「女の子なのに頑張るね」と悪気なく言う人へ
6年前。私が23歳の時に言われた、忘れられない言葉があります。
同じ年、同じ言葉を2人の男性に言われたのです。
それがこの、「女の子なのに頑張ってるね」という言葉。
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拭いきれないモヤモヤ
2人の男性は、どちらも私が学生の頃から何かとお世話になっていました。片方の方はインターン先の上司。もう片方の方はメンター的な存在。
2人とも人として面倒見が良く、優しく、仕事ができて、まだ社会のいろはも分かっていない私にたくさんのアドバイスをしてくれました。
ただ、2人から別々にその言葉を言われた時の違和感とモヤモヤ。
褒め言葉のつもりであることは分かっていました。悪気がないことも分かっていました。
そして何より、私は彼らが人として好きでした。精一杯の作り笑顔で「ありがとうございます」とも言いました。
でもその瞬間から、拭いきれないモヤモヤを抱えてしまったのです。
「女の子なのに頑張ってるって。この人たちにとっては、女性は頑張らない生き物なのかな。そして、男性の基準で考えたら私は頑張っていないことになるのかな。」
アメリカ人に「You are doing a good job considering you are a woman.」なんて言ったとしたら、ビンタくらってもおかしくないと思います。
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女性は結局「家事をする人材」にすぎないのか
最近、同僚の中でこんな会話がありました。
男性A(既婚)「Bくんは、結婚しないの」
男性B(独身)「独身は自由ですからね」
男性A「でもさ、洗濯とか大変じゃない?自分の洗濯してくれる人欲しくない?」
ちなみにAさんは、仕事で男尊女卑をするような方ではありません。ユーモラスで優しくて、むしろとても素敵な人ですし、チームの皆に頼られています。
カップルや夫婦の関係は人それぞれ。お互いが納得できる形なのであれば何も問題ないと思います。
とはいえ、洗濯が大変だから結婚って。同僚かつ女性である私が目の前にいながらそんなことを言えるなんて。
妊娠・出産は確かに生物的に女性にしかできない不可分な仕事。 ただ、掃除・洗濯・料理・育児。これは明らかに分担できる仕事。
女性はいつまで家政婦でいなければならないのでしょうか。
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「行き遅れる」という言葉を今でも使う人
地元に数年ぶりに帰った時のこと。
お世話になっていた塾の先生に会いに行った時、こんな会話になりました。
先生「まだ結婚しとらんの。」
私「まだしてないです。」
先生「行き遅れとるやん。先生は嫁さんが行き遅れにならんように、30になる前に結婚してあげたんや。」
確かに私は今年30になるけど、結婚していません。特に年齢と妊孕性(妊娠のしやすさ)のことを考えると、不安に感じることもあります。
ただ、結婚ってみんなのゴールなんでしたっけ。
30歳までに結婚しないと、女性として、人間として不幸なんでしたっけ。
結局「行き遅れる」という言葉、地元にいる数日の間に何度も聞くことになって驚きました。
ここに住んでいる未婚女性はどれだけ肩身が狭い思いをしているんだろう。同情するような気持ちで東京に戻ってきたのを覚えています。
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「良い人」でも女性軽視な発言をすることはある
私にとってある意味やっかいなのは、こういった女性軽視とも取れる発言をした人が目上の人であり、かつ普段はとても良い人であること。そして、ご本人に女性を侮辱しているつもりもなさそうなこと。
だからこそ、たとえモヤモヤを抱えていても、笑顔を見せてしまいます。場を乱すことの方が罪が大きいように感じてしまうのです。
悪気のない女性軽視発言、冗談半分でのセクハラ発言。
こういった何気ない発言に傷つきながらも目をつぶり、ニコニコ笑顔で居続けて「キャパが広い女性」を演じる女性、私の他にもいませんか。
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「女なのに頑張るね」と「男なのに頑張らないね」は対である
パートナー同士で話し合って役割分担するのは良いと思います。その結果、どちらかに仕事が偏ったとしても、結果として女性が家事を担当したとしても、お互い納得感があるなら何も問題ないと思います。
でも今の時代「女性だから頑張らない」「女性だから30までに結婚して家事・育児をする」なんて考え方、そろそろ古すぎませんか。特に、好きで仕事をしている女性にそういった考え方を押し付けるの、そろそろやめませんか。
「女なのに頑張るね」という言葉、言った側は褒め言葉だと思っていると思います。ただ、言われた側からすると侮辱以外の何物でもありません。
男性が「男のくせに頑張らないよね」と言われたときの不快感と似ていると思います。
私がこの文章を書いたのは、良識なく他人を無為に侮辱する人を批判するためではありません。どちらかと言えば、伝えれば分かってくれるであろう「良い人」にひっそりと伝えたくて書きました。
何気ないその言葉、女性を傷つけているかもしれません。
目の前では女性が笑っていても、いつの間にか相手を我慢させているかもせいれません、と。