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クリエイティブから見たこれからの選挙に必要な7つのこと。

統一地方選挙が終わりました。
予想通りに現職の勝利もあれば、
まさかの新人が勝ったという話もありました。
でも、そのプロセスにはほとんど変化がありません。
事務所開きでは必勝ハチマキとタスキ、
寝ついた赤ちゃん、勉強中の学生を堂々と邪魔をし、
名前の連呼と一方的なお願いを繰り返す選挙カー、
偉そうな国会議員がふりかざす有権者に無関係な自慢話。
そして肝心の候補者の方々。
公開討論会を開けば、まともに答えることもできません。
少子化、高齢化、インフラなど、国の政策に大きく依存する社会課題をまるで自分が解決するかのように話す割に、地域ならではの具体策は聞くことができません。
しかし、候補者の方々が本当に何も考えていないのかというと、
そんなこともないんじゃないかなと思います。
つまり、技術がないんです。
考える技術、伝える技術がない。
簡単に言えばクリエイティブじゃないという事かもしれません。
では、具体的にクリエイティブというのはどういうことなのか、
それをここで考えてみたいと思います。
特に、これから政治家を目指す人に読んでもらえたらと思います。

①まず、精神論は捨てる。

 これは関わる人達すべてに共有しておきたい。気合と根性で選挙は勝てません。何をするために政治家を目指すのか、どんな地域、国にしたいのかを明確にしかもオリジナリティあふれるカタチで持っていないと。今までは情で勝てても、これからはそうはいきません。

②言いたいことはひとつにする。

言いたいことはひとつに絞る。人は不安だといっぱい書いて安心しようとしますが、これは逆効果。自分がやりたいことを一言で言えないといけない。しかも、他の誰も言っていない、自分だけの考えで、しかもドキドキ・ワクワクしないといけません。ちなみに少子化対策、高齢化対策、は全国で100万人くらい言ってるのでアウトです。多くの人気店が人気な理由は、看板メニューを持っているからです。一方で、できもしないことは言わないことです。言い換えれば、作れないメニューを出しているのと同じなので。

②−1 課題化するチカラをつける。
   少子化や高齢化は現象であって課題ではありません。でも、それが分からない人がとても多い。少子化によってどんなことが起こって、何に困るのかというところまで考えてはじめて「課題」になります。

③共通言語をつくる(分かりやすい資料をもとに)

 言いたいことが決まったら、紙に書いて、関係者に配る。自分は何が強いのか、どの分野で戦っていくのかがこれで明確になります。できればこのタイミングではコピーライターに書いてもらった方がいい。同じことでも、言い方によって伝わる力は嘘みたいに変わってきます。コピー化された文章は分かりやすく広がりやすいので、どんな人からも「なるほどね」という反応を得ることができます。
これで、自分の軸足がハッキリするだけでなく、周りの理解度も抜群にアップします。

④ポスターはデザイナーに作ってもらう。

 なぜ、選挙ポスターが軒並みダサいのかというと、デザイナーが作っていないからです。デザイナーというのはソフトが使える人ではなくて、対象物(選挙なら人)が掲げるビジョンを理解し、それを含めその人の良さが100%伝わるように写真から監修して、書体を選び、配置を決め、ミリ単位で全ての構成要素を調整していく人のことを言います。ここまでやると、全く別次元のポスターになります。文章はコピーライター、デザインはデザイナーに作ってもらう、これ基本です。

⑤相手によって話し方を変えていく。

 政治家は知識があるけど、話すのが下手すぎます。なぜかというと、常に全部話そうとするから。でも、聴衆は都度違います。年齢層を見て、ジェンダーを見て、何に課題を感じているのかを想像して、話を変える必要があります。たとえば、子育て世代に道路が広くなります!と言っても効果はありません。子育て世代に話すときには、保育園の費用負担をやるのかとか、教育によってこんな大人になってもらいたいとか、彼らが興味を持ちやすいテーマで話す必要があります。そして、基本的なスピーチ原稿は、スピーチライターに書いてもらうと良いと思います。いなければコピーライターでも大丈夫です。

⑤−1 話しかけるように話す。
 いいプレゼンターというのは、相手に寄り添って話すものです。前述しましたが、相手が興味を示しそうなネタを切り口にして「へえ」「お」「なるほど」という反応をどんどん引き出していきます。そのために有効なのは「〇〇ですよね?」という言い方を上手に使うこと。子育て世代が聴衆なら「みなさん、子供の未来、心配じゃないですか?」という言い方にする。下手な人は「えー、私は子育て世代の皆さんにもですね、安心して子育てをしていただくためにですね、えー」となるわけです。これをやると聴衆の耳は1/3くらいはシャットダウンします。

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⑥SNSに近道なし**

 いま、SNSを有効活用するのはとても大変です。誰もやってなかった時代ならまだしも、今はほとんどの人がやっているので、有名人でもない限りいきなりはじめたところで効果を発揮することはむずかしいです。ただ、それでもやった方が良いです。facebook、Twitter、Instagram、それぞれに特徴があるので、どのSNSをどんな目的を持って使うのか、もっと言えば誰に何を伝えるために使うのかを明確にしておけば、投稿に統一感が出てきますし、アップする写真にも共通性が見られるようになります。SNSに近道なし、ひたすら地味に毎日アップし続けるしかありません。

⑦選挙カーとハチマキ、ビールケース

 世の中を変えたい!というのが政治家の皆さんの共通目的だと思いますが、変えたいならまず自分から仕組みを変えてみてはどうでしょうか。選挙カー、ハチマキ、ビールケースって、これ昭和です。これから令和になろうというのに、まだ昭和。まずは勇気を持って自分から変えてみる、やってみる、そして大切なのは「なぜやめたのか」をどうやって伝えるのか、これをコピーライターと一緒に考えて発信していくことです。変えることが、ドキドキ・ワクワクを作る素になります。

最後に。 

なんだ、当たり前のことじゃないか。と言われれば、全くそのとおりな話ばかりです。少なくとも仕事では皆さんそうしているのに、選挙となると戦略ゼロで根性オンリーになってしまうのです。でも、選挙も仕事も同じです。相手のことを考えて、行動する、これを地道にやれば伝えたいことが伝わります。
ちなみに、こんな面倒なことできるか!という人は、簡単です。広告クリエイターをひとりかふたり雇えば全部やってくれます。


広告営業、広告制作の現場、そして社長業を通した実体験を元に記事を書いています。よろしければサポートをお願いいたします。