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娘夫婦、家を建てる④

このシリーズの③から随分経った。おかげさまで、来月には完成予定だ。

私は娘夫婦が家を建てることになるまで、住宅メーカーについてそれほど考えたことがなかったのだが、ここ数ヶ月の間、それがとても重要だと知ったのだ。どういうことかというと、どこの住宅メーカーで家を建てるか、建てているか、案外世の中の人が注目しているということを知った。娘夫婦の新居は比較的目立つ場所に建つ。地鎮祭が終わりいよいよ工事が始まるとなると、当然“○○ハウス”とか“○○住宅”といった住宅メーカーの名前の入った覆いで囲まれる。この覆いが意外にも皆から見られている。

工事が始まってしばらくした頃、私はたまたまママ友に会った。久しぶりに会って世間話をして、話の流れで娘夫婦が家を建築中だと明かした。するとママ友が、
「もしかして、あのコンビニの向かいの角のお家?」と言うので、「そうそう、えーなんで分かったの?」と言うと、「だって、○○の覆いがしてあるでしょ。誰が建ててるのかなぁって気になってたんだ。」と言うではないか。要するに彼女は、“○○の覆い”が気になったということ。おまけに「いつも仕事の行き帰りにあそこ通るから、毎日進捗状況を見てる。」とまで言う。何がそんなに気になるのだろう。

答えは、○○という住宅メーカーは、よその会社よりもちょっぴりお高いことで有名らしい。誰もが名前を知っている一流メーカーゆえに工事費が高いのはある意味仕方ないことで、本当はそのメーカーで建てたかったのに値段を考えた末に結局仕方なく他のメーカーで建てちゃったって人、結構多いらしい。私の今までの生活にはあまり関係なかったことなので初耳だった。工事費がちょっぴり高いのは分かった。でもだからって、その会社の覆いを見ただけで誰のお家か気になるというのはどうなんだ?とその時は思った。実は旦那さんの実家でも、兄夫婦や甥っ子が、やはり同じ事を言った。「あそこ(○○)は工事費が高いでしょ?」と。「高いのにすごいね。」とまで言われた。甥っ子も2年ほど前に家を建てたばかりだが、○○で建てたかったが工事費が高いからやめた、とのこと。まさか、こんなにいろんな人からメーカーのことを言われるとは思ってもいなかった。

そして先日は、次女が美容院へ行った時。近所に新しく出来た初めて行く美容院だったのだが、そこでもまたその話になったらしい。美容院の方が次女に「またお友達とかご家族に(その美容院のことを)宣伝しといてくださいね」と言われた次女は、「今、姉が近くに家を建てているので、引っ越してきたら宣伝しときます」と半ば社交辞令で言ったところ、「え、もしかしてあのコンビニのところですか?」と返され驚いたと言っていた。

「はい、そうです」
「えーやっぱりそうなんですね。○○のお家ですよね?」
「はい」
「すごーい」

何がすごいのか。結局その美容院の方も、○○は高いのに、どこの誰が建てているのかがずっと気になっていたそうだ。住宅メーカー、恐るべし。これだけ広く「値段が高い」ことが知られていて、かつ皆が憧れていること。私は全然知らなかった。

長女にその話をすると、
「そりゃまあよそに比べたら高いよ。一流なんだから高いに決まってる。そして私は一流が好きだから。お母さんもでしょ?」と言われ、確かに私がもし今、家を建てるとしたらやっぱり○○に頼んじゃうかもなーと気付く。値段というよりは信頼。一流だからこその信頼や安心感、そしてちょっとだけ優越感。私たち親子はそこに惹かれるのだった。見栄っ張りの親子だねえ。

そんなわけで、皆から羨ましがられるお家が建築中だ。娘夫婦が近くに住むことになるっていうだけでとても楽しみだったけど、今は皆があまりにも羨ましがるのでちょっとだけ鼻が高い。

(私のお家じゃないのになぁ‥。)

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