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物理難系シリーズ 力学 例題6(p.34)

来年2022年度入試に立ち向かう受験生の皆さま、こんにちは。2021年3月14日(日曜日)、本日も私との楽しい触れ合いのお時間がやってまいりました。


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【力学 例題6(p.34) オリジナル解答例とコメント】

【教材】私のオリジナル解答例です


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以下、各設問に対するコメントです。


■ 本問全体について
本問はいわゆる古典的有名問題です。国際物理オリンピック(IPhO)でも出題されています。


■ 装置について
問題文の「上下になめらかにすべることはできるが、離れないような構造になっている」とは、カーテンレールのような構造になっているとイメージすればいいと思います。
(右向き正とした)垂直抗力Nが正にも負にもなりうることを意味します。


■ (1)について
台が固定されているので、台は無視して物体1と物体2だけに着目します。
すべらずに静止している(つり合っている)状態を考えます。

まずは物体1に着目します。
力のつり合い(または加速度0の運動方程式)からT=M1gとなります。

続いてすべるか否かの運命がかかっている大本命の物体2に着目します。
静止摩擦力fは張力Tとつり合っているのでf=T=M1gです。
静止摩擦力が最大摩擦力以下であればすべらないと考えて、
すべらない条件: f≦μN ⇔ M1g≦μM2g ∴M1≦μM2
とします。

すべらない条件は例題2と例題5でも扱いました。その時にも書きましたように、すべらない条件では等号を入れるのが受験定説です。等号のときはギリギリすべらないと考えます。よって本問ではM1がμM2よりもわずかに大きいときにすべると考えます。

設問文ではM1が最小値μM2のときでもすべるような言い回しとなっていますが、最小値μM2ではギリギリすべらない(と考えるのが受験定説)であることは留意しておきましょう。


■ (2)について
物体1と物体2に対して運動方程式を立てます。
ひもでつながれているので両物体の加速度は等しくなります(ともにαとおきました)。

この手の問題では辺々和をとることでいらない子の張力Tを消すのが定石です。いらない子は消して差し上げるのがお優しさです。

答えが出たら検算です。
極端な場合としてM2=0の場合を考えればいいでしょう。この場合は物体1の自由落下運動に相当します。
M2=0とするとt=√(2h/g)となるので一安心です。次の設問に移りましょう。


■ (3)について
台が動くので物体1と物体2と台の3つに対してそれぞれ運動方程式を立てます。

加速度は右向き正、下向き正とするのが自然でしょう。

加速度は床に対する加速度です。

難系の解答例では台(と物体1)の加速度がなぜか左向き正となっているので理解に苦しみます💦。申し訳ないけどお話になりません。

さらには難系の解答例では運動方程式が ma=F の順ではなく F=ma の順になっていることも理解に苦しみます💦。申し訳ないけどお話になりません。
※ これは個人の感想です。


・・・さて。
難系の解答なんてガン無視して気を取り直して先に進みましょう。
運動方程式を順に立てていきます。
これを順に①②③④とします(解答例PDFをご参照)。

運動方程式①②④を立てるのは楽勝ですが、③が難しいと思います。床に対する物体2の加速度cがどうなるかを束縛条件から考えなければなりません。
台が固定されている場合(設問(2)の場合)では物体2の加速度は物体1の加速度と同じ(α)でしたが、今回は台が動くので同じ(b)とするわけにはいきません。
※ 物体2の運動方程式を立てるにあたって床に対する物体2の加速度を考えています。台に対する物体2の相対加速度(今回の場合はひもによる束縛条件よりb)ではないことに要注意です。

床に対する物体2の加速度cをAとbを用いて表す考え方は2つあります。
[1] 物体2の床に対する加速度=床に対する台の加速度+台に対する物体2の相対加速度 ∴ c=A+b
[2] 台に対する物体2の相対加速度の定義  b=c-A ∴c=A+b

[1]は床を基準としてベクトルでつなげていく考え方(受験数学でよくやる考え方)です。[2]は台を基準とする考え方です。
どちらの考え方でもいいです。


運動方程式①②③④を立式し終えたここからが本当の勝負です。どのように計算処理をしていくか。
・・・コレ、意外に難しいです。初見ではどこから手を付けていいのかわからずに詰みます(ですよね?)。

ポイントは「水平方向に関するもの」と「ひもで引っ張り合っているもの同士」に着目することです。
理由は
「水平方向に関するもので和をとると(内力と考えられる)張力Tと垂直抗力Nが消える」
「ひもで引っ張り合っているもの同士で和をとると(内力と考えられる)張力Tが消える」

からです。

これでAとbが無事に求まりました。
A<0なので台は左向きに動き出すことがわかります。
X=1/2・At^2
h=1/2・bt^2
を辺々割ってX=A/b・hとなります。


■ (4)について
(3)で立てた運動方程式をそのまま使えばいいでしょう。
②③でb=0とし、④の右辺にFを加えます。計算処理も(3)と全く同様です。
これでFが無事に求まります。


■ 総評
複数物体が絡んだ古典的有名問題でした。力の向きに注意して運動方程式を正確に立式することが全てでした。計算処理は少々技巧的でしたので初見では解けなかったかもしれませんが、この機会に考え方(「水平方向に関するもので和をとる」「ひもで引っ張り合っているもの同士で和をとる」)を学んでおけばいいです。新たな考え方が身に付いたのであれば、時間とお金をかけて今回の問題演習に取り組んだ甲斐があったというものです。

解けなかったときにヤケになる人がいますが意味がわかりません。解けなかったからこそ学ぶものがあるのです。問題演習を作業と捉えているようではお話になりません。取り組んだその1題から何か1つでもいいので新たな知見/考え方/モノの見方を学んでこそ、問題演習をした意味があるというものです。学びがなければただの作業です。

当シリーズでは今後も難系の問題演習を通して学びの機会を提供していきます。毎回何か一つでも学びがあれば大きな収穫です。1題1題から徹底的に学ぶ姿勢で取り組まれることを切に願います。
私も皆さまに毎回何か一つは新たな学びを提供できるように全力で記事執筆していきますので引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

《今回の演習を通して学んで頂きたいポイント及びアクションプラン》
① すべらない条件:  静止摩擦力≦最大摩擦力 。等号を入れるのが受験定説。
② 摩擦力の向きを正確に判断できるようにする。
③ 運動方程式は ma=F の順で書く。(F=maの順で書かない!)
④ 原則として正の向きは統一する。
⑤ 計算処理はやみくもに行わない。根拠を持って進めていく。
⑥ 問題演習を通して学ぶ姿勢を徹底する。作業としない。



今回の記事は以上となります。
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このたびは当記事をご支援頂きまして誠にありがとうございました。


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