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春の一大イベント


私の職場の新年度最初のイベントは席替えだ。何のためと言われると、業務のスムーズな遂行のためというか。とにかく前年度とゴッソリ入れ替わるのだ。ただ、何人かの席は固定で、私もその一人。私の席はここ10年ほど変わっていない。私が変わらなくても周りの顔ぶれが変わるのであるから、景色が変わる。なかなか楽しい。


席替えの日は、大抵午前中は会議続きで、お昼を挟んで午後から移動なのだが、いつもフライングする人がいる。13時からですよ、と言われているのに、12時半くらいになると、引き出しや机上のものをゴソゴソとまとめ始める。まだ皆がお昼ご飯を食べてる途中でしょうが!と言いたくなる。職場は全員が同じ規格のデスクなので、デスク本体はそのまま、引き出しだけ持って移動する。デスク本体はそのままではあるが、PCのケーブルを繋ぎ直したりするため、デスクも少しだけ動かさないといけない。そしてその時が、年に一度のデスクの下を掃除するチャンスだ。職場の大掃除の時期は、年末ではなく春なのだ。全員が、箒やら、クリーナーやら、雑巾を持っての大掃除。これはなかなか楽しい。


ところが、今年の大掃除に参加していない人を発見した。その人は、別の部屋に別の自分のデスクを与えられていて、席替えの前日には一人だけそっちに自分の荷物を全部移動させていた。移動させるのは良いとしよう。だけど、他の皆が自分のデスク周りだけではなく、部屋全体の掃除をしているのに、その人はその場にいなかった。掃除がひと段落して、個人のデスクの片付けを始めた頃にしれっと戻って来たのを私は見逃さなかった。


せっかく皆で大掃除をして気持ち良い新年度のスタートを切ろうとしている、その一体感。それを味わわずして、自分のことだけやれば良いというのは自分勝手ではないか。そういう小さな一つ一つが、職場の和を乱すような気がして、私は残念に思った。でもまあ仕方ない。皆で大掃除をする楽しさを味わえなくて残念だったね、と珍しく私は寛容だった。春だもん。



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