見出し画像

物理標問 1日1題 標問92

🐬2022/07/11(月) 更新しました(解答例PDF更新、記事全面リファイン)🐬

🌟 今回のnote記事は見本記事として無償とさせていただきました。

受験生の皆さまこんにちは。2020年11月1日(日曜日)、本日も物理標問 1日1題のお時間がやってまいりました。本日は標問92となります。
当シリーズは連載開始以来、一日も休むことなく92日間毎日連続更新です。


当ページはnote記事によるオンライン指導「物理標問1日1題シリーズ」のコンテンツページとなります。
物理標問1日1題シリーズは全ての記事を改訂していく予定です(全問題に対して私のオリジナル解答例PDF追加、記事全面リファイン)。

⚠️ ご利用を考えていらっしゃる方は必ず親御さんとよくご相談ください。
⚠️ ご不明な点などございましたらご遠慮なくお問い合わせください。

🌟 シリーズと謳っておりますが、ご利用方法は皆さまの完全な自由です。
・ペースメーカーとして最初からすべて通して利用する
・興味のある特定テーマだけを利用する
・気になる問題だけを利用する
といったように、さまざまなご利用方法がございます。


【はじめに】

当連載を楽しむにあたっては物理標問 六訂版が必須です。まだの方はこちらからご購入くださいませ。重要問題が厳選された素晴らしい問題集です。


以下は、当シリーズ(note記事によるオンライン指導)にご参加される方への記事となります。どうぞよろしくお願いいたします。

🌟 今回のnote記事は見本記事として無償とさせていただきました。お気に召されましたら今後ともmitty noteをよろしくお願いいたします。


【標問92】

【教材】私のオリジナル解答例です

🌟 入試問題原題に対する解答例ですので設問番号が標問の番号とは異なっていることをご了承ください(適宜読み替えてください)。


教材は印刷してコクヨフラットファイルにファイリングしていってください。物理標問の特別解答集が徐々に出来上がっていきます!


■ 出典について
2020年度(前期) 東京大学 第1問 です。


■ 出題テーマについて
「中心力場での小球の運動とダークマター質量下限評価」です。


■ Ⅰ(1)について
ただの計算ですが意外と時間を浪費します。
おうちでの演習ではそうでもないかもしれませんが、試験会場でまだ脳みそがフル稼働していない朝一しょっぱな(東大理科の試験時間はAM9:30~)に極度の緊張状態でこの計算を慎重にやるとなると5~10分はかかりそうです。そうなると以下に続く設問への割り当て時間がわずか15~20分となってパニック心理状態になります。
ΔAvの計算が結構しんどいです。そこでAvを微分するという別解に手を出したくなります。微分を使えば一発で答えが出ます。補足資料に書いておきましたのでご参考ください。


■ Ⅰ(2)について
面積速度が時間変化しないというのはΔAv/Δt=0 (面積速度の時間変化率が0)ということです。

ΔAv/Δt=0として出した式の中には加速度のx成分とy成分が入っていて力のx成分とy成分が入っていませんので、運動方程式を用いて加速度を力にします。


■ Ⅰ(3)について
本問と同一趣旨の問題は巷の参考書や問題集でよく見かけますので、皆さま一度は経験があるはずです。

答えとしては「仕事は0で同じ」とすぐに分かるのですが、問題文の「大小関係を答えよ」という問い方が少々いやらしく、何か裏があるんじゃないかと考え込んでしまった人も多かったはずです。
問題文はもう少し配慮して欲しかった思います(たとえば「理由を含めて >、=、< の三択で選べ」などとすればよかったと思います)。


■ Ⅱ(1)について
これも計算だけですが、目ぼしを付けて計算していかないとドツボにハマります。とりわけ試験会場で時間に追われての計算となると難易度はかなり高いです。計算のポイントは早い段階でr^2で通分することです。

本問の誘導からは外れますが、速度の動径方向成分と接線方向成分を考えて解くこともできます。補足資料に書いておきましたのでご参考ください。

解答例では運動エネルギーをKとおきました。KはKinetic energy(運動エネルギー) の頭文字です。運動エネルギーをKとおくのはよくやります。自然な文字のおきかたですので常識にしておくといいです。


■ Ⅱ(2)について
初見では厳しいと思います。
センスのある人は直観的に「等速円運動」になることは分かると思いますので、答案には「等速円運動」と結論だけでも書いておきましょう。何が何でも点数をもぎ取るという姿勢は試験戦略上極めて重要です。

本問についてはどこまで論理的厳密性をもって解答していくかは迷うところですが、試験会場ですなおに書ける現実的答案としては解答例で示したようなものだと思います。
まずは力学的エネルギーEを書き下して前問の結果を使ってE=Kr+U*の形で表します。Kr≧0なのでKr=0すなわちvr=0のとき(等速円運動のとき)Eが最小となるという論法です。
等速円運動となることが分かってしまえば、「円運動の運動方程式(中心方向)」と「面積速度一定」からこのときの半径rを求めることができるので(←Eはrの関数E(r)なのでrが欲しくてrを求めた)、これを先ほどのEの式に代入すればEminが求まります。
少々いかがわしい解法(?)ですが、現実的答案としてはこれくらいで十分だと思います。本問は他の受験生なんてどうせできませんので少々いかがわしくても何か書いてあるだけで大きなアドバンテージです。

論理的厳密性を重視した解答が補足資料で示した別解です(標問の解答はこちらの別解です)。この解答は言われてしまえばその通りで文句のつけようもないのですが、このように平方完成にもっていくのは初見では気づけないものです (1/rという逆数に対する平方完成は経験がなければできません)。


■ Ⅲ(1)について
円運動の運動方程式(中心方向)と量子条件の連立です。同一問題を何度もやりました(例えば標問84)ので皆さま当然出来たはずです。


■ 円運動の運動方程式(中心方向)
円運動の運動方程式(中心方向)の右辺の力(向心力)は中心向きが正となります。よって右辺はGmM/r^2となります。
🌟 勝手に外向き正とするのはやめましょう。


■ ド・ブロイ波長
本問ではド・ブロイ波長の式 λ=h/mv が与えられています。
ド・ブロイ波長の知識を問う小問を入れずに問題文で与えたのはさすがは我らがS欄東大様だと思います。

ド・ブロイ波長の扱いは作題段階でかなり議論されたのではないかと推測します。皆さまによく考えて欲しいことは、出題に携わった東大教授陣はなぜド・ブロイ波長の式 λ=h/mv を受験生に要求せずに問題文で与えたのかということです。もし私が出題者の立場であったとしても問題文でド・ブロイ波長の式 λ=h/mv を与えるか否かは迷います。
高校物理の教科書にはド・ブロイ波長は公式として載っているので制度的には受験生に要求しても文句は出ません。しかし、ド・ブロイ波長 λ=h/mv の知識を入試で問うことに意義を見出すことは難しいです。むしろ量子力学誕生の黎明期の時代背景の中でド・ブロイがどのようなことを考えてλ=h/mvに辿り着いたのかの過程のほうがはるかに重要でそれは大学入学以降にじっくり学べばいい、私はそう考えます。
出題に携わった東大教授陣もそう判断したのだと私は理解しています。


■ ディラック定数ħ(≡h/2π)
プランク定数hを2πで割ったものをディラック定数といい、ħと表記します。大学入学後に学ぶ『量子力学』ではプランク定数hではなくディラック定数ħを使うことが一般的です。
🌟 ħは「えいち ばー」と読みます。


■ Ⅲ(2)について
h/2πのくくりで数値が与えられていることからも、出題陣の頭の中にはディラック定数があることがわかります。物理学者なんだからそんなのアタリマエです。

出てきた答え(ダークマターの質量下限)は 10^-61 kg です。
ミクロの世界の代表格ともいえる電子の質量は 10^-30 kg ですので、ダークマターの質量(のオーダー)は電子の質量と比べても圧倒的に小さいことが分かります。
・・・ダークマターっていったい何者なの?🤔


■ 総評
中心力場での小球の運動とダークマター質量下限評価の問題でした。各設問は難しくはないものの、前半で細かい計算をさせられるので圧倒的に時間が足りずに後半で焦ってパニックになる問題構成です。試験会場でも細かい計算を落ち着いて確実に遂行できるのは相当な実力がある人だけです。最後の設問ではダークマターという用語が出てきて難しそうに感じますが、実は全くそうでもない見掛け倒しの問題です。ただし時間がない中で最後まで解ききるのはかなり厳しいです。

《今回の演習を通して学んで頂きたいポイント及びアクションプラン》
① 運動方程式は ma=F の順番で書く。(
🌟 F=ma の順番で書くのはやめましょう)
➁ 力の向きと物体の運動の向きが垂直のとき、力が物体に対してする仕事は0。
③ 運動エネルギーを文字Kとおくのはよくやる。(
🌟 KはKinetic energy(運動エネルギー) の頭文字です)
④ 円運動の運動方程式(中心方向)の右辺の力(向心力)は中心向きが正の向き。(
🌟 勝手に外向き正とするのはやめましょう)
⑤ プランク定数を2πで割ったものをディラック定数という。(
🌟 ディラック定数を意識して式変形すると便宜なこともあります)



今回の記事は以上となります。
ご意見・ご感想・ご要望等ございましたら、noteの「クリエイターへのお問い合わせ」からお願いします。今後の記事改善の参考にさせて頂きます。

このたびは当記事をご支援頂きまして誠にありがとうございました。

ー 物理標問 1日1題 92日目  完 ー


🌟 当記事および教材の内容の正確性については十分に注意をしておりますが、ご不明な点などがございましたらご遠慮なく「クリエイターへのお問い合わせ」からお願いします。
🌟 お問い合わせにあたって追加のご支援等のお気遣いは一切不要です。アフターサポート込みでのnoteオンライン指導料(note記事の値段)です。
🌟 皆さまから頂いたお問い合わせ等につきましては、原則としてnote記事の更新という形で対応させて頂きます。note記事のご利用者全員の利益となるようにしたいと考えるからです。

📧 クリエイターへのお問い合わせ 📧
https://note.com/mitty77777/message


📔 note 📔
https://note.com/mitty77777

🐦 Twitter 🐦
https://twitter.com/mitty77777

🖊️ Blog 🖊️
https://mitty77777.blogspot.com

🌙 サポートもお待ちしています 🌙

皆さまの「スキ」と「サポート」が励みです。いただいたサポートは運営費用として大切に使わせていただきます。