし、炊き立ての時もある。

そして汁物、野菜を食べてから、味の濃いおかずとともにごはんを食べる。味の薄いものだとごはんが進まないときもある。そんなときは、たくわんだったり、ふりかけをかけて一口大になるまで食べる。

これを「黄金のごはん」と呼ぶ。

ここから本格的に「最後のひとくち」の仕上げに入ろうと思う。
この「黄金のごはん」に何をするのかというと、
食事をする前からテーブルに出しておいた、常温の納豆をかけるのだ!

また、納豆にもこだわりがある。

私がここ数年食べているのは、紙パックのおかめ納豆である。臭み控えめ、豆濃厚、たれもクセがなく、あまじょっぱい。スーパーで売っている納豆のキングだと思う。

あみあみのふたを開けて、たれとからしを取り出す。ティッシュを一枚、テーブルに広げ、納豆のねばねばを防いでいたシートをそこに平たくくっつけるのだ。こうすることで、後処理に手間取らない。

ここからは手の疲れとの戦いになるが、お箸を持ち、まずは170回ほど必死に混ぜる。ここでたれとからしを入れて、50回ほど混ぜるのだ。
一説には424回混ぜると一番おいしいと言われているが、私の日々の研究によると、常温に戻した納豆を220回混ぜるのがベストなのだ。

ここまでくると、わたしが納豆大好き人間だということがバレてしまったが、納豆だけを食べるのはわたしのルールに反する。
この「黄金のごはん」とおかめ納豆が最強のコンビネーションなのである。

納豆をかけて、「最後のひとくち」の完成である。納豆をかけてしまえば、テレビを見ている間も、話をする間もない。すぐに口の中に掻き込むのだ。
賞味期限は1分ほどである。

この「最後のひとくち」をここ数年間、毎日の楽しみとしてきた。最初の頃は、母が「納豆を買うためにスーパーに行っているようなもんだ」と不機嫌になっていたことを思い出す。
だが、今では家族も納豆を食べることが習慣になっている。

毎日食べ続けているけれど、飽きない。
どんなにつらいことがあっても、一日に一回は「最後のひとくち」がわたしにはある。

だからわたしは、最後の晩餐をこの「最後のひとくち」と決めている。

あとがき

プラスチックの容器もあるのに、わたしが紙パックにこだわる理由を説明しようと思う。

①後処理が簡単
プラスチック製容器の納豆を買っていた頃、
母から「もう納豆の容器洗うん嫌やけん、自分で洗ってよ!」と言われたことがある。
納豆のネバネバは厄介で、毎日洗うのは嫌だなあと思い、紙パックに移行したのだ。

また、さっき言ったように、広げたティッシュの上にネバネバがついたシートを置く。その上にたれとからしの袋も置き、くるくると包んで紙パックに入れる。
そうすると、もうゴミ箱にポイッで後処理完了である。

②環境のこと
現在、マイクロプラスチックが問題になっている。
「脱プラ=エコ」という訳ではないが(リユースできるものがいい)、出来るだけプラスチック製のものは買わないようにしている。
いつか、伝統的な藁で包まれた納豆も食べてみたいなあと思う。

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