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新自由主義体制下でのSDGsは「やっているふりパフォーマンス」であり、その実現は絶対に不可能

形を変えたCO2削減キャンペーンでもある「SDGs」(「持続可能な開発目標」)。目標として掲げられているお題目(欧州発の新たな「世界標準」)だけは実に立派で、その文言だけ見れば誰も異存はないでしょう。

ただし、「平和」という言葉が最後の17番目の目標の中に付け足しのように入っているのはいただけません。ひとたび戦争が起きれば「持続可能」もへったくれもないのですから「平和な世界の実現」は本来真っ先に掲げるべき目標のはずですが、なぜかそれがまるでアリバイ作りのように最後に置かれている不思議。

また、SDGs17の目標の最初に掲げられているのが「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」ですが、世界中の富の過半を一握りの大金持ちたちに独占させ、経済的格差と貧困による人々の不幸を日夜拡大再生産し続けているのが、儲けるためには何をしてもよいと考える究極の強欲資本主義である新自由主義思想。

現在、日本をはじめ世界中の資本主義諸国に蔓延っている新自由主義思想に基づいた社会体制をそのままにしておいて、SDGsの目標を達成するのは不可能だということです。なぜなら新自由主義は、SDGsが目指していると称する「目標」とは真逆の思想だからです。

新自由主義が目指している世界

〇大企業・資本家の利益の最大化                                                          

〇あらゆる国営企業・公共部門の聖域なき廃止または民営化       

〇新保守主義思想による保守的道徳観の復活強化(例えば、旧来の家族制度を重んじ夫婦別姓やLGBTの権利を認めない、環境権や平和的生存権、思想・信条の自由など基本的人権の敵視)➡大企業の自由な活動を妨げ、資本家の横暴から国民を守っている基本的人権が邪魔              

〇緊縮・均衡財政による小さな政府)➡社会保障や福祉に頼らず自己責任で

〇富裕層の大幅減税による再分配政策の否定➡極端な貧富の差の拡大を放置し、固定化する                           

〇消費税増税➡法人税や高額所得者の所得税の減税分の穴埋め      

〇大幅な規制緩和)➡国民を守るための規制を撤廃し、企業が好き勝手に自由に活動できるようにする(市民の自由や権利の保護や福祉などより資本の自由な活動を優位に置く)    

〇公的年金・公的国民皆保健の廃止➡公的年金・健康保健部門の民間新自由主義市場への開放

〇従来は市場原理になじまないとされてきた公教育、福祉、職安業務、地方自治体、警察、消防、刑務所、軍隊、水道、国公営企業、公共施設など公共部門縮小廃止➡儲かりそうな部門は民営化して自由主義経済へ組み込む  

〇完全民営化までのつなぎとして公教育や公務員の間に競争原理を導入し、採算性や効率性を競わせる➡公立学校の学区制廃止や広域化、国立大学の独立行政法人化、公務員の人事評価方法の改定等             

〇グローバリゼーションによる国際的な分業体制の固定化➡例えば、農業国や原材料輸出国は今後もそのままの状態に置く
など        

新自由主義政策によって引き起こされている社会的害悪

〇貧富の格差の拡大(社会的格差は優勝劣敗による市場での競争の結果であり、当事者の自己責任として正当化される) 。            

〇自己責任論が重視されるので、一に自助で二が共助、三、四がなくて五に公助(この考え方は新型コロナ対策の廃止、原発・自然災害被災者救済の遅れや切り捨てなどで遺憾なく実行されている)。

〇度重なる消費税増税による内需の減少➡日本経済の衰退縮小

〇消費税は、フランスが最初に導入した付加価値税を真似たもので、輸出大企業強化のために合法的に税金を注入するために作られた制度。輸出大企業への税金注入は「輸出戻し税」という形で実施され、その額はトヨタの6000億円を筆頭に年間総額6兆円。消費税額の4分の1に達する。「消費税は社会福祉のために使われます」という政府の言い分は最初から嘘八百。

〇非採算部門である社会保障や福祉の削減と切り捨て。         

〇労働分配率の低下➡労働者の賃金を抑制・カットし、その分を大企業経営者、株主配当、内部留保などに回す。    

〇非正規雇用の拡大による貧困化と雇用の不安定化(約4割が非正規雇用)。

〇賃金の低下、リストラ、非正規雇用化による中産階級の解体と没落   

〇貧困化や生活苦による自殺者・餓死者の増加

〇派遣会社による賃金の中抜き・ピンハネによる賃金の減少

〇労働者の権利を主張する労働組合の敵視、御用組合の優遇、滅私奉公的な長期間労働(サービス残業)、デモやストライキの抑圧           

〇貧困化による既婚率の低下と出生数の減少(奴隷同然の外国人技能実習生制度の導入)            
                
〇資本の利潤の最大化→乱開発によって環境破壊を引き起しても問題だとは考えない(アマゾン開発が有名だが、熱海の「土石流災害」も同じ構造)。

〇地震や台風、洪水など自然災害被災者の劣悪な環境の長期間放置

〇貧富による社会階層の固定化やイデオロギーによる社会的連帯の分断  

〇国民の不満の高まりによる社会の不安定化や犯罪増加に対しては、デモやストライキの規制や弾圧、市民に対する監視強化で対処する(監視カメラや顔認証システム、ネット記事やSNSの監視等➡「デジタル監視社会」) 

 その他                

このように新自由主義は、社会や国民生活に様々な害悪や苦痛を引き起こしている「反社会的思想」なのです。

「新自由主義」については、こちらの記事で詳述しています。

身近な具体例をひとつだけ挙げれば、現在、全雇用者の実に5人に2人が低賃金で不安定な雇用形態である非正規派遣労働者になっています。これは、中曽根政権以来の自民党政権下で実施されてきた労働者派遣法の度重なる改悪による規制緩和の結果です。                     

多くの労働者が低賃金の上に不安定な雇用形態に苦しむ一方、規制緩和で大儲けして笑いが止まらないのが人材派遣会社。日本は世界で一番派遣会社が多い国ですが、その代表格が「中抜き平蔵」こと竹中平蔵が会長を務めるパソナグルーブ。

コロナ禍を最大限に利用して、今年5月期の通期連結業績予想では純利益が何と前年比1000%増!派遣労働者の賃金の3割以上を合法的にピンハネし、政府発注事業で国民の税金をせっせと中抜きして肥え太った成果です。まさしく派遣労働者を食い物にし、国民が汗水たらして収めた血税を吸い尽くす吸血鬼そのもの。

以上、ざっと見ただけでも新自由主義の狙いがSDGsの目標とは真逆のものであることは明らかです。

これは逆に言えば、SDGsの目標項目である貧困、飢餓、健康と福祉、質の高い教育、水と衛生、人間らしい雇用、インフラ整備、安全な居住、持続可能な生産と消費等などの諸問題は、ネオリベたちが忌み嫌うお金の公正で公平な分配が実現できれば、ほとんどが解決できることばかりです。

SDGsを採択した国連が本当に「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせ」たいと思っているのなら、17の目標のような聞こえのよい言葉を並べるよりも前に、真剣に取り組まなくてばならないことがあるはずです。

それは、新自由主義思想とその社会体制の撲滅です。なぜなら、これまで述べてきたようにSDGs目標達成の最大の障害になっているのが、「今だけ金だけ自分だけ」「人の命より金」「弱肉強食」の新自由主義思想だからです。

もっとも、SDGsを国連に採択させ、推進している黒幕は「ダボス会議」で有名な新自由主義の総本山「世界経済フォーラム」(WEF)ですから、国連がどうこうできる相手ではありませんし、WEFの国連への影響力を考えればそんな発想が出てくるはずもありません。むしろ、両者は表裏一体と見たほうがいいでしょう。

何しろ、WEFは真偽の程が定かではない「温室効果ガスによる地球温暖化説」を絶対的な錦の御旗にして「グレートリセット」(自分たち一握りのエリートが支配する「世界統一政府」の実現)、温室効果ガス増加の原因である地球人口や農畜産業の大幅削減、ベットの飼育禁止、昆虫食などを本気で提唱している「あたおか達」の集まりですから。

要するに「SDGs」は新自由主義者たちの都合の良い隠れ蓑であり、「持続可能な世界」の正体は、今後も半永久的に強欲新自由体制を変わらずに維持し「持続」させていくためのやっているふりパフォーマンスでしかありません。

別の角度から見れば自分たちが望む世界を実現するために「地球温暖化ショックドクトリン」を用いた世界規模の謀略でもあるのです。

少女環境活動家として売り出したグレタ・トゥンベリは、そのための広告塔でしょう。

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