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「『女』」 歌詞と曲解説

「女」
     作詞 / 光32 & 中毒飯 作曲 / 光32

物語の主人公 気取ったり
話し始めたら もう止まらないとこ

キライじゃないよ
いい歳して…なんて 笑わないから

子供みたいに はしゃぐとこ
同じ飲み物ばっか 買ってくるとこ

キライじゃないよ
空のペットボトル 見るたび 思い出す

この時間 この場所で ふたりが綴った思い出は

これから あなたが物語として
紡いでくれるんだよね…?

幾つか交わした 小さな約束を
守ることで 繋いでいいのかな?

私はここで 待っているから
いつでも あなたのことを

"愛してる"なんて ありふれた言葉
今のふたりには きっと似合わないけど

キライじゃないよ そう言うとこ

私だって「女」だから…

例えばこの先 会えなくなっても
あなたの すぐ傍にいるから

未来のことを 不安に思うより
今は 一緒にいて…

幾つも交わした 約束を全部
叶えながら 繋いでゆこう

私はここで 待つことしか出来ない
「女」だから…

これまで重ねた 他愛のない時間
忘れないよ 離れてしまっても

キライじゃないよ 気づいてるよね?

私だって「女」だから…


【曲解説】
アーティストは売れてナンボ、
いくら良作を産み出そうとも
一般的認知がなければ誰も振り向かない。

ここで言う“売れる”とは金銭的収入ではなく
知名度や受け取る賞賛の言葉たちのこと。

がんばれどがんばれど報われない
そんな1人のクリエイターに

“でも…この曲好きだな”

そう言ってもらえることが、その一言だけで
どれだけの力とモチベーションを得られるか

それは作っている本人にしか理解できない。

この曲はそんな縁もゆかりもない
“売れないクリエイター”をひっそり応援する

相方でも恋人でもない
異性の友人からのエール、

そんなテーマで書いた歌詞である。

この曲は「Sally」に登場した男性に対する
女性からのアンサーソングとなっていて

「Sally」の歌詞の中ではまるで報われない
男女の恋愛を描いたように思われるが

実は“親友”と言う立場の二人、
そもそも其処に恋愛感情など存在しない…はず

この曖昧模糊とした関係性の終末を
最後まで明瞭にせず
もやっとした感じで終わらせることで

その真意を聴き手に委ねる形となっている。

この曲は全て女性目線かと思いきや
実は「Sally」同様に男性が登場する場面がある

サビの冒頭部分
~幾つか交わした 小さな約束を
守ることで 繋いでいいのかな?~
 

これは実は男性からの問い掛けであり
これに女性が答える、と言う形で
サビが展開していく。

そしてラスサビでも再び“男”が登場

~幾つも交わした 約束を全部
叶えながら 繋いでゆこう~


最初は「いいのかな?」と疑問符がついていた
問い掛けから彼の意思表明へと変わっている。

そして注目していただきたいのが
「Sally」と「『女』」の落ちサビの歌詞。

「Sally」で
今 会えないことよりも
いつか会えなくなる日のことが…

そう不安な心中を告げる男性に対し

「『女』」で
例えばこの先 会えなくなっても
あなたのすぐ傍にいるから…

そう伝えることで
彼の不安を払拭させようと試みる。

しかしこの二人は…何度も言うが
恋人でもカップルでもない、ただの友人…

その漠然とした立ち位置はもどかしくもあり
その絆は強いようでどことなく脆く儚い

そしてそれをわかっている二人。

そのベクトルが“恋人へ”向かうことで
この関係性が終わることにふたりは

既に気付いている…

なのに未来の光明を見据えているかのような
女性の目線…

それはまるで“ふたりで幸せになろう”ではなく
共に幸せでありたい

と、まるで互いの幸せを願うかのような。


最初のサビとラスサビの歌詞を比較してほしい

女性の発言がポジティブな内容から
ネガティブなものへと変化していることに
お気づきだろうか?

これは…もしかしたら“この作品”が完成したら
男性は私から離れてしまうのでは?

この作品が完成する頃に
ふたりは違う道を歩むことになるのでは?

そんな不安を口にしたものである。

何故“友人”である彼女がそんなことを言う?
それは彼が“男”であり彼女が“女”だから…

捨てられない感情が露呈したことによって

最終的にふたりが導きだした答えは
これまで歩んできた道へ引き返すと言う結末。


もちろんこれは
私の持論を展開させたに他ならず

実際の女性心理は計り知れないものの
不思議な物語を描けたな、と自分でも思う。

ふたりの結末を想像すら出来ないラストは
ハッピーエンドでもバッドエンドでもない。

悲しい物語であるに関わらず
去り際のふたりには笑顔すらこぼれている

そんなシーンを思い描きたくなる
ドラマに仕上げたと思っている。

ふたりの行く末を見守る意味も込めて
この曲は大切に歌っていきたい所存である。

なお追記として書き加えると
所々で“ふたり”や“キライ”など

漢字表記出来る言葉を
わざわざ仮名表記している箇所があるが

これは漢字で表すと
とかく硬い表現になりそうな部分を

優しい表現に捉えていただきたいと思い
敢えてそのような表記にしている。

こちらも「Sally」同様に
紹介ツイートを貼り付けて締めたいと思う。

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