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町の酒屋さんM&A

こんにちは。スモールM&Aアドバイザーの北林です。
まだまだコロナの影響で様々な業界が厳しいと思います。
この我々に業界も実は活況に見えて、実は厳しいと感じております。
この話は、また別の機会で書きたいと思います。

さて、そのような中ですが、先月弊社がアドバイザーを務めるM&A案件が成約したので、少し振り返りをしてみたいと思います。

●売却側概要●
地域:京都府(中部)
業種:酒屋1店舗(小売) ※法人。50年以上。
スキーム:100%株式譲渡
役員・従業員:2名(ご夫婦)
売却理由:代表の高齢化、後継者不足
売買条件:希望価格500万円。代表引退。車等の一部資産は代表個人へ。
その他:実質休眠状態(一部配達のみ)。金融機関からの借入なし。

●買収側概要●
地域:東京
業種:飲食関連サービス会社
買収理由:現在は取得不可の酒類販売免許の獲得

●弊社の立ち位置●
仲介形式

成約までの期間

今回の案件は依頼されてから約1年で成約しました。様々な会社が興味を持っていただき実際にトップ面談まで行った会社さんは3社でした。
1社目は関東のIT企業、2社目は関西の中華料理屋、そして3社目が今回の買手様になります。2社目のTOP面談後すぐに、コロナが本格化して、その後なかなか買手候補が見つからないという厳しい状況でしたが、飲食関連サービスを運営する東京の会社様が、売手が保有する酒類免許を早急に探しており、問合せから約3か月程度でクロージングまですすめることができました。

今回の流れ

今回は通常通りトップ面談の後、買手様より「意向表明書」を出したあと、「基本合意契約書」を締結せずに、すぐデューデリジェンスに入り、その後「最終譲渡契約書」を締結・クロージング(成約)という流れを採用しました。売主様、買主様の双方が信頼関係もできてあがっており、他に買手候補もいないことから基本合意契約はなしで進めました。(基本合意契約の大きな役割は独占交渉権を書面化するという役割が強いです。)
M&Aでは状況によって基本合意契約書をまかないケースも多々あります。特に上場してる会社の場合だと、基本合意契約書を締結することによって、東京証券取引所のほうに適時開示をする義務が発生するので、戦略的に基本合意契約書はあえて締結しないと言うこともあります。

良かった点

 スムーズに締結まで行けたのは、やはり買手様が、売手様を非常にリスペクトしていたことが大きな要因だと考えます。非常に短期間で良好な関係を気づき、過去の候補者の中でも売り手さんの会社に対するリスペクトは断トツ1番だったと思います。
 リスペクトを強く感じた1シーンをひとつ。売手様は実質休眠状態(一部配達のみ)と言うことで、店舗は開けておらず商品は陳列しておりません。その商品がない棚に、何十年も置いてあるという動物の置物が2つありました。そして買手の代表が、小さい方の置物をもってかえり、自社の本社に飾りたいといいました。理由としては、売主様の会社の伝統を引き継ぐという意思表示とのことです。当方はこの行動に非常に感動し、本当にリスペクトしていないと出ない行動だと思います。
 そして最後のクロージング式では、最後に売手様より一言を毎回頂戴するのですが、安心感と会社がお酒を通じて今後も社会に貢献することができるということで、売手様の感極まった姿を見たときは、今回も良いM&Aができた、本当に良かったと思えました。
 なお売手様、買手様から、弊社を非常に信頼して頂き、様々な弊社からの提案・指示を素早くそして正確に対応して頂いたためスムーズに進めることができました。あらためて売手様・買手様に御礼申し上げます。

大変だった点

あえて言うならば、売手様の資料のやりとりは「郵送、FAX、電話、ショートメール」のみで、基本紙ベースという点(一部、財務情報は売手様の顧問税理士様から提供)です。しかし、これはよくあることです。スモールM&Aの場合は、E-mailやExcel/wordなどのITツールが使えないケースが多々あります。当方はそのような状況にも慣れていますので今回もスムーズに資料を整理し、必要な書類を作り進めていきました。
 あと、上記の顧問税理士様が緊急入院と手術となったため、急遽、当方で試算表(仮決算報告書)を、一から作成しなければならず、この点は非常に大変でした。(売手様は基本、月次決算をしていないため、試算表がありません。これもスモールM&Aでは良くあります。)

最後に

以上が今回の案件の振り返りです。秘密保持の関係もあり、あまり詳しくは書けませんが、少しでも現場の雰囲気を感じて頂ければ幸いです。
また機会があれば他の案件について書いてみたいと思います。

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