見出し画像

ハッピー、ハッピー、ペンギン2|ショートストーリー


ハッピー、ハッピー、ペンギン1はこちら。



ただ座って、小さなペンギンを観る。

ペンギンの翼はフリッパーと呼ばれるらしいよ。などと、どこで調べたのかペンギンの小ネタを挟みながら、体を大きく揺らしてよちよちと歩くペンギンの様子を観ている夫を視る。

体の三分の一ほどの段差を、えいやっと飛んで登る姿は本当に愛らしい。

無事に台の上に登れたペンギンを祝福するかのように顔をほころばせた夫は、その笑顔のままこちらをみる。

一歳を過ぎた娘が歩き出したころ、歩きたい気持ちだけをぶら下げて自由に動き回る彼女を、何かにぶつからないか、転んだりしないかと、心配の塊になって守り続けた彼の姿が重なった。

ああ、この人のこういうところが好きだったのだ。

私は頬を緩ませて、またペンギンに集中する。

私の笑顔をみて安心した彼もまたペンギンに集中する。

終わり



【あとがき】
札幌の街中にある水族館、AOAO Sapporoで、小中学生向けの絵画イベントをやっていて、子どもの入場料が無料だということで、昨日張り切って行ってきた。

子ども無料なら、土日は激混みしそうだなということで、平日学校が終わった娘と急いで行って、娘はペンギンの絵を、私は目の前に座ってペンギンを見つめる夫婦の様子をずっとnoteにメモしていた。

ペンギンのこともじっくりみた。
どうやって動くか、フリッパーはどこからがフリッパーなのか、それをどうやって言葉で伝えるか。などと、書くと思うと気になることがどんどん増える。

写真を撮るよりずっと、じっくり私の中に蓄積される気がした。

まあ、写真も撮ったけど。

最後までお読みいただきありがとうございました! 頂いたサポートは全力で全力で書くことにを続ける力にします。