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愛犬ぷる(チワックス)の話 その一『食べてはしゃいで威嚇してw天寿を全う』

先日、娘として愛情を注いできた愛犬ぷるが永眠しました。16歳でした。ぷるはチワックス。チワワとミニチュアダックスのMIX犬です。チワックスは垂れ耳でダックス寄りの外見の子が多い中、ぷるは立ち耳で外見はチワワ寄り。足は短く、短足チワワという感じです。そんなぷるの最期はあまりにも意外なもので、飼い主ながら見事だったと感心しています。では、どのような生涯だったのか、まずはぷるが旅立ったときのことからお話ししましょう。

それは突然やってきた

まだお正月気分も抜けないある早朝のことでした。「ザザッ」「ドサッ」という滑るような音が聞こえた後、「キャヒンキャヒン」という聞いたこともない悲鳴が。声の主はぷる。先に飛び起きた夫がすぐ駆け寄り、抱き上げると驚くほど呼吸が早くなっていました。

「呼吸が早い!呼吸が早い!」夫はそう言いながら必死にぷるの体をさすり、温めます。二人で交替しながら抱っこしてさすっているうちに呼吸が落ち着き、普段のぷるに戻っていました。そして、毎朝の日課になっているヨーグルトをいつも通り食べ、豆乳を飲んでからオシッコ。そして、くつろぐために自分のベッドへ。
お昼ご飯もすごい勢いで完食し、食後の豆乳を飲んでからオシッコという流れもまったくいつもと変わらず・・・。おやつでテンションが上がり、おやつを咥えたまま私たちのベッドに駆け上がって嬉しそうに食べている姿はいつものぷるです。

5〜6歳頃のぷる

まさかの心肺停止

「今朝のは何だったんだろう?」
私と主人は困惑しました。でも、本人(本犬)は食欲も旺盛で足腰も問題なく、いつもと変わりません。それでも心配で様子を見ていると、午後3時ごろに異変が。舌の色が急に悪くなったのです。今朝のことも心配だったため、病院へ連れていくことにしました。現在の場所に移転したのは数年前。移転後も愛犬が慣れている病院でずっと診てもらっていました。ところが、幼犬の頃から慣れている隣の市の病院はまだお正月休みです。
幸い、すぐ近くの病院が夕方から診療を開始することがわかり、すぐ診てもらうことに。診断の結果、心不全と告げられました。

応急処置の注射を打ち、状態を見るためにレントゲンを撮ったところ、心臓の肥大を指摘されました。ただ、肺は綺麗だし肥大はしていても心臓の動きも問題はないといいます。ところが、診察を続けている先生が
「おいおい、なんだ?どうしたんだよ」
と慌て始めました。心臓の動きが急に弱まったというんです。

そして、心肺停止。すぐに心臓マッサージが施され、私と夫は
「ぷるは強い子だから大丈夫だよ!」
「美味しいお肉をもっと食べるんでしょ!」
「ぷるは大丈夫!しっかりしなさい!」
などと必死で声をかけました。幸いすぐに蘇生しました。

14歳の頃

療養生活はわずか1週間

心臓は、1年ちょっと前にかかりつけの病院で検査を受けています。
「わずかですが雑音も確認できるし、年齢的にそろそろ受けた方がいい」
という主治医の勧めでした。検査の結果、心臓の肥大が始まっていてそろそろ服薬を始めてもいいかも?とは言われていました。それでも、お薬を飲むことはしませんでした。私たちが服薬を迷ったのは
「飲み始めると薬の依存が高くなり、1日でも切らせてしまうとリバウンドがある」
という説明が大きな理由です。

ぷるは、老犬とは思えないほど元気で、小走りで散歩します。それは、最後までそうでした。眼も綺麗に澄んだままで認知症もなく、食欲も落ちたことがありません。むしろ食欲旺盛で、毎回食事のときは
「ごはんだ!早く早く!」
とはしゃいで歩き回り、大変な騒ぎです。

踏ん張る力も噛む力も強く、引っ張られると飼い主でも負けてしまいます。そんな元気な子を服薬でリスクを負わせる気にならず、様子を見ることにしたのは夫婦で合致した意見です。
主治医に言われて呼吸数を日頃から測っていましたが、1分で15〜18回程度と正常値を保っていました。


歯周病が進んでいたのでそのお薬は飲んでいましたが、全体的にとても元気だったのです。そんな子が急に心臓発作を起こした・・・。しかも、一度は心臓が止まったのです。私と夫は困惑しました。それでも蘇生したので「やっぱりこの子は強い」という安堵感で病院を後にしました。

翌日はかかりつけの病院も診療を開始するということで、改めて診てもらうつもりでいました。ただ、発作を起こしたことで
「近くの病院で治療を始めるのもいいかもしれない」
と考え、応急処置をしてもらった近所の病院で心臓の服薬を開始。

お薬を飲み始め、一時は30回を超えることもあった呼吸数は次第に落ち着き、20回を下回るようになりました。いつものぷるに戻っている・・・。私たちはどれほど安堵したことか。
「ね、大丈夫でしょ?また元気にお散歩できるからね」
声をかけると、ぷるも嬉しそうです。明日は気温が高めだからお散歩に出ようと話していた数時間後、ぷるの容態は急変します。呼吸数が30回を超え始め、深夜には50回を超えるようになりました。

そして翌朝。病院が開くのを待ってすぐ診てもらいましたが、元気な姿で自宅に戻ることはできませんでした。はじめの心臓発作から約1週間。嘘のように急な最期でした。あんなに元気で力強い子が。今でも信じられません。

ぷるが逝く瞬間は鮮明に覚えています。病院でまた心臓が停止。先生が心臓マッサージを施してくれる中、私は手を握って声をかけながら顔を見つめました。先生から
「これで、最期だと思ってください」
と言われてもどこかで信じていました。でも、ぷるを見ていてすぐに納得できました。受け入れる決心がついたといえばいいでしょうか。

顔を見つめていると、ぷるの眼がものの数秒で曇りガラスのように半透明に変わったのです。まるで、ガラスの表面が端から凍っていくような感じでした。それを見たとき
「ああ、逝くんだな」
と。はじめに心肺停止したときは澄んだままの眼だったのに、今回は違うんだと。これが逝くときのサインなんだと。

直前まで強気でポジティブだったぷる

ぷるの体はあっけなく死んでしまいました。それは、まったく予想していなかった終わり方でした。私と夫は日頃から
「ぷるもオムツするようになるのかな?」
「歩行が大変になったらカートを買わないとね」
「ごはんも硬いものは食べられなくなるよね」
などとぷるの老後や介護について話していました。ところが、まったくそういったことはなく、最期まで普通に暮らしていたわけですから。

永眠する前日の夜も、キッチンが気になってうろうろしながら見張っていたぷる。すでに呼吸数が30を超えていたときです。夕ご飯はもちろん完食。それどころか、夜食まで食べています。
翌朝、病院へ行く前もいつもの日課のヨーグルトを完食し、豆乳を飲み、普通に自分でトイレに行ってオシッコ。まるで、いつものお出かけのようでした。病院へ向かう車中では散歩している他所のワンコに向かって吠え(さすがに声はやや小さめでしたが)、いつものように喧嘩を売っていたぷる・・・。息を引き取る30分ほど前に他のワンコに喧嘩を売るなんてビックリです。

7〜8歳頃。お猿のおもちゃを選んでご満悦のぷる


はじめに心臓が蘇生した2日後は散歩にも行っています。安静のためキャリーバッグに入れての散歩でしたが、ぷるが大好きな仲見世へ行き、スタッフさんたちに挨拶。バッグから出ていつものように撫でてもらっていました。夜になると、元気が出たようでおもちゃを咥えて私たちのベッドに駆け上がり、遊んでいたぷる。
亡くなる2日前も、散歩の途中でキャリーバッグから出してあげると走っていました。

すぐ無理をするので冷や冷やしましたが、元気いっぱいなまま天寿をまっとうしたわけです。小型犬の平均寿命は12〜16歳といったところ。白髪で顔は白くなっていましたが、あれだけ元気なまま生涯を終えられたのは幸せです。
私たちが想像していた老後、ぷるの介護は一切なく、まるで線香花火の終わりのような天晴れな終わり方でした。


陽気でふざけてばかりいたぷる


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