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旧い友人からの電話とタカラヅカ


先日、夕食前に家の電話が鳴った。今時家の電話にかけてくるなんて、義母かセールスの電話くらい。時間帯的にセールスかなぁと思ったが、私より電話の近くにいた旦那さんが出てくれた。なんか名前を聞き直したりしてる。誰だろう?いや、どこのセールスだろう?すると旦那さんが「ちょっとお待ちください」と言って、私を呼んだ。


「おい、〇〇(地名)の△△(名前)さんて、分かるか?」
ん?なんか聞き覚えがあるけど、でもまさか電話かかってこないよなぁ、と思いながら受話器を受け取った。


「もしもし、〇〇の△△ですけど、みとんちゃん、私のことわかる?」
「え、もしかして□□ちゃん?」
「そう。久しぶりぃ〜元気ぃ?」


電話の相手は、まさかかかってこないよなぁと思った、まさにその人からだった。学生時代の同級生。学生の頃は仲良しで、一緒にコンサートに行ったり旅行に行ったりしていた。お互いに結婚してからも、年賀状のやり取りはあったのに、いつからか返事が来なくなって、私も出すのをやめた。だからもう、少なくとも10年以上は連絡をとっていない。ここ最近は思い出すことさえなかった同級生からの、本当に久しぶりの電話だった。ビックリした。


彼女は一昨年久しぶりに同窓会に出席したとかで、その時に私の話が出て懐かしく思ったそうだ。最近になって、彼女の職場に別の同級生が勤めるようになって、そこでもまた私の話が出て、どうしてるのかなあ、元気かなあとずっと気になっていたらしい。意を決して何回か電話をくれたらしく、その日やっと繋がったとのこと
「だって、携帯の番号も知らないし、分かるのは家の番号だけだったから」時代を感じる。私たちが学生時代にはまだ携帯電話など一般的ではなかった。私が初めて携帯電話を持ったのは、子どもが生まれてからだったと思う。


実は私は、別の同級生から同窓会にはいつも誘われていたが、なんだかんだ理由をつけては断っていた。中高の同級生とは違い、今はほとんど誰とも付き合いがないからだった。
とりあえず携帯番号を交換して、LINEでのやりとりをすることになった。


翌日早速LINEが来た。近況報告をし合ったところ、彼女は10年以上前からタカラヅカにハマっているらしい。なんでも知り合いの娘さんが2人もタカラヅカに入っているとかで、そのお2人のことを応援しているそうだ。チケットもその知り合いの方に手配してもらっている。それぞれ月組と雪組に所属していて、彼女は劇場に足を運び、お花(お金)もするとのこと。彼女は自分の推しのことを“ご贔屓の組子さん”と言っていた。とても上品な呼び方だと思った。


実は私も一度だけタカラヅカを観に劇場に行ったことがある。友人が誘ってくれたバス旅行のコースに入っていたのだ。友人も特にタカラヅカのファンというわけではなかったが、一度くらい行ってみるのも良いか、それくらいの気持ちだった。私は女子校に通っていたがベルばらが流行ってた折にはクラスの中にヅカファンが何人もいた。皆、オスカルやアンドレ役の方を「カッコいい」と言って夢中になっていた。私はというと、身近な先輩(もちろん女性)に憧れていたので、女性が女性をカッコいいと思う気持ちは理解できた。初めてのナマの観劇は、ハズレだった。何がハズレかというと演目が日本の時代劇だったのだ。やはりタカラヅカのイメージは、ベルばらのような洋物、私はそっちが観たかった。行く前は、女子校の経験から「私、もしかしてハマっちゃうかも」と思っていたが、そうはならずに済んだ。タカラヅカの観劇にはいろいろルールがある。例えば拍手のタイミング。その組の中で、いわゆる“スター”と言われるような人がその日初めて舞台に登場した時には盛大な拍手をする。そしてやはり推し、いやご贔屓の組子さんがいたほうが絶対的に楽しめる。何の予習もして行かなかった自分を叱ってやりたい。


何はともあれ、こうしてまた旧い友人とのご縁ができた。私がタカラヅカにハマることは多分もうないとは思うが、知らない世界のことを知れるのはワクワクする。早く直に会って、空白の何年いや何十年を埋められるだけのお喋りをしたいもんだ。



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