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ロシア語のネゴト


ある日の明け方、横で寝るちゃま(うちの旦那様)の寝言で目が覚めた。何やら大きな声で喋っている。何だ?何て言ってるんだ?


‥分からない。普段日本語を喋っているイントネーションぽいが、何を言っているのか全く分からない。少し怒っているのか、誰かに何かを注意しているような、そんなテンションだった。「そこは違うって言ってるのに。何だよもう。何でそうなっちゃうかな、ホント‥」みたいな。


ふと頭に浮かんだのは、ロシア語。いや全然ロシア語とは違うけど、でも「話の通じる相手じゃない」的なそのわけの分からなさはロシア語を彷彿とさせた。そしてちゃまが遠く感じて怖くなった。思わず手を握ったら握り返してきたけど、起きはしなかった。しばらく手を握っていたら、またさっきと同じようなテンションと声の大きさの寝言が始まった。そこから私は目が冴えてしまった。


それにしても、なんでロシア語だなんて思ってしまったのだろう。答えは明らかだ。戦争のせいだ。私は不勉強だから詳しい事情はよく理解できていない。でもそんなの関係ない。どんな事情があろうと、たとえ相手の方に非があろうとなかろうと、戦争を始めてしまった人のことは理解出来ない。


「どうして返事をくれないの、本当に訓練中なの?」という母親からの問いに、「ママ、訓練じゃないんだ。本当の戦争が起きている。怖いよ」と返した、戦死した若い兵士の話が新聞に載っていた。(3/4朝日新聞・天声人語)これほどの悪夢があるだろうか。
ウクライナの女性がロシア兵を保護したという話もある。兵士が持っていた国から支給されていた保存食は、何年も前に賞味期限が切れていた。女性は兵士に、家に電話をかけるよう言い、兵士の母親に「息子さんを保護しているから安心して」と伝えたとのこと。
どちらもホントの話かどうかはわからない。ただ、私でもわかることは戦争で血を流しているのは、理由もわからず集められて駆り出された人たちだ。命令した人じゃない。

朝のリレー
         谷川俊太郎

カムチャッカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝返りをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

朝日新聞に抜粋が載っていた詩。全文が知りたくて検索してみたらとても愛おしい内容で何度も読み返した。この詩を読んでいる時の脳内BGMは大好きな松田聖子さんの『瑠璃色の地球』。そう、私たちは‥

地球という名の船の誰もが旅人
ひとつしかない私たちの星を守りたい
           (『瑠璃色の地球』より)


これから先もずっと、今まで通りの朝がリレーされていく、皆が交替で地球を守っている、そんな世界であってほしい。



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