前提の変わった世界で byみつばち1号
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前提の変わった世界で byみつばち1号

非日常の蟄居生活が、取り戻したいはずの日常を上書きしにかかっている。
このまま馴染んで、早期老後生活に突入してしまいそうな気になる。
もちろん、それはまず経済的に許さないし、仮に許しても、たぶん選ばないあり方だとは思う。

でも、である。性格に依るところもあるにして、要するにわたしの場合、コツコツ積み上げてきた人生ではないことから、失うことも、変化も、それほど怖くないんだなと、リセットを繰り返してきた自分の人生を思う次第。不安には違いないのだけど、それよりも、前提の変わった世界を泳いで生き延びるため、発想のストレッチをしている。

世の中の前提が変われば、したいことも、すべきと思うことも、おのずと変わるだろう。そしていまわたしたちは、前提を変えてゆこうとする世界に立ち会っている。
抗いたい変化もある。「ひとの気持ち」で成り立っていたような仕事がいよいよ可視化されて、不要不急だの言われ後回しにされるうちに細っていくのが見える。ディープに愛され続けた旅館が、喫茶店が幕を閉じ、ミニシアターやライブハウスは半減してもおかしくない。歴史ある手仕事もそうならしい。有事には、平時に見えにくかったり、なんとかしのいでいたりした課題が露わになるのだ。わたしたちの文化の豊かさが、誰のどんな努力で支えられてきたかを痛感している。この支えられ方を一概に肯定はしない。でもそれ以上に、時代の淘汰として手放したくない。豊かさや幸福感の本質は、流行のごとく簡単に移り変わるものではないと思うし、文化の層を厚く多様に保つことで育つものに思いを致せば、失くしてしまうのは合理的ですらないと思う。

もちろん、どんどん変わるべきと思うことも、変わるとどうなるか楽しみなこともある。
最近自宅マンションを購入した人が先日、「数年先に売ることも考えて、資産価値が下がらないよう都心へのアクセス良好な路線の始発駅地域にしたわけだけど、テレワークが進んで、その価値も薄れそう」と言っていた。そう。このままテレワークが当たり前になれば、そうなのだ。
都心へのアクセスの良好さもだけど、「駅近」とて、いままでのように魅力ではなくなるだろう。通勤が激減し、「会社帰りに」という人が激減し、みんなして一方向に移動する習慣がなくなれば、駅前ばかりが栄える必然性も下がる。駅を起点にしたまちづくりという考え方が変わる。近くにあるなら、気持ちのいい公園やジョギングにうってつけの緑道や、市民菜園などの環境のほうが価値だし、地域のゴミ出しのマナーがいいとか、窓から見える夕日がきれいだとかのほうがずっと魅力的。と、なる日がくるかもしれない。

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「通勤圏内」の意義も、東京に居住する理由もますます薄れ、以前から言われていた都市部の空き家問題は前倒しで加速するかもしれない。
大企業の社屋だって、都心の大きくて立派なビルである必要がなくなる。「通勤するだけで給料もらうに値する」とか、「朝出勤した時点で働くエネルギーの半分失ってる」とか、そこまで言われながらもなくならなかった満員電車。「満員電車ゼロ」は小池知事の公約だったはずで、そのためになにをしてくれていたのかはまるで伝わってこないが、はからずもウイルスをきっかけに、実現可能性が見えた。
通勤が減るだけで、社会ってこんなに変わるんだ。やる気になればできたことへの、この社会の腰の重さも、露わになった。

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「都心回帰」も、色を変えて起きればおもしろいな、と妄想する。
郊外や地方に居を移す人が増えて分散し、意思的に、主体性を持ってその土地に生活する住民が増えれば、地域ごとにおもしろいことが起きそう。それは都心にも当てはまりはしないだろうか。
無機質建造物の象徴のごとく、パブリックから閉ざされながら堂々と立ち並んできたオフィスビルが、大幅に縮小されたらどうだろう。人も車も密度が下がり地価が下がり家賃が下がったら、なかなか楽しくなりそうだ。東京にはいろんな個性の街があるけど、好みの街を選んで住んだり働いたりできている人は少ない。不動産から投機の意味合いが薄れ、生活の場が戻ってくればいいのに。わたしなら、古書店街の神保町に住んで、老舗のカレー屋さんと珈琲屋さん、名画座に通い、たまには山の上ホテルのバーで一杯という生活を、1年くらいしてみたい。

そんなごく私的な願望が現実にならないまでも、都市住民のひとりとして、都心に、もっともっと余白の空間がほしい。緑とベンチがほしい。ベンチとセットであちこちに点在するならば、緑は大きめの木1本だっていい。東京は、皇居や新宿御苑、上野公園には緑がいっぱいだけど、そこまで行かないとオープンスペースで憩えない。あちこちで、ところどころで、コーヒー片手に憩えたらいい。バカンス先の砂浜でサンセットを見ながら、というのは最高だろうが、都会のど真ん中であろうと、木陰で一息ついて空を仰ぐ時間が日常に組み込まれるならば、そっちのほうが大事だろうと思う。

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なんだかんだ東京が好きなわたしは、よほどのことがなければ離れないつもり。その上で、複数拠点は、みつばち社としてもまずは視野に置きたいことのひとつだ。なにがあるかわからない未来に選択肢を持っているのは、リスクマネージメントと自分たちの柔軟性を保つどちらの面からも、ますます心強さの材料になると思う。
自分たちが望むおつきあいのしかたや生きかたと、乖離のない仕事のしかたも、さらに深めていこうと思う。「仕事だからしかたない」とあきらめていると、いつのまにか満員電車に逆戻りしてしまうからね。
それから、乖離といえば、政治。コロナを機に、政治がいかに生活に直結しているか多くの人が実感したのではないだろうか。自分ごとのはずが、いつのまにか、遠く意思の及ばない場所で営まれているかのようになっていた政治。地域の暮らしと同じく、自分たちの手に取り戻せたら、いまよりクリエイティブな前提に立てそうだ。

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ユニットで活動するみつばち社の、みつばち1号・小林奈穂子、2号・小野寺洋です。”small is beautiful”をテーマに、コミュニケーションデザインの仕事をしています。自らを実験台に、働き方の研究もしています。 http://mitsubachisha.com