見出し画像

使いやすさ、支援されやすさにこだわった新しいソーシャルグッドのカタチ。カケハシ電気が挑む社会課題とは。

夢職人×ENS_note1

株式会社イーネットワークシステムズ 取締役 大澤哲也(左)
認定NPO法人「夢職人」理事長 岩切準 氏(中央)
三ッ輪ホールディングス株式会社 代表取締役社長 尾日向竹信(右)

三ッ輪ホールディングスグループで電力小売プラットフォーム事業を展開するイーネットワークシステムズ(ENS)と認定NPO法人夢職人とのコラボレーションから生まれた「カケハシ電気」。従来の電気よりも安価に利用できるのはもちろん、子どもの支援や環境にも貢献するソーシャルグッドな電力サービスです。このカケハシ電気と経済的に事情のある子育て家庭を支援するTable for Kidsについて、夢職人の岩切理事長をゲストに迎えて語っていただきました。
三ッ輪ホールディングス代表の尾日向とENS取締役の大澤が聞き手を務めます。

岩切 準 氏 認定NPO法人「夢職人」理事長
1982年生まれ。東洋大学大学院社会学研究科社会心理学専攻修了。2004年に子どもや若者を対象とした社会教育事業に取り組む「夢職人」を設立。首都圏を中心に、自然体験・野外活動、スポーツ・レクリエーション、科学・文化・芸術活動、社会体験・キャリア教育等を展開。コロナ禍では、スマホ決済の仕組みを活用し、経済的な事情を抱える子育て家庭に対する新たな食の支援を開始。2014年からは教育格差の解決を目指す公益社団法人「チャンス・フォー・チルドレン」理事も務める。

<聞き手>
尾日向 竹信(三ッ輪ホールディングス株式会社 代表取締役社長)
大澤 哲也(株式会社イーネットワークシステムズ 取締役)

新しい食の支援、Table for Kids

―まずは夢職人さんの現在の活動について教えてください。

岩切:われわれは17年間にわたって集団で、なおかつハンズオンで、「学校外での多様な体験の場」を提供してきました。ですが、コロナ禍に入ってからこれらの活動が感染予防対策上すべてNGとなってしまったんです。

では自分たちのアセットをどこに振り分けるべきか。つながりのある百数十人の地域や団体、企業の方々にお会いして、いま一度現場で何が起こっているのかヒアリングした結果、コロナ禍で経済的な打撃を受けている家庭が急増していることがわかりました。

夢職人×ENS_note2

尾日向:そこに対して行政や民間企業は具体的にどんなアプローチをしていたんですか?

岩切:コロナ禍の特徴のひとつでもあるのですが、これまでやってきた支援がことごとく通用しないんです。たとえば「子ども食堂」ですね。みんなで集まれなくなったし、運営スタッフの中には重症化リスクが高い年齢層の方も多い。もちろん高齢者以外のスタッフにも感染リスクがあります。だったらお弁当を届けてはどうか、という動きがありましたが、どうしても食中毒の問題がついてまわります。

それなら、と食材を直接渡す支援が立ち上がるも、賞味期限の観点から渡せるのは腐りにくい乾麺などの炭水化物が中心になってしまう…という課題がありました。

大澤:コロナ禍は誰も経験したことがありませんからね。

岩切:そこでわれわれは点ではなく面でできる支援、かつ継続可能な方法論を考えました。支援を受ける家庭がどういう形なら受けやすいか、ということをリサーチして辿り着いた食の支援が「Table for Kids」です。いま夢職人ではTable for Kidsと感染症対策を行いながらの教育事業を並行して展開しています。

―具体的にはどのような支援なんですか?

夢職人×ENS_note_1

岩切:個人や企業からのご寄付を原資に、経済的に困窮している子育て家庭にポイントを付与します。そのポイントを協力加盟店で使えるという仕組みです。飲食店で支払いに使用されたポイントは、夢職人が翌月には現金に換金します。これで経済的に困っている親子に早く確実に食の支援が行える。同時に街のお店の活性化にもつながります。

QR決済なので周囲の目も気にしなくて済むし、何よりお店やメニューが選べて、できたての料理が楽しめる。現在、協力加盟店は、江東区・墨田区・中央区で31店舗となり、飲食店・弁当惣菜店・精米店などで利用ができます。また、支援家庭は96家庭まで増えました。

尾日向:募集開始されて、締切前には定員となってしまいましたね。

岩切:実際にご利用いただく家庭の95%から「生活の役に立っている」という評価をいただいています。使いやすさが一番の利点として受け入れられているのではないでしょうか。そしてもう一つ、支援対象が子どもだけでないという点。親の貧困は自己責任論にされてしまいがちですが、それは違う。誰もが不可抗力によって、経済的に困窮する可能性があるんです。

それに、子どもだけを支援すると、子どもは親にものすごく遠慮ながら食べなくちゃいけなくなります。自分だけ食べて親は食べていない、その状況を子どもがどう思うのかを考えたら、世帯ごと支援しなければ意味がないことは明らかです。

カケハシ電気に加入するとできること

―このTable for Kidsに寄付するひとつのチャネルがカケハシ電気になるんですね。

大澤:カケハシ電気はENSが提供する電力小売プラットフォームを利用するのですが、ご契約者様の電気料金が安くなるだけでなく、電気代の1%~5%にENSがさらに0.5%~2%上乗せしてTable for Kidsに寄付します。

また「グリーンプラン」をご選択いただくと、J-クレジットという環境価値を付加することで実質CO2フリーの電気を使えるというメリットもあります。

夢職人×ENS_note_2

岩切:Table for Kidsは規模の拡大も大切ですが持続性が大きな鍵を握っているプロジェクトです。そのためには寄付のチャネルは多ければ多いほどいい。個人のお客様はもちろん、法人のお客様も大歓迎です。

企業からすれば手軽にコストを下げられて、なおかつSDGsへのコミットやCSRにもつながります。災害支援のように大きな金額を一時的に拠出するのと違って、比較的稟議も通りやすいのではないでしょうか。

尾日向:岩切さんは最初、ENSからのアプローチを受けた時に私たちにどういう印象をお持ちでしたか?

岩切:歴史あるエネルギー企業グループだということもあり、なかなかスピーディに物事が進みにくそう、というのが正直なところでした(笑)。それまでにもいくつかの新電力系の会社さんからお声がけをいただいたのですが、電気を扱うということは責任が大きい。やるならそれ相応の体制が整っていて信頼できる事業者が見つかったときだな、と感じていたんです。

夢職人×ENS_note3

大澤:当初のイメージと違って、当社に歴史があること、LPガスという社会インフラでの実績を有していることもプラスに働いたということでしょうか?。

岩切:もちろんです。一方である程度のスピード感がないと、プロジェクトとしてスタートした後にいきなりトーンダウンしてしまうこともありますからね。社風を見極めるポイントとして、私は三ッ輪グループの求人をものすごくチェックしました。

尾日向:求人ですか?

岩切:求人にはその会社がどういう人を集めようとしているのかが明確に書かれています。三ッ輪グループの求人は、創業80年以上の会社とは思えないほどベンチャーでアグレッシブな内容で、先入観を180度覆されました。

これまでのアセットを活かして新しい時代に必要なことをどんどん形にしていく姿勢が見えて、間違いなく「新たな価値を創造」していく決意を持った会社なんだと感じました。

尾日向:うちの社員全員を評価していただけているみたいで、すごくうれしいです。

岩切:結局コミュニケーションって人対人じゃないですか。会社ですから異動だって当然あるでしょう。でも人が変わってもカルチャーが引き継がれていけば大丈夫だと思っているんです。

三ッ輪グループの求人からはカルチャーを重視することが伝わってきましたし、これなら長くお付き合いできる、信頼できる事業者だろうと判断して、ぜひとも提携しましょうという話になりました。

夢職人×ENS_note4

スピード感ある取組みのケーススタディとして

岩切:最近、NPOに高校生が連絡してくることがあるんです。大学入試も変わってきていて、高校生なのに論文を書かなくてはいけないケースも増えてきているようで、テーマが必ずSDGsに紐付いているんです。そのような時にも、「カケハシ電気」はいい題材になるんじゃないかと思っています。

高校生って大人に対して斜め45度で見るじゃないですか(笑)。こんなに問題を蓄積してきて何も解決しないまま俺らに押し付けやがって、という感覚にはとても共感します。その目線で「社会課題について、忖度無くどうしたらいいか考えているから聞いてもらえないか」って連絡してくるわけです。たとえば貧困を複合的な問題だと理解すると、あの学部に行っても課題解決にならないとか言う子もいたりして。
偏差値じゃなくてやりたいことから学校を選ぶ、本当の大学入試の姿がそこにあるような気がするんです。

尾日向:いい傾向ですね。

夢職人×ENS_note5

岩切:そんな高校生たちってエネルギーにものすごく興味があるんです。「カケハシ電気」についてもいろいろとつっこんでくる子もいるだろうし、もっとこうしたほうがいい、なんてアイデアも出てくるかもしれない。

尾日向:答えがないからこそ与えるテーマとして適しているのかもしれませんね。

岩切:答えのないことを教えてくれる人がいないんです。最初は「ソーラーパネルをとりあえず貼りまくればいいんじゃない?」と言っていた子が、調べていくうちにそんなに単純な問題じゃないことを知り、先日の伊豆の災害などを絡めて考えるようになる。
その上で、大人は考えた末に何をやっているのか、と知りたいと思うようになります。

大澤:今度、岩切さんのご紹介で都立高校で授業をすることになりましたよね。正面から高校生と話せる貴重な機会なので、とても楽しみにしています。

岩切:社会問題、特に貧困とエネルギーはかなり密接な関係だと思っています。イギリスでは収入の10%超が燃料費に使用されているとエネルギー貧困といわれていて、日本でも電気代高騰に伴って深く関係してくるんじゃないかと。

NPOや企業の垣根を超えて、それぞれが持っているアセットやポジショニングを活かしながら協同して取り組んでいくべき問題ですよね。

夢職人×ENS_note6

尾日向:エネルギーも民主化されてそれほど経ってないんですよね。まだまだ官の時代を引きずっている。でもスピード感はぜんぜん違ってきて、いろんなサービスが出てきています。
エネルギー業界だけでなくいろんな業界で、スピード感をもってそれぞれが持っているアセットをぶつけることは絶対必要だと思います。

岩切:そういう意味でも今回の「カケハシ電気」はスピードを感もって形にできた好例だと思います。ここからどう広げていくかという課題があるにせよ、NPOと企業の繋がりの事例として素晴らしい。
カケハシ電気の認知を上げるにはどうしたらいいか、というプロジェクトをになってもらってもいいかもしれませんね。

大澤:鋭いアイデアが出てきそうですね!

岩切:後に続く取組みがたくさんでてくるようないい成功事例になるべく、さまざまな団体や企業に協力いただきながら「カケハシ電気」を大きく育てていきたいと考えています。

尾日向・大澤:本日はありがとうございました。これからもよろしくお願いします!

夢職人×ENS_note7

【三ッ輪ホールディングス株式会社】
https://mhdg.co.jp/

【株式会社イーネットワークシステムズ】
https://www.enetsystems.co.jp/

【夢職人】
https://yumeshokunin.org/

●カケハシ電気
https://energy.yumeshokunin.org/

●Table for Kids
https://tfk.yumeshokunin.org/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?