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演じる人々


日曜劇場『半沢直樹』が先週から始まった。もはや、勧善懲悪のドラマの結末は承知の上だが、それでも毎週観てしまう。初回、第2回と、1時間を越える拡大版だったが飽きさせるどころか、もっと観たい、何ならこのまま10時間くらいかけて最後まで放送してくれても良い、と思ったほど面白かった。


主演の堺雅人さんがハマり役なのはもちろん、脇を固める俳優さんたちも皆素晴らしい。『半沢直樹』という、ヒットを約束されているドラマに出演することになって”気合い入ってます!”と言わんばかりの熱演ぶりだ。特に目立つのは歌舞伎俳優さんたち。市川猿之助さん、尾上松也さん、片岡愛之助さん。香川照之さんも歌舞伎界に縁のある俳優さんだ。普段は舞台の上でお化粧をし着物姿で踊ったり見栄を切ったりしている人たちが、スーツ姿で「てやんでぇ」口調でやりあう。歌舞伎俳優さんたちが現代劇に出ることが珍しかった時代は終わった。今や歌舞伎俳優さんが人気ドラマを牽引しているとも言える。


この『半沢直樹』の放送枠、TBSの「日曜劇場」と言われる日曜21時の枠だが、この枠のドラマには俳優さんではない、異業種の人たちがキャストに起用される事が多い。

歌舞伎俳優さんは元より、落語家、芸人、モデル、アナウンサー、ミュージシャン、はたまた元ラグビー日本代表選手等など。しかもチョイ役ではない、結構な主要人物だ。俳優さんにしてみれば、おいおい俺らの畑を荒らすなよーって感じかもしれないが、異業種の人たちは”できる”人たちだ。観ている側も新鮮な感じがして楽しいし、いろいろなドラマでいろいろな役をしている俳優さんにはある程度のイメージが付いているのに対して、異業種の人たちには俳優としてのイメージが無い分、役のイメージがそのままストレートに入ってきて、煩わしさが無い気もする。


それに、例えば落語家さんは日常的に一人で何役もを演じているし、芸人さんだって漫才でもコントでもやっぱり演じている。ミュージシャンは歌で感情を伝えるし、モデルさんだって表現するのが仕事だ。


そう、役を演じたり表現したりするのは俳優さんだけの特許ではないのだ。少なくともテレビに出ているような人たちは皆、表現者であり伝えることが仕事だ。だからドラマに出演しても変な違和感は無い。


私はドラマが大好きだが、時に俳優さんの演技が(悪い意味で)気になってしまって居心地が悪くなり、それが原因で観るのをやめたドラマはいくつもある。せっかく良いドラマでも観続けるのがツラくなるのだ。

キャスティングって大事だなぁとつくづく思う今日この頃。



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