読書感想「君の話」

読書感想です。今回は三秋縋さんの「君の話」です。

発売したのはおよそ二か月前ですが、その前に一冊読み途中だったものがあったので、今回ようやく読めました。その一冊の感想も、もしかしたらTwitterなどで上げるかもしれません。

三秋縋さんについては、今作以外ではデビュー作の「スターティング・オーヴァー」しか読んでいませんが、設定に拘る作風に強く惹かれました。

今回を含めて二作品しか読んだことはありませんが、三秋さんの作品には共通して、登場人物の矛盾した関係性に深い意味（希望や願いに近い）が込められている印象を受けました。

今作も、偽物の記憶と嘘で繋がった二人が、その事実を超えて、お互いがお互いの信じる＜ヒーロー＞と＜ヒロイン＞になる物語です。

最後の方では作者自身の思想が主人公に反映されているようにも窺えました。

二作品しか読んでいない人間の言って良い感想ではないかもしれませんが、この本のラスト数ページによる主人公の独白は、三秋さん本人が持つ「作家」としての在り方にも触れている、そのように思いました。

この世界のどこかに運命の相手がいる。その真理を一人でも多くの人に信じて欲しいと願う。

それはまるで、一冊の本、物語、記憶の中にいる誰かとの出会い（あるいは再会）にも似ているのかもしれません。

他の作品もぜひ読んでみたいです。

それでは、またいつか。